平成20年11月20日
(1)本計画の内容
クァンナム省及びクァンガイ省を対象サイトとする「第二次中南部海岸保全林植林計画」(892ヘクタールの海岸保全林植林及び関連施設建設)のための詳細設計を行う。
(2)本計画の必要性
(イ) ベトナムは、長期にわたる戦火や人口の急増に伴い森林の伐採が続き、1945年には1,400万ヘクタールであった森林面積は、1995年には930万ヘクタールにまで減少した。この結果、一人当たりの森林面積が東南アジアで最低の数値となっており、特に海岸地域では、強風や飛砂が農作物やインフラ施設に被害を及ぼし住民生活に大きな影響を与えている。
(ロ)ベトナム政府は「500万ヘクタール森林造成国家計画」を策定し、積極的に森林保全や植林に取り組んでおり、特に海岸保全林については、10万ヘクタールを緊急に造林する必要があるとされている。このような状況のもと、我が国は上記国家計画の一環として、中南部地域のクァンナム省及びフーエン省の2省において、3,670ヘクタールの地域を対象に海岸地域の保全林造成にかかる無償資金協力「中南部海岸保全林植林計画」(2005年4月完工、以下「PACSA」)を実施した。
(ハ) PACSAにおいては、より技術的難易度の高い植裁困難地(海岸隣接地、冠水地)を協力対象から除外しており、ベトナム政府は同計画で用いられた植林技術を他地域に適用し、自助努力により海岸保全林を整備しているものの、植裁困難地においては独力で植林を進めることが困難な状況にある。かかる経緯のもと、PACSAにおいて協力対象から外れた植裁困難地を多く含むクァンナム省、クァンガイ省、カインホア省及び同じ中南部地域に位置するビンディン省の海岸地域における植林事業(4省計9,480ヘクタール)に必要な資金につき、我が国に対して無償資金協力の要請がなされた。
(ニ) 右要請を受け、基本設計調査等を実施した結果、国家計画との整合性、緊急性、実施体制等を確認するとともに、要請サイトから無償資金協力による植林が不適当な土地(養殖池、工業団地への指定地、既植裁地等)を除いた上で、植林可能地域について絞り込みを行った。
(3)本計画の効果
(イ)砂の移動が激しい海岸砂地において、平均樹高1メートル以上の海岸保全林が700ヘクタール(対象植栽面積の約80%)整備される。
(ロ)飛砂、強風、砂の移動等による農漁村への被害が軽減する(クァンナム省及びクァンガイ省の海岸地域住民の強風被害を受けた世帯(88%)及び飛砂被害を受けた世帯(59.6%)が、約1/3に減少)。
(ハ)クァンナム省及びクァンガイ省の対象村落面積8,689ヘクタールの70%(6,082ヘクタール)に対して飛砂、砂の移動等による農地、居住地、道路、及び鉄道への被害の緩和と環境改善が進む(対象地域人口:58,268人)。
(参考)
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