平成20年7月9日
- 我が国政府は、コートジボワール共和国政府に対し、「第四次感染症予防計画(the project for Prevention of Infectious Diseases IV)」の実施に資することを目的として、2億9,800万円を限度とする一般プロジェクト無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、7月9日(水曜日)(現地時間、同日)、同国の首都アビジャン市において、我が方西内和彦駐コートジボワール共和国臨時代理大使と先方シィルヴィー・ドス、ユニセフ・コートジボワール事務所代表代理(Ms. Sylvie DOSSOU, UNICEF Representantive a.i. in Côte d'Ivoire)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- コートジボワール保健省とユニセフが協力して実施する、第四次感染症予防計画に必要な蚊帳、抗マラリア薬等を調達・配布するための資金を、ユニセフに対して供与する。
(2)本計画の必要性
- コートジボワールではクーデターや内戦の影響を受け、1980年には55歳だった出生児平均余命が2005年には46歳に、5歳未満児死亡率も136/1,000人から195/1,000人に悪化した。高い死亡率の主要原因は、マラリア及びポリオや麻疹などの感染症によるものである。
- 現在、コートジボワールにおいては、350万人の5歳未満児及び100万人の妊産婦がマラリア感染の危険に晒されており、1時間に7人がマラリアにより死亡していることになる。マラリア羅患率及び死亡率は、2003年には各45%、15%であったのに対し、2004年はそれぞれ55%、28%、2005年は60%、33%と急速に悪化している。コートジボワール政府は、「国家マラリア対策プログラム」を策定し、2009年までに5歳未満の子ども及び妊婦の防虫蚊帳使用率を60%まで増加することを目指しているものの、依然として不足している状態である。
- また、同国においては、2002年に発生した内戦(コートジボワール危機)により、ポリオ対策を含め保健行政は大きく混乱し、2003年はポリオワクチン一斉投与(NID)が実施されず、その結果、2004年にはポリオ症例が17例報告された。2005年には各回約510万人を対象とした5回のNID実施により、症例は報告されていないものの、今後もコートジボワール国内の高いポリオ免疫率及びポリオ野生株の根絶を保つためには、同国においては定期的な予防接種プログラムが必要な状況である。
- 上記を踏まえ、コートジボワール政府及びユニセフは「第四次感染症予防計画」を策定し、右計画に必要な蚊帳及び抗マラリア薬の調達に必要な資金につき、我が国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、同国37保健区の1歳未満児及び妊産婦の約22%にあたる約19万人に対して、蚊帳の配布が可能となるとともに、全国の1歳未満児の約80%にあたる約52万人に対して、ポリオワクチンの投与が可能となる。
(参考)
コートジボワール共和国は、面積約32.2万平方キロメートル、人口1850万人、人口1人当たりのGDP約884米ドル(2006年)である。