平成20年2月26日
- 我が国政府は、平和構築のための支援の一環として、イラクのアンバール県における「ファルージャ母子病院設置計画」(The project for Establishment of a Maternity and Children's Hospital in Fallujah)」の実施のため、国連開発計画(UNDP)を通じ、18億9,700万円の紛争予防・平和構築無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、2月26日(火曜日)(現地時間、同日)、ヨルダンの首都アンマンにおいて、我が方加藤重信駐ヨルダン国大使と先方パオロ・レンボ国連開発計画イラク事務所代表(Mr. Paolo Lembo, Director of United Nations Development Programme, Iraq)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- イラク共和国アンバール県ファルージャにおいて、UNDPが、既存のファルージャ総合病院を母子病院に改修することを目的として行う施設及び機材整備に必要な資金を供与するもの。
(2)本計画の必要性
- ファルージャは、旧フセイン政権の支持基盤であったスンニ・トライアングル内に位置しており、2004年3月以降、武装勢力と多国籍軍との間で激烈な戦闘が繰り返され、多数の死者が出ると共に、甚大な被害を被った。
- イラクの治安情勢は、2006年2月のサーマッラーの聖廟破壊事件以降、宗派間対立が激化したことから悪化したが、イラク治安部隊及び多国籍軍の取組が功を奏し、昨年夏以降急速に改善しつつある。ファルージャにおいても、イラク治安部隊及び多国籍軍と部族の共闘が進み、治安が著しく改善している。
- 50万人が居住するファルージャ周辺地域において中心的役割を担っているファルージャ総合病院は、湾岸戦争並びに経済制裁により、適切な施設や医療機材の維持管理・更新がなされていなかったために、適切な医療サービスが提供できない状況にある。停電が頻繁に発生する中、発電機は常時故障し、水はユーフラテス川からポンプ槽により汲み上げており、多くの医療機材が老朽化し更新が必要となっている。かかる状況を受け、イラク政府は、現在の総合病院を離れた場所に新総合病院として移転し、旧総合病院を母子病院に改修する計画を有している。
- このような状況の下、今般、国連開発計画(UNDP)を通じ、イラク政府より我が国に対し、旧総合病院を母子病院に改修する計画への支援要請があった。
- 今次計画は、ファルージャ住民に平和の成果を実感させるための支援という側面も有し、イラクの国民融和、安定化に向けても極めて意義が高い。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、アンバール県ファルージャ周辺住民50万人の母子保健サービスへのアクセスの向上と医療サービスの質が向上することが期待されている。
- また、同地域の住民に平和の成果を実感させることで、治安の改善傾向を定着させ、同地域をイラクの安定化のモデルとすることが期待されている。
(参考)
- イラクは、中東に位置する面積約44万平方キロメートル、人口約2,960万人の国である。
- プロジェクトサイト写真(添付1)(PDF)

- プロジェクトサイト地図(添付2)(PDF)
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