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国連世界食糧計画(WFP)を通じた無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について

平成22年8月25日

  1. 本25日(水曜日)(現地時間同日),ローマにおいて,我が方安藤裕康駐イタリア国大使と先方ジーナ・カサールWFP事務局次長(Ms. Gina Casar, Deputy Executive Director, The United Nations World Food Programme)との間でバングラデシュ人民共和国ほか8か国と1地域に対する総額40億3,000万円の無償資金協力(食糧援助)をWFPを通じ行うこととし,このための書簡の交換が行われました。  
    今回の食糧援助の対象内訳(カッコ内は供与額)
    (1)バングラデシュ人民共和国社会的弱者 (8億2,000万円)
    (2)アフガニスタン・イスラム共和国社会的弱者 (4億6,000万円)
    (3)イエメン共和国社会的弱者 (5億7,000万円)
    (4)パレスチナ自治区住民  (2億7,000万円)
    (5)ウガンダ共和国社会的弱者   (4億3,000万円)
    (6)ギニア共和国社会的弱者 (4億9,000万円)
    (7)ギニアビサウ共和国社会的弱者 (2億5,000万円)
    (8)チャド共和国社会的弱者  (3億1,000万円)
    (9)中央アフリカ共和国社会的弱者  (2億4,000万円)
    (10)レソト王国社会的弱者 (1億9,000万円)
      
  2. 各国事情

    バングラデシュでは,人口の41%が1日1米ドル以下で生活する貧困層に属し,国民1人当たりのGNIが480米ドルと低く,アジアの最貧国の一つです。GDPの18.7%を農業が占めていますが,国土は我が国の約40%程度と狭く,近年,度重なる干ばつやサイクロンによる多大な被害を受けています。

    アフガニスタンでは,インフラが不十分なため,住居,飲料水等の確保が非常に困難な状態にある,世界で最も生活水準が低い国の一つです。2007/2008年に行われた調査では,約740万人が食料確保に困難をきたしているといわれています。また,毎年,約40万人が干ばつや洪水等の自然災害による影響を受けています。

    イエメンでは,国民1人当たりのGNIが950米ドルで,国民の多数は農業や牧畜業に従事しています。また,人口の約45%が1日2ドル以下で生活をする貧困層であり,近年の不安定な経済状況により増加し続ける失業率,食料不足,貧困が喫緊の問題となっています。

    パレスチナ自治区では,度重なるイスラエル軍との衝突に加えて、同軍による封鎖措置、人や物資の移動制限,資源の使用制限等により,経済状態は依然として厳しいままであり,住民の生活に支障をきたしています。状況は特にガザ地区で悪化しており,西岸地区での貧困層が人口の約46%であるのに対し,ガザ地区では70%にも上り,生活水準は2000年に始まった第2次インティファーダ(民衆蜂起)以前よりも下がっています。

    ウガンダでは,国民1人当たりのGNIは370米ドルと低く,北東部や北部では,自然災害,環境破壊,紛争が発生しているため,社会基盤が整わず,極度の貧困状態にあります。特にカラモジャ地域では,今期で4年連続の深刻な食糧危機に直面しており,住民は飢餓と栄養失調に苦しんでいます。

    ギニアでは,人口の約50%が貧困層に属していて,国民1人あたりのGNIは390米ドルと低い,世界の最貧国の一つです。労働者の約80%は農業に従事していますが,2008年の洪水や降雨不足といった自然災害,砂漠化,土壌汚染等が,零細農業に依存する貧困農民にとって大きな問題となっています。

    ギニアビサウでは,人口の約60%が貧困層に属していて,国民1人当たりのGNIが220米ドルと低い,世界の最貧国の一つです。1998年から99年にかけての内戦は貧困や失業などの社会経済問題も深刻にし,更に,農機具・種子・肥料が不足したため農業生産量が減少し,水田は壊滅状態となりました。内戦前から劣悪であった道路事情は紛争により更に悪化し,食糧事情を一層悪化させています。

    チャドでは,人口の約80%が貧困層に属していて,国民1人当たりのGNIは510米ドルと低いほか,多数の難民・国内避難民が発生しており,同国経済を圧迫しています。また,約80%の国民が農業により生計を立てているものの,零細であるため生産性が低く,内陸国という地理条件と近年の燃料費高騰の影響により,同国は慢性的に食料不足状態になっています。

    中央アフリカでは,GDPの半分以上を農林業が占めていますが,多くは零細農業であり,国民1人当たりのGNIは370米ドルと低く,多くの国民が貧困状態にあります。同国は,輸送システムが未発達で,労働者の大多数が未熟練であり,さらにマクロ経済政策の失敗等により経済発展は大きく遅れています。

    レソトでは,労働者の約90%が畜産業主体の零細農業に従事するなど農業が主要産業であるため,国民生活は干ばつなど異常気象の影響を受けやすくなっています。
    2009年のトウモロコシ生産は,種子や肥料などの資材高騰の影響を受けたために,2008年と比べ10%落ち込んでいます。レソト脆弱性評価委員会では,今年は約45万人が2010年4月の収穫期までの間に人道支援を必要とすると見積もっています。
  3. この協力は,このような国々の社会的弱者の置かれた状況に鑑み,WFPの支援要請に応え,人道的見地から食糧援助を実施するものです。今回の食糧援助がこれらの国々における食糧不足の緩和に繋がることが期待されます。
  4. 我が国は,一昨年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)において,アフリカ諸国の農業・食糧分野における取組への協力も強化することを表明しており,この協力の内アフリカ向けのものはそれを具体化するものです。
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