平成20年10月29日
- 我が国政府は、パレスチナ暫定自治政府(PA)に対し、11億円のノン・プロジェクト無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、10月29日(水曜日)(現地時間同日)、パレスチナ自治区西岸のラマッラにおいて、我が方近藤哲史対パレスチナ暫定自治政府日本国政府代表事務所長と先方ファイヤード・パレスチナ暫定自治政府首相兼財務庁長官(Dr. Salam Fayyad, Prime Minister/Minister of Finance)との間で行われた。
- 本ノン・プロジェクト無償資金協力の概要は次のとおりである。
(1)内容
本無償資金協力は、PAによる経済構造の改善に向けた努力の推進及びパレスチナ自治区の困難な経済状況の緩和に寄与することを目的として実施するもので、本無償資金協力により供与される資金は、同国において必要とされる物資を購入する代金の支払いのために使用される。
(2)必要性
- イスラエルの占領下に置かれているパレスチナ自治区では、2000年9月以降現在に至るまで、イスラエルによるパレスチナ人の移動や物流の制限、度重なる軍事攻撃による様々な社会・経済インフラの破壊等の影響により、パレスチナ人の雇用機会が大幅に減少するなど、パレスチナ経済は極めて厳しい状況にある。
- このような状況の中、PAがパレスチナ人の生活状況の改善に取り組み続けることが、イスラエルとの中東和平プロセス進展を支えることとなると考え、我が国政府は本無償資金協力の実施を決定した。
(3)効果
本無償資金協力により、PAが直面する深刻な財政状況を多少なりとも緩和し、パレスチナ市民が必要とする社会サービスの継続に貢献することが期待される。また、現在PAは交渉を通じた和平実現のため、パレスチナ自治区での過激派の取り締まり等治安改善にも取り組んでおり、本無償資金協力は、こうしたPAによる和平への取り組みの側面支援となることも期待される。
(参考)
パレスチナ自治区は、面積約6020平方キロメートル、人口376万人(平成17年)、人口1人当たりのGDP約802米ドル(平成18年)である。