平成19年12月17日
- 我が国政府は、エジプト・アラブ共和国政府に対する下記の無償資金協力(貧困農民支援及び一般プロジェクト無償)を行うこととし、このための書簡の交換が、12月16日(日曜日)(現地時間、同日)、同国の首都カイロにおいて、我が方石川薫駐エジプト国大使と先方アブルナガ国際協力大臣(Her Excellency Mrs. Fayza Aboulnaga, Minister of International Cooperation)との間で行われた。
(1)貧困農民支援(供与額2.9億円)
(2)バハルヨセフ灌漑用水路ダハブ堰改修計画(詳細設計)(供与限度額7,600万円)
(The project for Rehabilitation and Improvement of Monshat El Dahab Regulator on Bahr Yusef Canal)
- 貧困農民支援の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- エジプト農業・土地開拓省が管轄する農業機械化ステーションにおいて、周辺農家への貸出サービスを行う農業機械(トラクター、コンバイン等)を整備するための資金を供与する。
(2)本計画の必要性
- 年間降水量が約5ミリメートルと極めて少ないエジプト国では、国土の大半が砂漠か土漠の不毛地帯であり、耕作可能な土地は国土の約4%に過ぎない。他方、エジプトの人口は過去10年間で約820万人増(1995年比13.2%)と急激な増加を示している。このため、農業生産性及び食糧自給率(小麦54%、砂糖57%)の向上が急務である。
- 年間を通じた二期作、三期作が農業の主流であるエジプトは、農業生産を上げるために、農業機械を必要としているが、農機は高価であるため、大多数の農民が農機貸出サービスを利用している。
- このような状況の下、エジプト政府は、貧困農民への農機貸出サービスに使用するための農機整備に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、エジプト・イスマイリーヤ県、ポート・サイード県の貧困農民(100,000戸)を支援するとともに、同国において小麦の生産性向上が図られることが期待される。
- バハルヨセフ灌漑用水路ダハブ堰改修計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- エジプト水・灌漑省が、エジプト中部に位置するバハルヨセフ灌漑用水路のダハブ堰の堰体およびゲートを改修するための資金を供与する。今回の書簡の交換は、同計画のうち詳細設計に対する支援に関して行うものである。
(2)本計画の必要性
- バハルヨセフ灌漑用水路は、エジプト全土の耕地面積の11%を灌漑する重要な農業基幹施設であるが、この地域の最上流に位置するダハブ堰は、1900年の建設から100年以上が経過しており、老朽化が激しいため堰上流の受益地への安定した水供給が達成できていない。
- このような状況の下、既存のバハルヨセフ灌漑用水路ダハブ堰の改修に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、同国バハルヨセフ地域(農地面積約3万7,000ヘクタール)の農民の所得が向上し、これを通じてエジプトの経済社会開発に貢献することが期待されている。
(参考)
ピラミッドに象徴される古代文明の発祥の地であるエジプト国は、地中海東岸の北アフリカと中東にまたがって位置する面積約100万平方キロメートル、人口7,400万人(2005年世銀)、人口1人当たりのGNI約1260米ドル(2005年世銀)である。