平成20年5月22日
- 我が国政府は、フィジー諸島共和国政府に対し、「南太平洋大学情報通信技術センター整備計画(the project for Construction of Information and Communication Technology Center at the University of the South Pacific)」の実施に資することを目的として、総額22億100万円(平成20年度5億6,300万円、平成21年度16億3,800万円)を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が5月22日(木曜日)(現地時間同日)、同国のスバにおいて、我が方滑川雅士駐フィジー国大使と先方ラトゥ・エペリ・ナイラティカウ外務・国際協力・民間航空大臣(Hon. Ratu Epeli Nailatikau, Minister for Foreign Affairs, International Co-operation and Civil Aviation)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- フィジー諸島共和国及び同国を含む12の島嶼国で設立した南太平洋大学(以下USP)が、不十分な情報通信技術(以下ICT)教育・研修機能の改善を行うとともに、新たにICT分野の研究・開発環境を整備することにより、同国及び島嶼国におけるICT分野の人材を確保することを目的に、USP内にICTに関する研究・教育・訓練を行うセンターの建設及び関連機材の供与を行うための資金を供与する。
なお、本計画の詳細設計のための無償資金協力に係る書簡の交換は本年2月1日に行われている。
(2)本計画の必要性
- フィジー諸島共和国に本部を置くUSPは、12の島嶼国・地域(フィジー、クック、キリバス、マーシャル、ナウル、ニウエ、ソロモン、トケラウ、トンガ、ツバル、バヌアツ、サモア)が、それぞれ資金を拠出し共同設立した域内最高水準の教育機関である。
- USPは大洋州地域におけるICT教育の中心を担っているが、ICT関連学科の応募学生数は2002年の約9,000人から2005年には1万人を超えるに至り、施設や機材の整備が追いつかない状況にある。特にコンピュータ科学科は、急造の木造校舎を活用しているため、コンピュータ実習室が絶対的に不足しており、ICT教育環境の質・量ともに改善を求められている。
- このような状況の下、フィジー諸島共和国政府は、ICTセンターの建設等を行うための資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 実習室が整備されることにより、コンピュータ科学科のカリキュラム数が増加するとともに、社会人向けICT関連研修コース開催可能時間が週24時間から48時間に拡張される。
- USPにICTの中核的教育・研究センターを設置することにより、ITのスキルをもった人材が育成され、大洋州の島嶼国が世界的な情報社会に容易に参加できるようになる。
- ICT教育環境が強化され、ICT関連職種への就職機会が増加することが期待される。
(参考)
フィジー諸島共和国は、面積約1万8,270平方キロメートル(四国とほぼ同じ)、人口約82.8万人(2007年)、人口1人当たりのGNI3,300米ドル(2006年)である。