国別地域別政策・情報 国別プロジェクト概要

日本のODAプロジェクト

アフガニスタン -Afghanistan-

技術協力
結核対策プロジェクト
案件開始日 平成16年9月
案件終了予定日 平成21年9月



1.要請背景  1979年のソ連(当時)の侵攻以降23年間に及ぶ内戦後、復興支援プロセスが進展するに従い、わが国を含む各ドナーおよび国際機関による調査の結果、現在「ア」国は世界で最も保健状況の劣悪な国の一つであることが判明している。
  現在、国連の資料による同国の人口は2,247万人(2002年、WHO)である。最近10年間(1991-2001)の人口増加率が4.5%/年、出生率(47.85%/千人:WFP)も極めて高いながらも、世界で最も高い分類に入る5歳未満乳幼児死亡率(1,000出生当たり170:2002年UNICEF)、妊産婦死亡率(10万出生当たり1,600:2002年UNICEF)の結果、出生時平均寿命が男性41.1歳、女性43.7歳(WHO)と多産多死構造になっている。
  アフガニスタンの死亡要因の第一位は感染症であり、その中でも結核が大きな割合を占めている。「ア」国において結核は貧困層により多大な負担をもたらしており、人間の安全保障の観点からも重大な疾病である。「ア」国政府は国家結核対策プログラム(National Tuberculosis Program:NTP)本部を保健省内に設置し、全国の結核対策に係るガイドラインの策定や推進を行う一方で、全国の県病院や各地に点在するヘルス・センターが実施する末端の結核対策事業の取りまとめを行うこととした。一方、保健省の国立結核研究所(National Tuberculosis Institute:NTI)は全国・地方レベルの結核対策要員(検査技師・対策官)の研修と結核検査のレファレンス・ラボラトリーとしての業務を担っている。「ア」国における結核対策は1950年代に国家事業として開始し、我が国は1974年からプロジェクト方式技術協力を開始、1979年には無償資金協力にてNTIを建設した。1992年の内戦悪化によりNTIは破壊され、同事業は中断されたが、1997年にWHOやNGOの支援を受けてカブール市内の中央ポリ・クリニックにてその機能の一部を再開した。「ア」国は同年より結核治療の手段としてWHOが世界的に推奨しているDOTS(Directly Observed Treatment, Short-course;短期化学療法を用いた直接監視下治療)の拡大を決定しており、DOTS普及を通じ、結核罹患率及び結核による死亡率を下げることが喫緊の課題となっている。以上のことをふまえ、本プロジェクトは、他ドナーやNGOとの連携を行いつつ、NTPとNTIの強化を通じてDOTSの普及を主とする全国の結核対策事業を推進することを目的として2004年9月より実施された。
  2005年11月にはプロジェクト開始当初より予定されていたとお閨A運営指導調査団を「ア」国へ派遣し、プロジェクトの進捗状況や、NTIがNTPの下部組織となるなどの現地体制変化を確認し、PDMの整理を行った。結果、結核検査分野への協力をひとつのエントリーポイントとしつつモデル地域(バルフ県)におけるDOTSの確立を行うとともに中央レベル(NTP)では国家結核戦略やガイドライン、年間計画の策定の過程に引き続き積極的に関与していくという方針が決定された。
2.協力活動内容 1.-(1)NTPの組織編成と各部署の所掌範囲の確定および組織運営管理体制の整備。
1.-(2)DOTS普及のための結核対策ガイドラインの改訂。
1.-(3)活動運営費の確保および活動実施計画の策定。
1.-(4)結核対策支援機関等との連携協調の促進。
1.-(5)抗結核薬に関する結核対策指針と必須医薬品リストの整合性の確保。
1.-(6)保健省と県レベルにおける結核対策に関する情報管理システムの確立。
1.-(7)NTP本部職員(保健省内)への訓練の実施。
1.-(8)結核に関する啓蒙活動の実施。
1.-(9)結核対策に関するモニタリングおよび評価の実施。
2.-(1)NTIの組織編成と各職務範囲の確定および組織運営管理体制の整備。
2.-(2)NTIの活動を継続するための自主財源の確保。
2.-(3)NTI/NTP配属職員へのトレーニングの実施。
2.-(4)結核対策に関する研究活動の実施。
2.-(5)結核対策に関する調査活動の実施。
2.-(6)レファレンス・ラボラトリーの設置。
2.-(7)NTIの活動に関するモニタリングおよび評価の実施。
技術協力
リプロダクティブ・ヘルスプロジェクト
案件開始日 平成16年9月
案件終了予定日 平成21年9月



