シリア・アラブ共和国 -Syrian Arab Republic- |
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節水灌漑農業普及計画 | ||
案件開始日 | 平成16年11月 | |
案件終了予定日 | 平成20年3月 | |
案 件 概 要 |
1.要請背景 | シリア国においては農業はGDPの3割を占め最大の産業となっている。人口は1730万人で人口増加率は2.7%となっており、食糧増産体制の整備が最重要課題の一つとして国家政策の中に位置づけられている。コムギ、オオムギといった食糧増産に加えて、綿花、ビート、タバコ等の工業原料供給においてもシリア農業は重要な役割を果たしている。 シリアの農業は依然として天水農業が中心であり、農地面積の75%を占める。天水農業は気候の影響を強く受けるため、年あるいは場所による生産量の変動が大きく、農業生産は極めて不安定なものとなる。一方、農地面積の25%を占めるにすぎない灌漑農業が国全体の水需要の80%以上を消費しており、他地域への潜在的灌漑用水及び都市部の生活用水を逼迫させている。 このためシリアでは、農業生産物増加及び農業生産性向上を図る上で灌漑地域の確保と大量の水を利用している農業用水の効率的な活用が重要な課題となっている。シリア政府は2000年から2004年までの5年間で全ての伝統的灌漑を節水型の近代灌漑に変えるという政策を打ち出しているが、目標年次に至っても節水灌漑の普及は実現されていない。 農業農地改革省では、各県に灌漑研究センターを設置し、地域特性(気候・降水パターンの違いによる作物(生育)の違い)に応じた灌漑方式や灌漑水量にかかる試験研究を圃場レベルで実施しているが、降水量の変動が大きいなど農業環境が厳しいうえ、農家圃場レベルでの農業生産に適した乾燥地農業技術及び普及にかかる経験・知識の蓄積が不足している。このことが農家レベルにおいて節水灌漑が普及しない原因となっている。 シリア政府はかかる問題を改善するため、農業農地改革省を実施機関とした技術協力プログラムの実施を要請した。 |
2.協力活動内容 | 活動1-1:過去及び現在のANRRの研究活動のうち、本プロジェクト実施に関連した内容のものについてレビューを行う。 活動1-2:プロジェクトサイト選定のための予備的調査を行う。 活動1-3:選定されたプロジェクトサイトのベースラインサーベイを行う。内容としては灌漑(水源・水利系統)実態調査、圃場における地下水の塩分濃度測定、農村社会経済 調査など。 活動1-4:共同水利用・組織化に係る取り組みの対象となる農家を選定する。 活動1-5:農家の協力のもと、試験展示圃場を設置する。 活動1-6:試験展示圃場を通じた活動について、共同水利用・組織化に係る取り組みのフィージビリティも含め、技術的・経済的観点から継続可能性を検討する。 活動1-7:試験展示圃場を通じた活動からのフィードバックを基に、今後取り組むべき節水灌漑技術研究の方向性について整理する。 活動2-1:過去及び現在の研修・普及活動内容についてレビューを行い、研修・普及に係る問題点と課題を明らかにする。 活動2-2:実践的な普及活動を整理した内容の研修カリキュラムと研修教材を作成する。 活動2-3:プロジェクトサイトでの研修を実施する。 活動3-1:プロジェクトサイトを含む2地域での普及を実施する。 |
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全国環境モニタリング能力強化計画 | |||||
案件開始日 | 平成17年1月 | ||||
案件終了予定日 | 平成20年1月 | ||||
案 件 概 要 |
1.要請背景 | 1980年代以降、この20年間にわたって、シリア国の工業化は緩やかながら着実な進展を見せており、火力発電所、石油精製工場、セメント工場、肥料工場などの大規模施設、ならびに金属工場、染色工場などの中小工場が大都市近郊に展開してきた。一方これに伴い、これらの工場から排出される汚水、排気ガス、粉塵等が原因となる環境問題が都市周辺において顕在化してきた。 この状況を受けて、シリア国政府は1991年に「環境基本法」(Decree No.11)を制定し、環境省を設立した。シリア環境省は、全国に広がる環境問題の解決のために、1996年に5ヶ所の地方環境局を発足させ、その後、地方環境局網を年々拡大し、2003年9月に環境省と地方行政省が合併し、2004年1月の大臣通達によりこれまで地方環境局のなかった県についても地方環境局設置が指示され全県(14県14支局)に設置している。これらの支局の主な業務は、その地方における環境行政の実施ならびに環境監視である。また、2002年5月には「排水・排ガス基準」が、7月には罰則規定を盛り込んだ「環境保護法」(Law No.50)が施行された。 先のとおり地方環境局は、14県全てに設置されているが、これらの支局には環境行政を実施するにあたって必要な環境監視技術ならびに機材が十分でなく、対応に苦慮している状態である。また、住民への普及・啓発活動を地方環境局の役割として位置づけており、各地方環境局にて活動を開始したところであるが、取組状況は県によってばらつきがあり、十分な活動がなされておらず、住民の環境意識の向上のための取り組みの強化が必要とされている。 このような背景のもと、我が国はこれまで地方行政・環境省に対し個別専門家を派遣した(環境行政2002年1月-2003年1月)。専門家の活動を通じて、現在の制度整備状況、各地方環境局の活動状況が報告され、環境モニタリング能力の強化が急務であることが確認された。 2002年7月、シリア政府は、主要地方環境局(ダマスカス、アレッポ、ホムス、ラタキア、ハマ、タルトゥース等)への分析技術指導と、ダマスカス地方環境局に対する機材供与に関する協力を日本政府に対し要請してきた。 我が国は、2004年1月から4月にかけて、同要請の具体的内容を検討するために事前評価調査を実施し、その内容に基づき2004年9月に実施協議議事録(R/D)に署名した。 |
