平成20年3月17日
- 我が国政府は、北レバノンにおける「レバノン共和国におけるパレスチナ難民キャンプ再建計画」(The programme for Reconstruction of Palestine Refugee Camp in Lebanon)」の実施のため、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を通じ、5億8,800万円の紛争予防・平和構築無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月17日(月曜日)(現地時間、同日)、レバノンの首都ベイルートにおいて、我が方_田義久駐レバノン国大使と先方カレン・アブゼイド国際連合パレスチナ難民救済事業機関事務局長(Ms. Karen Koning AbuZayd, Commissioner-General, the United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- レバノン共和国の北部に位置するナフル・エル・バーリド・パレスチナ難民キャンプにおいて、UNRWAが行う住宅支援、教育支援、精神ケア支援、日常生活支援に必要な資金を供与するもの。
(2)本計画の必要性
- 2007年5月に、レバノン北部のナフル・エル・バーリド・パレスチナ難民キャンプで、レバノン国家警察軍と過激派組織「ファタハ・イスラーム」との武力衝突が発生した。これにより、同難民キャンプに住んでいた難民の3万人以上が他の難民キャンプなどに避難し、食糧・水の確保が困難なほか、住環境も整っておらず衛生状態の劣悪な状況下での生活を余儀なくされた。
- 武力衝突自体は鎮圧化され、他キャンプへ避難した難民は、ナフル・エル・バーリド難民キャンプへ帰還を続けているものの、3ヶ月半に及ぶ戦闘によって家屋や生活インフラは破壊し尽くされて、廃墟と化したキャンプでは、最低限の生活を営むことさえ困難な状況にある。
- レバノンの不安定な国内状況によって、パレスチナ難民キャンプが国際テロ組織である過激派武装組織「ファタハ・イスラーム」の温床となったことは、レバノンの安定を妨げる要素として危惧される。2007年9月のレバノン国軍の掃討作戦で、「ファタハ・イスラーム」問題は一応収束したが、レバノン国内でパレスチナ難民の劣悪な生活環境が放置されることは、同様の過激派集団や国際テロ組織の国内浸透を許し、レバノンの不安定化に繋がる事態を招くことになりかねない。
- このような状況の下、レバノン政府及びUNRWAは、レバノン共和国におけるパレスチナ難民キャンプ再建のための支援計画を策定した。本件は、右に基づき、我が国に対し紛争予防・平和構築無償資金協力の要請があったものである。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、約3万2千人のナフル・エル・バーリド難民キャンプの帰還難民への人道支援、帰還先の地域社会の能力構築等を図ることにより、レバノンにおけるパレスチナ難民の生活環境改善および地位安定に寄与することが期待できる。
- レバノンにおける国際テロとの戦いに対して支援を行うことにより、脆弱なレバノン内政の安定化、長期的・継続的な平和の実現、ひいては中東地域の安定化及びテロの脅威撲滅につながることが期待できる。
(参考)
- レバノンは、中東に位置する面積約1万平方キロメートル、人口約360万人の国である。
- プロジェクトサイト地図および写真(添付)(PDF)

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