平成20年3月9日
- 我が国政府は、ヨルダン・ハシェミット王国政府に対し、15億円のノン・プロジェクト無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月9日(日曜日)(現地時間同日)、同国の首都アンマンにおいて、我が方加藤重信駐ヨルダン大使と先方スハイル・アリ計画・国際協力大臣(H. E. Mrs. Suhair Al Ail, Minister of Planning and International Cooperation)との間で行われた。
- 本無償資金協力の概要は次のとおりである。
(1)本無償資金協力の内容
今回の無償資金協力は、ヨルダンによる経済・社会開発に向けた取り組みを支援するために実施するもので、同国政府が積み立てる見返り資金と併せ、この取組みに必要な物品の購入に充てる資金を供与するもの。
(2)本無償資金協力の必要性
- ヨルダン政府は、2005年11月に策定した今後10年間の国家開発計画に当たる「ナショナルアジェンダ」等に基づき、政治、社会及び経済分野における継続的な改革に取り組んでいる。右イニシアティブでは、政治参画、投資、財政改革、社会資本、社会福祉、職業訓練、司法・立法改革、教育及び高等教育の8つの主な分野を最重要課題としており、2007年から2009年までを対象とした実行計画により、関連予算を確保し、各種施策の実施に努めている。
- ヨルダン政府は、国家財政が原油価格の高騰及び各ドナー国からの援助資金の減少等により、極めて厳しい状況にありながら、これまで政府が価格の下支えを行ってきた石油関連製品に対する補助金を2005年以来3度に亘り縮減し、歳入確保に向けた自助努力を継続している。
- ヨルダンには、イラク戦争後約75万人のイラク人避難民が流入しているとされており、ヨルダン政府は、イラク人避難民流入に伴う社会資本整備等のための追加的財政支出を余儀なくされている。
- かかる状況を受け、ヨルダン政府は、経済社会開発への取り組みに必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本無償資金協力の効果
- 我が国の支援により、原油価格の継続的上昇等が国家予算を圧迫し、ヨルダン政府が利用可能な財源が逼迫する中で、ヨルダンにおける財政の安定、国際収支の改善、貧困削減、失業対策といった改革を目指す同国政府の努力を支える効果が期待できる。
- ヨルダン国内の政治的・経済的・社会的安定を通じて中東和平及びイラク復興支援の実現に向けた我が国にとっての必要不可欠なパートナーとしての役割を引き続き担っていくことが期待できる。
(参考)
ヨルダンは中東の非産油国で、面積は8.9万平方キロメートル、約5.6百万人(2006年世銀)の人口の約7割以上をパレスチナ系住民が占めている。ヨルダンは中東地域の安定確保の鍵を握る重要な国であり、中東和平プロセスに積極的な役割を果たす一方で、パレスチナ情勢やイラク情勢等の影響を受けやすい脆弱な社会・経済構造を有している。人口1人当たりのGNI約2,660米ドル(2006年世銀)である。