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2.協力活動内容 | 1-1 検体採取、分析、解釈、評価、データファイリング、レポーティングに関する「標準作業手順書(SOP:Standard Operation Procedures)」を作成する。 1-2 環境モニタリング計画、検体採取、分析、解釈、評価、データファイリング、レポーティングに関する理論研修を実施する。 1-3 検体採取、分析、解釈、評価、データファイリング、レポーティングに関する実技研修を実施する。 1-4 検体採取、分析、解釈、評価、データファイリング、レポーティングに関する実地訓練(OJT)を実施する。 1-5 分析結果のチェックの仕方、評価に対する考え方、手順の研修を実施する。 2-1 試験用機器の取り扱い及び維持管理、スペアパーツの手配及び維持管理、試薬の取り扱い及び保管、試験所廃棄物(液体及び固体)の処理等に関する「O/Mマニュアル」を作成する。 2-2 試験用機器の取り扱い及び維持管理、試薬の取り扱い及び保管、試験所廃棄物(液体及び固体)の処理等に関する実技研修を実施する。 2-3 地方環境局の定期的環境モニタリングのための予算策定に関し支援・指導を行う。 3-1 試験所及び地方行政・環境省環境総局のための環境モニタリング記録フォーマットを作成する。 3-2 各地方環境局における環境モニタリング記録を作成する。 3-3 各地方環境局から地方行政・環境省本省へ環境モニタリング記録を送付する。 4-1 環境汚染源特定のための予備調査を実施する。 4-2 モニタリング地点及びモニタリング項目を特定する。 4-3 各地方環境局における、モニタリング地点及びモニタリング項目を定めた「環境モニタリング計画」を作成する。 4-4 既存の「環境モニタリング・ガイドライン」をすべての試験所の基準として定めるための支援及び指導を行う。 5-1 各地方環境局における環境教育・住民啓発の活動実態調査を実施する。 5-2 教材・マニュアル・パンフレットを整備する。 5-3 教育機関、任意団体等を対象としたセミナー・ワークショップを実施する。 5-4 各県での環境教育関係団体とのネットワーク強化、定期会合を実施する。
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水資源情報センター整備計画 | ||
案件開始日 | 平成14年6月 | |
案件終了予定日 | 平成17年6月 | |
案 件 概 要 |
1.要請背景 | シリア国は、人口増加と産業発展に伴う生活・灌漑・工業用水の需要増大や近年の降雨量の減少等により水不足が深刻化している。流域によっては、再生可能な水収支は常にマイナスであり、早ければ2007年には水資源が枯渇し始める可能性があるとのシュミレーション結果もある。しかし同国潅漑省の水資源管理体制は整っておらず、効果的な水資源配分にかかわる政策が実施されているとは言い難い。 このような状況下、シリア政府の要請を受け、我が国は「北西部・中部資源開発計画調査(フェーズ1)」(1996.8~1997.10)を実施した。この結果、水需要の逼迫状況及び水資源の適正配分の必要性に鑑み、調査対象とした5流域のうち首都ダマスカスが位置するバラダ・アワジ流域を対象とした水資源管理システム構築のF/S実施に緊急性があると結論づけられた。これを受け、「北西部・中部水資源開発計画調査(フェーズ2)」(1998.11~2000.1)が実施され、バラダ・アワジ流域における水資源情報管理システムの構築が事業として提言された。同提言を踏まえ、シリア政府は日本政府に対し、「水資源情報センター」設立に係るプロジェクト方式技術協力を要請した。プロジェクト開始当初は3年間の協力を予定していたが、2004年10月に行った終了時評価調査とその後の関係機関との協議の結果、プロジェクト目標の達成のために2年間の延長が必要であるとの結論に至った。 |
2.協力活動内容 | (1)観測網、コンピュータシステム及びネットワークの基本設計を行う。観測機材及びコンピューター機材を設置し、水資源情報システム(コンピュータシステム)を構築する。 (2)バラダ・アワジ流域及び沿岸部流域の気象、水文、地下水、水質及び処理水等の観測計画を策定する。観測及び観測データ処理に関する職員研修を行う。観測データの保存、管理計画を策定する。 (3)センターの人材育成計画を策定する。観測技術、観測データ処理、情報技術の指導法向上、各種報告書作成の指導法向上のための職員研修を定期的に実施する。 (4)水資源情報システムを運営・保守管理計画を策定する。システム保守管理マニュアルを作成する。水資源情報システムの保守管理を行う。 (5)水資源情報システムを活用するための職員研修を行う。水資源管理政策及び水利用政策の立案に必要とされる情報を提供する。 |
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