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ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について

平成20年10月11日

  1. 我が国政府は、ハイチ共和国政府に対し、「食糧援助」として、7億8,000万円の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が10月11日(土曜日)(現地時間10月10日(金曜日))、同国の首都ポルトープランスにおいて、我が方大竹庄治駐ハイチ臨時代理大使と先方アルリッチ・ニコラ外務・宗務大臣(Son Excellence Dr Alrich NICOLAS, Ministre des Affaires Etrangéres et des Cultes)との間で行われた。
  2. 本無償資金協力の概要は次のとおりである。

    (1)本無償資金協力の内容

     ハイチ共和国の深刻な食糧事情を改善すべく、コメの購入及びその輸送に必要な資金を供与する。

    (2)本無償資金協力の必要性

     中南米・カリブの最貧国であるハイチ共和国では、全人口(860万人)の半数以上の約450万人が1日1ドルで暮らす絶対的貧困層に属すると言われている。同国では全人口の3分の2が農業に従事しているが、規模が零細である上に灌漑設備等の農業インフラが不十分で天水に依存した伝統的農法に頼っており、過耕作、土地の荒廃なども影響して、農業生産性は低く、食料自給率は45%、米の自給率は30%未満である。そのため、恒常的に食糧不足で、食料需要の大半を海外からの輸入と援助に大きく依存しているが、人口の約半数に相当する380万人は慢性的に栄養失調状態にある。
     こうした中、2007年3月、9月の豪雨、8月、10月、12月の熱帯性暴風雨等の自然災害により、全国で約4万世帯が被災し、同国穀倉地帯も甚大な被害を受けたため、国連による緊急アピールが複数回出された。自然災害による食糧不足のため国内生産物の価格が上昇したが、ほぼ同時期に穀物の国際価格も高騰したため、本年2月現在において食糧価格は前年度比で20%以上も上昇しており、貧困層にとって食糧入手が一層、困難な状態になっている。こうした食糧価格の高騰による影響は市民の抗議行動、暴動へとエスカレートし、首相が解任される事態までに発展した。特に、収穫前の時期にはコメが不足するなど多くの家庭で食料事情が悪化するため子供たちが学校を欠席し、さらには、一端治まった治安状態がまた悪化することが予想される。こうした状況を受け、同国政府は我が国に対し、コメによる食糧援助を要請してきたものである。

    (3)本無償資金協力の効果

     今回の我が国からの援助は、同国に市場を通じて良質で安価なコメを流通させることで穀物の市場価格の高騰を抑制し、貧困層にも食糧入手を容易にすると共に、コメ販売により積み立てられた見返り資金の活用を通して同国の農業インフラが整備されることが期待される。

(参考)

 ハイチ共和国は、面積約2.75万平方キロメートル、人口約860万人(平成18年)、人口1人当たりのGNI(国内総所得)約560米ドル(平成19年)である。

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