平成19年8月27日
- 我が国政府は、東ティモール民主共和国に対し、「マリアナI灌漑施設復旧改善計画」(the Project for Rehabilitation and Improvement of Maliana I Irrigation System)の実施に資することを目的として、総額7億3,700万円を限度額とする無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月27日(月曜日)(現地時間、同日)、同国ディリ市において、我が方清水健司駐東ティモール国大使と先方ザカリアス・アルバノ・ダ・コスタ外務大臣(H. E. Mr. Zacarias Albano Da Costa, Minister for Foreign Affairs of the Democratic Republic of Timor-Leste)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
東ティモール民主共和国農林水産省灌漑水管理局が、ボボロナ県マリアナ地域の農業生産の向上を図るため、マリアナI灌漑地区の灌漑用水路の修復改善に必要となる、(イ)水源となるブロボ川からの取水ゲート施設の改善工事、(ロ)灌漑用水路の幹線水路の改修(計1.5キロ)、(ハ)灌漑用水路の2次水路の改修(計4.46キロ)及び新設(計4.73キロ)、(ニ)水門管理棟等の建設等を実施するための資金を供与する
(2)本計画の必要性
- 全労働人口の70%以上が従事している同国の農林水産セクターは、対GDP比32%(2004年)を占める基幹産業となっているが、他方で、主食であるコメの自給率は60%程度にとどまり、年間2.5万トンを超える米を輸入している状況にあるため、同国政府は、「食糧の安全保障と食糧自給率の向上」を開発目標に掲げている。
- マリアナ地域は有数の農業地帯であり、マリアナI灌漑施設は東ティモールがポルトガル統治下にあった1972年に造られたブロボ川を水源とする同地域の主要灌漑施設であるが、1992年の大洪水により灌漑施設が被害を受け、農地に対して十分に灌漑配水できない状況が続き、水稲や畑作(主にトウモロコシ)の作付面積が縮小し、農業生産に影響を及ぼしているため、同灌漑施設の修復改善が急がれる状況となっている。
(3)本計画の効果
- マリアナ地域の現在の耕作は、天水と破損した灌漑施設の不安定な配水に依存するため、雨季(11月~4月)で約850ヘクタール、乾季(5月~10月)で約200ヘクタール程度の耕作面積に留まっているが、本件灌漑用水路を修復・改善することにより、取水量が現在の最大取水量が、0.88立法メートル毎秒から1.37立法メートル毎秒に増大し、安定的な灌漑配水により、雨季には1050ヘクタール、乾季で350ヘクタール以上での耕作が可能となり、マリアナ地域での農業生産性が向上し、食糧自給率の改善に寄与することが期待される。
- 同地域の人口の約80%が農村部に居住し、かつ、貧困世帯の85%が農村部で生活していることから、同地域の灌漑用水路の修復・改善により当該地区の農民(約1500世帯、約7800人)の収入向上が図られ、貧困削減等に寄与することが期待される。
(参考)
- 東ティモール民主共和国は、面積約1.4万平方キロ、人口約94.7万、人口一人当たりのGDPは347.4米ドル(2006年推定)である。
- プロジェクト位置図(別添)(PDF)

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