平成25年3月11日
- 3月10日(現地時間同日),バングラデシュの首都ダッカにおいて,我が方佐渡島志郎駐バングラデシュ大使と先方ムハンマド・アブル・カラム・アザド財務省経済関係局次官(Mr. Md. Abul Kalam Azad, Secretary, Economic Relations Division, Ministry of Finance)との間で,合計956億8,300万円を限度とする円借款に関する書簡の交換が行われました。
- 円借款対象案件の概要及び供与条件
- (1)カチプール・メグナ・グムティ第2橋建設及び既存橋改修計画(I)(The Kanchpur, Meghna, and Gumti second Bridges Construction and Existing Bridges Rehabilitation Project (I))(289億4,500万円)
この計画は,バングラデシュの首都ダッカと国内第2の都市チッタゴンを結ぶ国道1号線上に位置するカチプール橋,メグナ橋,グムティ橋を改修するとともに,それぞれ第2橋を新設し,道路の複線化を図るものです。橋脚を保護し,耐震性の向上に留意した設計とすることにより橋梁の安全性を向上させ,交通量の急増に対応することで,バングラデシュ経済全体の活性化に貢献することが期待されます。また,河川の水位の上昇に対応可能な橋梁を整備することにより,気候変動への適応を支援するものです。
- (2)カルナフリ上水道整備計画(フェーズ2)(Karnaphuli Water Supply Project (Phase 2))(348億4,700万円)
バングラデシュ国民の安全な水へのアクセスは,改善しつつあるものの,2010年時点の達成率は81%に留まっています。同国では飲料水の9割を地下水に依存していますが,地下水の深刻な砒素汚染や過剰揚水による地下水位の低下が見られ,表流水を活用した都市部の浄水道整備推進が喫緊の課題となっています。この計画は,バングラデシュ第2の都市であるチッタゴン市において,上水道施設を整備し,安全かつ安定的な上水道サービスを提供するものです。この計画の実施により,チッタゴン市民の生活環境の改善に貢献することが期待されます。
- (3)バングラデシュ北部総合開発計画(Northern Bangladesh Integrated Development Project)(205億5,600万円)
この計画は,貧困率の高いバングラデシュ北部地域14県において,農村及び地方都市のインフラ整備と地方自治体の行財政能力の向上等を支援するものです。この計画の実施により,農村部の基礎インフラや社会サービスへの住民アクセスを改善し,同地域の経済活動の活性化,貧困削減及び地域間格差是正に貢献することが期待されます。
- (4)再生可能エネルギー開発計画(Renewable Energy Development Project)(113億3,500万円)
この計画は,バングラデシュ農村部における太陽光発電,バイオマス発電等の再生可能エネルギー設備の設置資金を供与するものです。この計画の実施により,地方電化,電力供給源の多様化及び電力供給の増加が促進されることで,同国の持続的な経済発展,生活水準の向上並びに気候変動の緩和に貢献することが期待されます。
- (5)なお,上記(1)及び(4)の案件については,我が国の2013年以降の気候変動対策に関する途上国支援の一環として実施するものです。我が国は,すべての国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に向け,バングラデシュと引き続き気候変動分野で連携していきます。
- 供与条件
- (1)金利:年0.01%
- (2)償還期間:40年(10年の据置期間を含む。)
- (3)調達条件:一般アンタイド
(参考)
バングラデシュは,面積約14万4千平方キロメートル,人口(国内在住)約1億4,231万人(2011年,バングラデシュ統計局)であり,人口1人当たりのGNI(国民総所得)は755米ドル(2011年,バングラデシュ財務省)。