平成23年9月28日
本28日(水曜日)(現地時間同日),ミャンマー連邦共和国の首都ネーピードーにおいて,我が方齊藤隆志駐ミャンマー大使と先方ティン・ナイン・テイン国家計画・経済開発大臣(U Tin Naing Thein, Minister for National Planning and Economic Development)との間で6億2,900万円を限度とする無償資金協力「中央乾燥地村落給水計画」(The Provision of Equipment for Rural Water Supply Project In the Central Dry Zone),及び2億6,000万円を限度とする無償資金協力「人材育成奨学計画」(The Project for Human Resource Development Scholarship)に関する交換公文の署名式が行われました。
中央乾燥地村落給水計画
(1)この計画は,ミャンマー中央部の乾燥地において,新規水源開発の必要性が高い村落に対して深井戸による給水施設整備のための機材を供与するものです。
(2)ミャンマー中央乾燥地の生活用水は,主として雨水を水源とする溜池や浅井戸に頼っているため,乾期には枯渇し,利用が不可能になることがあります。ミャンマー政府は,中央乾燥地における村落の給水状況の改善を優先課題として取り組んでいます。
(3)この計画の実施により,中央乾燥地における87村落の住民約98,000人に,安全で持続的な給水が可能となり,同地域の貧困削減に資することが期待されます。
(4)今回の協力は2009年12月に発表した,気候変動対策に関する我が国の2012年までの途上国支援の一環です。我が国としては,すべての主要国による公平かつ実効性のある枠組みの構築と意欲的な目標の合意に向けた国際交渉の進展を目指して,ミャンマーと引き続き気候変動分野で連携する予定です。
人材育成奨学計画
(1)ミャンマーでは,2000年まで断続的に大学が閉鎖されていたことから,市場経済化をはじめとする将来の国造りを担う優秀な人材を育成することが極めて重要な課題となっています。
(2)この計画は,ミャンマーの若手行政官等を対象に,日本に留学するために必要な学費等を供与するものです。
(3)この計画の実施により,ミャンマーの市場経済化を支える行政官等が将来各分野の指導者としてリーダーシップを発揮するとともに,日本とミャンマーの相互理解・友好関係の構築に寄与することが期待されます。
ミャンマーでは,2010年11月に総選挙が実施され,アウン・サン・スー・チー女史の自宅軟禁措置が解除されたほか,本年3月30日には民政移管が行われ,さらに本年5月には政治犯約50名を釈放するなど不十分ながらも同国の民主化に向けた前向きな動きも見られます。我が国としては,ASEANの中で最も所得水準の低いミャンマーが,民主的で市場経済に立脚した国家として,また,ASEANの繁栄・安定・統合に貢献する国家として発展していくためにも,民主化,貧困削減及び市場経済化の着実な進展が重要と考えています。このような観点から,ミャンマーに対するODAについては,民主化及び人権状況の改善を見守りつつ,民衆に直接裨益する基礎生活分野の案件を中心にケース・バイ・ケースで検討の上,実施してきています。