平成20年3月5日
- 我が国政府は、モルドバ共和国政府に対し、以下の無償資金協力(総額5億円)を行うこととし、このための書簡の交換が3月5日(水曜日)(現地時間、同日)、同国の首都キシニョフ市において、我が方馬渕睦夫駐モルドバ共和国大使(ウクライナにて兼轄)と先方イーゴル・ドドン経済貿易大臣(Mr. Igor DODON, Minister of Economy and Trade)及びアナトリエ・ゴロデンコ農業食品産業大臣(Mr. Anatolie GORODENCO, Minister of Agriculture and Food Industry)との間で行われた。
(1)ノン・プロジェクト無償資金協力(セクター・プログラム無償)(供与額3億円)
(2)貧困農民支援(供与額2億円)
- 計画の概要は次のとおりである。
(1)ノン・プロジェクト無償資金協力(セクター・プログラム無償)
(イ)本計画の内容
モルドバの経済社会改革や貧困削減に向けた取組に必要な資金を供与する。
(ロ)本計画の必要性
モルドバ政府は、1991年のソ連邦からの独立以降、モルドバ東部の沿ドニエストル地域が分離独立を主張した結果、武力衝突に至り、経済危機からの復興が進まない状況が続いていたが、貧困削減、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けて、04~06年の中期的な戦略である経済成長・貧困削減戦略ペーパー(EGPRSP、モルドバ版PRSP)を策定し、持続可能かつ包括的な経済成長に向け努力した結果、近年モルドバ経済は緩やかな上昇傾向にある。更に、07年に入り、モルドバ政府は、各セクターの強化策について具体的な指針を立てた「08~11年の政府開発計画」の策定を開始するなど、改革に積極的に取り組んでいる。
このような状況の下、同国政府は我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ)本計画の効果
- モルドバ国内企業が、工業生産のための機材の輸入を通じて、短期間で同国の産業振興(特に農村部における雇用促進と産業多様化)に貢献することが期待される。
- モルドバ政府により積み立てられる見返り資金は、主に同国の中小企業振興に使用される。
(2)貧困農民支援
(イ)本計画の内容
貧困状況に置かれたモルドバ農民に対する支援を目的として、主要作物である小麦及びトウモロコシの増産のために必要な農業機械(トラクター73台)を整備するために必要な資金を供与する。
(ロ)本計画の必要性
- モルドバ共和国はチェルノーゼムと呼ばれる肥沃な土壌に恵まれ、1991年の独立以前は旧ソ連における重要な農業生産拠点であった。しかし、独立以後、旧ソ連の経済危機のあおりを受け、農業生産に必要な資機材の投入が途絶えたため、経済全体に占める農業の割合は減りつづけた。これに対し、同国政府は土地改革による農地の私有化促進による活性化を図った結果、現在では土地をリースしたり、購入したりして農地を所有する中・小規模農家が各地に誕生しており、徐々に同国全体の農業生産が回復するきざしを見せている。しかし、これらの農家はいずれも低所得であり、また民間農機ディーラー及び民間金融機関におけるクレジット制度も未整備という状況もあって、農家が自ら農機の調達や最新技術の導入を行うことは困難である。
- このような状況の下、我が国の貧困農民支援(2KR)を利用した農業機械のリース販売方式は、同国農民にとって農業機械の有効な調達手段となっており、同国政府は主要穀物である小麦およびトウモロコシの増産を促進するため、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ)本計画の効果
モルドバにおける食糧生産性が向上し、これを通じてモルドバの貧困削減、経済社会開発に貢献することが期待される。
(参考)
- モルドバ共和国は、モルドバ共和国は、旧ソ連と欧州の間に位置するする内陸国であり、人口は約420万人、一人当たりGNI(国民総所得)は1,100ドル(世銀、2006年)の国である。
- プロジェクト対象の位置図(別添)(PDF)

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