平成20年1月28日
- 我が国政府はネパール政府に対し、「食糧援助」として、4億円の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、1月28日(月曜日)(現地時間、同日)、カトマンズにおいて、我が方水野達夫駐ネパール国大使と先方ビッダャダール・マリック財務省次官(Mr. Vidyadhar Mallik,Secretary,Ministry of Finance, the Government of Nepal)との間で行われた。
- 本無償資金協力の概要は次のとおりである。
(1)本無償資金協力の内容
- ネパールの深刻な食糧事情を改善すべく、米の購入及びその輸送に必要な資金を供与する。
(2)本無償資金協力の必要性
- ネパールでは、就業人口の8割は農業に従事しているが、天水依存型の伝統的農法を行っており、干魃、洪水等様々な自然災害の影響を受けやすいため、全75郡のうちの中山間地を中心とする44郡で、慢性的な食糧不足が続いている。このため、国民の栄養状態は悪く、5歳以下児の栄養失調率は48%、出産時の母親の死亡率は、10万人中475人と世界最高レベルであり、貧困と食糧不足が社会政治不安の原因となっている。
- とりわけ、山岳地域16郡では、本年度は、7月下旬から8月にかけての大洪水と土砂災害により、農業が大きな被害を受け、更にもともと急峻な地形のため交通が未発達であることから、高額な輸送コストを反映し、食糧等は高価となっている。このため人々は食糧を十分に入手できない状況にある。
- このような状況を改善するため、ネパール政府は、我が国政府に対し無償資金協力(食糧援助)を要請してきたものである。
(3)本無償資金協力の効果
- WFP(国連世界食糧計画)とFAO(国連食糧農業機関)の共同のレポートによると、ネパールの2006年度の食糧不足は22万5,000トンに上るとされるが、今回の食糧援助により調達される食糧は、ネパールの山岳地域まで輸送され、市価より安価に設定された価格で販売される。そのため、地理的条件に恵まれない地域を中心とした同国の貧困層にもアクセス可能となり、同国の食糧不足の軽減につながることが期待される。
(参考)
ネパールは、面積約14万7,000平方キロメートル、人口約2,530万人(平成16/17年度)、人口1人当たりのGNI約280米ドル(平成17年)である。