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タジキスタン共和国に対する無償資金協力「ハトロン州ハマドニ地区給水改善計画(詳細設計)」及び「クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修計画(詳細設計)」に関する書簡の交換について

平成19年12月21日

  1. 我が国政府は、タジキスタン共和国政府に対し、「ハトロン州ハマドニ地区給水改善計画(詳細設計)」(The Project for Improvement of Water Supply in Mir Saiid Alii Khamadoni District of Khatlon Region)及び「クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修計画(詳細設計)」(The Project for Rehabilitation of Kurgan Tyube - Dusti Road)の実施に資することを目的として、合計1億1,200万円を限度とする一般プロジェクト無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月21日(金曜日)(現地時間、同日)、同国の首都ドゥシャンベにおいて、我が方高橋博史在タジキスタン国日本大使館臨時代理大使と先方ハムラーハン・ザリフィ外務大臣(H. E. Mr.Hamrokhon ZARIFI, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Tajikistan)との間で行われた。
  2. 計画の概要は次のとおりである。

    (1)ハトロン州ハマドニ地区給水改善計画(詳細設計)
       供与限度額 4,900万円

    (イ)本計画の内容

    • タジキスタン非常事態省が、同国南部のハトロン州ハマドニ地区モスクワ町及び農村部の給水状況を改善するため、給水施設の建設、井戸掘削機及び関連機材(発電機、トラック、水タンク車、配管工事用機材等)を調達する、「ハトロン州ハマドニ地区給水改善計画」の詳細設計を実施するための資金を供与する。

    (ロ)本計画の必要性

    • タジキスタンは、世界でも有数な水資源保有国であるにも拘わらず、全国に699ある給水施設のうち、113か所で給水が停止し、358か所で同国の水質基準を満たしておらず、全人口の59%程度にしか安全な飲料水の供給が行われていない状況であり、中央アジア・コーカサス諸国の中で最も低い水準となっている。また、貧困層の大半は、本計画の対象州であるハトロン州を含む地方の農業従事者であり、地方村落の農民に対する貧困対策は同国における重要課題の一つとなっている。同国における村落給水率は20%未満と低く、多くの村では安全な水の供給が得られず、水源を農薬や家畜の糞尿に汚染された表流水(灌漑水路の水)や浅井戸に頼らざるを得ない状況にある。一方、首都ドゥシャンベにおいてさえも、適切な上水管理がなされないまま河川の原水が直接給水されるなど給水事情は劣悪であり、これが原因で下痢などの水因性疾病が住民に広がるなど、生活に悪影響を及ぼしている。
    • このような状況の下、同国政府は、同国南部に位置する最も厳しい給水状況にあるハトロン州ハマドニ地区モスクワ町及び農村部(メハナタバッド・ジャモアットのグロボット村及びナヴァバッド村)の給水状況を改善するために必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。

    (ハ)本計画の効果

    • 本計画の実施により、ハトロン州ハマドニ地区モスクワ町に給水施設建設において、現在52%の給水率を2010年までに100%に改善し、新たに1万1,500人に給水することができ、また1日あたりの給水時間が現在12時間のところ24時間給水が可能となり、2万2,230人の全町民に安全で安定的な給水が提供できる。農村部(グロボット村、ナヴァバッド村)においても、6,640人の全村民に安全で安定的な給水が提供できる。
    • また、安全な水が供給されることによって、不衛生な灌漑水等に依存する人口が減少し、健康被害(皮膚炎、下痢等の疾病率)が軽減されるとともに、女性や子供が担う水汲み労働の軽減が期待される。

    (2)クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修計画(詳細設計)
       供与限度額 6,300万円

    (イ)本計画の内容

    • タジキスタン運輸通信省が、首都ドゥシャンベを中心に南北に延びる同国主要幹線道路網の南ルートの一区間であるクルガンチュベ-ドゥスティ間の道路(59.9キロメートル)を改修する「クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修計画」の詳細設計を実施するための資金を供与する。

    (ロ) 本計画の必要性

    • タジキスタンは、国土の約90%以上が山岳地帯という内陸国であり、首都や主要都市から隣国へ通じる幹線道路は、同国経済や社会にとって最も重要なインフラである。しかしながら、同国の主要幹線道路の多くは旧ソ連時代に建設され、既に30年から40年が経過し、また、1991年の独立後の内戦及び経済の低迷等による劣化が非常に進んだ状態にあり、同国経済発展のボトルネックとなっている。
    • 本案件の対象道路は、同国と隣国アフガニスタンの首都を結ぶ南北に延びる主要幹線道路の一区間であり、同国の国家長期計画(2006-2010)における優先道路となっていることに加え、アジアンハイウェイ構想の広域幹線道路としても位置づけられており、同国にとって非常に重要な路線と位置づけられている。
    • しかしながら、同国では慢性的な予算不足のため、予算のうち殆どを他国や国際機関からの援助に依存しつつ、道路インフラ整備が進められている。具体的には、今年8月にタジキスタンとアフガニスタンとの国境橋が米国の支援により完成し、またドゥシャンベ-クルガンチュベ間の道路(約93キロメートル)がADBにより改修され、更に、現在我が国無償資金協力によりドゥスティ-ニジノピャンジ間の道路(約23.7キロメートル:09年3月完了予定)の整備が実施されている。これらの道路インフラ整備によって、今後は交通量(特に大型トラック、トレーラー等の大型車両)が増加することが予測されるが、本案件が対象とするクルガンチュベ-ドゥスティ間の区間の道路は地下水等の影響から基礎部の状況は悪く、短期間で舗装に深刻なダメージが発生することが予見され、広域幹線道路としての機能を確保するため、緊急の舗装打換え改修工事が必要とされている。
    • このような状況の下、同国政府は、同区間の道路改修に必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。

    (ハ)本計画の効果

    • 本計画の実施により、対象区間において走行性が改善され円滑な交通が確保されることにより、始点から終点(市街地区を除く)間において、現行では安全に走行できる平均走行速度30キロメートル毎時程度が73キロメートル毎時程度、市街地区間は20キロメートル毎時程度が40キロメートル毎時程度に増加すると予測される。
    • 路肩の付帯による歩行者・自転車と走行車両の分離により、当該道路の安全性が向上する。
    • 広域幹線道路として、物的・人的交通が促進されることにより、社会・経済活動の活性化が期待される。

(参考)

  1. タジキスタン共和国は、中央アジアに位置する内陸国であり、人口は約690万人、一人当たりGNI(国民総所得)は390ドル(2006年:世銀)の国である。
  2. プロジェクト対象の位置図(添付)
    1)「ハトロン州ハマドニ地区給水改善計画」(PDF)PDF
    2)「クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修計画」(PDF)PDF

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