国別地域別政策・情報 国別約束(年度別交換公文(E/N)データ)

イラクに対する円借款の供与について

平成19年4月9日

  1. 我が国政府は、イラクに対し、「コール・アルズベール肥料工場改修計画」、「原油輸出施設復旧計画」、「バスラ製油所改良計画(設計監理等)」及び「電力セクター復興計画」を実施するために必要な総額1,028億4,300万円を限度とする円借款を供与することとし、このための書簡の交換が、4月9日(月曜日)、東京において、我が方門司健次郎駐イラク大使と先方ガーニム・アル・ジュマイリー駐日イラク大使(H.E. Dr. Ghanim Al-Jumaily)との間で行われた。
  2. 対象案件及び供与限度額

    (1) コール・アルズベール肥料工場改修計画:181億2,000万円
    (2) 原油輸出施設復旧計画:500億5,400万円
    (3) バスラ製油所改良計画(設計監理等):20億7,900万円
    (4) 電力セクター復興計画:325億9,000万円

  3. 供与条件

    (1) 金利:0.75%
    (2) 償還(据置)期間:40(10)年
    (3) 調達条件:一般アンタイド

  4. 対象案件の概要

    (1) コール・アルズベール肥料工場改修計画
    イラクにおける農業は、GDPの約1割、全就業人口の約1割を占める重要産業である。農業生産を支える肥料に関しては、イラク国内に現在2か所の肥料工場が稼働しているが、イラン・イラク戦争や湾岸戦争等の紛争や経済制裁により工場の維持管理が不十分であったことから、肥料の生産量が大幅に低下している。特に、南部バスラ県にあるコール・アルズベール工場においては、機器の老朽化等により工場の生産能力が低下していることが課題となっている。
     このため、コール・アルズベール肥料工場に対し緊急に必要となる機器の供給等を行うことにより、同工場の生産能力の改善及びこれを通じた農業生産性の向上を図ることが必要である。

    (2) 原油輸出施設復旧計画
      イラクにおいて、石油セクターはGDPの約7割、国家歳入の約9割を占める最大の基幹産業であり、ほぼ唯一の外貨獲得源でもある。しかしながら、イラン・イラク戦争や湾岸戦争等の紛争や経済制裁により、石油関連施設の増強や維持管理が不十分であったことから、原油輸出施設に関しても、設備の信頼性が低下し、原油輸出能力が不安定になっている。
      このため、イラク南部バスラ県ファオ原油貯蔵施設から原油を輸出するための陸上・海上のパイプラインを建設するとともに、海上出荷設備を設置することにより、原油輸出施設の安定的稼働及び設備能力の増加を図ることが必要である。

    (3) バスラ製油所改良計画(設計監理等)
      イラクにおいて、石油セクターはGDPの約7割、国家歳入の約9割を占める最大の基幹産業である。しかしながら、戦後復興に伴い民生用石油製品に対する需要が増加しているにもかかわらず、イラン・イラク戦争や湾岸戦争等の紛争や経済制裁により石油関連施設の増強や維持管理が不十分であったことから、イラク国内でガソリン等が不足している。
      このため、既存のバスラ製油所に、ガソリン等の生産性向上に資するプラントを新設することにより、民生用石油製品の増産を図ることが必要である。なお、本借款は、同プラントの設計監理等を行うためのエンジニアリング・サービスを対象とする。

    (4) 電力セクター復興計画
      イラクにおいて、電力セクターはあらゆる経済・社会活動の基盤である。しかしながら、イラン・イラク戦争や湾岸戦争等の紛争や経済制裁により、電力セクターへの新規投資や維持管理が不十分であったことから、送電・配電部門に関しても、機能が低下し、電力供給が不安定になっている。
      このため、イラク国内で必要性、実施可能性、事業効果等の観点から優先度の高い地域を中心に、送電・配電部門における変電用資機材の供給等を行うことにより、電力供給の安定化を図ることが必要である。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る