平成20年5月29日
- 我が国政府は、セントルシア国政府に対し、「アンス・ラ・レイ水産施設整備計画(the project for Improvement of Fishery Infrastructure in Anse La Raye )」の実施に資することを目的として、5億3,600万円を限度とする額の水産無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が5月29日(木曜日)(現地時間同日)、同国首都のカストリーズにおいて、我が方関興一郎駐セントルシア国大使(トリニダード・トバゴにて兼轄)と先方イゼキエル・ジョセフ農業・国土・漁業・林業大臣(Hon. Ezechiel Joseph, Minister of Agriculture, Lands, Fisheries, and Forestry)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
セントルシア国政府がアンス・ラ・レイの水産関連施設に関し、水産物の衛生的な流通の確保、漁獲後損失の削減・鮮度向上、水揚げ作業時の安全確保を目的とした桟橋及び付帯設備(48メートル)、製氷器や水産物加工スペースを含む水産複合施設(延べ床面積341平方メートル)等の建設・改修を行うための資金を供与する。
(2)本計画の必要性
- 本計画のサイトであるアンス・ラ・レイの位置する島の西岸は小規模漁業が主体となっている。また、アンス・ラ・レイは首都カストリーズから車で約30分の距離に位置しており、首都圏への水産物供給基地としてのポテンシャルは高いが、水産関連施設全体の機能が低下している。
- 特に桟橋は、建設後50年以上を経過して老朽化による損傷等により、漁船からの漁獲物の水揚げや漁具の積み込み等が困難で、かつ安全な作業ができないことから、水揚げ作業等に支障を来している。また、既存の陸上施設についても、その規模・内容が現状の漁業活動に適合せず、鮮度保持・衛生管理が適切に実施できないなどの問題点が露呈しており、漁業活動の大きな障害となっている。
- このような状況の下、セントルシア国政府は、アンス・ラ・レイにおける水産施設の整備を行うための資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 桟橋整備により水揚げ時間の平均1.5時間から平均0.5時間への低減、労力の6人から2人程への軽減が期待される。
- 桟橋整備により水揚げ時等の漁船揚陸が不要となり、かつ漁船揚陸施設の整備により漁船補修時・乾燥時の船底の損傷が軽減される。また、同施設整備により異常気象時の漁船損壊の危険性が回避される。
- 製氷機・貯氷庫及び保冷箱の整備により、水揚げ魚の鮮度が向上する。
(参考)
セントルシア国は、面積約616平方キロ(東京23区とほぼ同じ)、人口約17万人(2005年)、人口1人当たりのGNI5,080米ドル(2006年)である