1.要請背景  現在、アフガニスタン(以下「ア」国)は世界で最も保健状況の劣悪な国の一つである。「ア」国では、妊産婦死亡率が10万出生あたり1,600(2004年「ア」国保健省)と、世界で最も高いレベルにある。これはイスラム社会独特の社会的、文化的な問題および物理的な問題からリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスへのアクセスが非常に困難であること、また保健・医療人材の技術不足、脆弱な保健システムが原因となっている。このような状況からリプロダクティブ・ヘルス政策やガイドラインの改善、政策実施体制の強化は急務である。
  「ア」国では、中央、州の両レベルにおいてリプロダクティブ・ヘルスの政策立案、医療サービスの提供を行うための人材が不足し、医療施設、機材も整備されていない。リプロダクティブ・ヘルスに携わる人材、特に女性の医療従事者の育成が緊急の課題である。全国保健医療資源調査(2002年)によれば、基礎的なリプロダクティブ・ヘルスサービスが提供可能な一次医療施設は全一次医療施設の17%、全国に473人の助産師しかいない状況であり、助産師の立会いによる出産は5%とされている。また、リプロダクティブ・ヘルス関連医療従事者の技術水準も低い。そのため、リプロダクティブ・ヘルス分野政策立案および実施運営能力の強化、看護師及び助産師への技術水準向上など人材育成システムの強化はリプロダクティブ・ヘルス事業の推進のため不可欠である。
  「ア」国保健省は妊産婦死亡率の低下を目標として、2004年1月にリプロダクティブ・ヘルス部を設置した。同部は、「質の高い家族計画サービスへのアクセス向上」、「産科救急ケアへのアクセス向上」、「訓練された介助者による出産介助を増やす」の3つの政策を実施するため、人材育成を統括する人材開発部および各州の保健局と連携し、各州へのリプロダクティブ・ヘルス行政官配置と、マラライ病院をはじめとする産科教育病院での保健医療人材の育成を担っている。
  多くのドナーがリプロダクティブ・ヘルス分野へ支援を実施している。UNICEFは安全な母性プログラムを展開しており、産科救急に係る技術指導、施設整備などマラライ病院を中心に行っている。UNFPAは家族計画を中心としたプログラムを行っている。USAIDは保健省への助言、助産師学校支援などを支援するほか、人材開発課と協力して国家研修マネージメントワーキンググループの支援をすでに開始している。同ワーキンググループは現在、各種研修の標準カリキュラムの作成などを行っており、マラライ病院でのリフレッシュ研修や指導者用研修の実施に於いて本プロジェクトと連携し、実施することが可能である。WHOは保健省への技術的アドバイスを行うとともに、母子保健指導者育成研修、母子パッケージ(安全な母性、家族計画、妊産婦ケア、新生児ケアを含む)の導入などを行っている。
  本プロジェクトは、過去の活動実績を活かして、他ドナーやNGOとの連携を行いつつ、行政官への研修を通じたリプロダクティブ・ヘルス政策の強化と、活動拠点であるマラライ病院でのリプロダクティブ・ヘルスサービスの提供及びリプロダクティブ・ヘルス関連人材の育成を目的として実施する。これにより政策の立案から実施、評価まで一貫した質の高いリプロダクティブ・ヘルスサービスの提供が可能となる。
2.協力活動内容 1.-(1) リプロダクティブ・へルス行政官の職務内容策定
1.-(2) リプロダクティブ・ヘルス行政官用研修ガイドラインの策定
1.-(3) リプロダクティブ・ヘルス行政官用研修カリキュラムの策定
1.-(4) 保健省リプロダクティブ・ヘルス政策に合致したリプロダクティブ・ヘルス行政研修計画の策定
1.-(5) 現地語による研修マニュアルの作成
1.-(6) 指導者用研修コースの実施
1.-(7) 保健省リプロダクティブ・ヘルス部職員および各州保健局のリプロダクティブへルス行政官用研修の実施
1.-(8) 研修モニタリングおよび評価メカニズムの開発
1.-(9) 州リプロダクティブ・ヘルス行政官から裨益者へのリプロダクティブ・へルスに係る啓蒙活動のサポート
1.-(10) リプロダクティブ・ヘルス分野の政策立案、実施運営能力に係るベースラインサーベイの実施
2.-(1)マラライ病院が教育・研修病院として必要な技術水準に達するための臨床サービスの強化
2.-(2)病院内における研修モニタリング機関の設置
2.-(3)各種技術研修ガイドライン(産科救急・院内感染など)の開発
2.-(4)各種技術研修カリキュラム(産科救急・院内感染など)の開発
2.-(5)保健省の政策に沿った形での各種技術研修(産科救急・院内感染など)計画の策定
2.-(6)現地語によるトレーニングマニュアルの作成
2.-(7)指導者用研修コースの実施
2.-(8)保健医療サービス提供者を対象とした各種技術研修の実施
2.-(9)研修モニタリングおよび評価メカニズムの開発
2.-(10)医療従事者の技術水準に係るベースラインサーベイの実施
技術協力
女性の経済的エンパワーメント支援
案件開始日 平成17年2月
案件終了予定日 平成22年2月



1.要請背景  アフガニスタンでは、過去23年間に及ぶ戦争とその後のタリバン政権下において、女性は政治的、社会的、経済的に極めて困窮した状況に置かれてきた。国内外の難民・避難民となった女性も多く、パキスタンやイランの難民キャンプにおいても、様々な困難に遭遇してきた。アフガニスタンの女性の妊産婦死亡率は、10万出生対1700であり、世界で2番目に高い。また、15歳以上の成人の非識字率は、女性78.1%(男性48.1%)であり、生涯にわたる「学習権」が確保されていない状態にある。女性が男性と同様に社会に出て就業することは難しく、女性の職業は教育および医療分野に集中しており、戦争で配偶者を失った寡婦や貧困女性には生計を立てる手段がほとんど無い。
  女性の権利を回復し地位向上を図るために、2001年12月、アフガニスタン暫定政権のもと女性課題省が設置された。同省からの要請に基づき、JICAは2002年5年より継続的に複数の短期専門家および長期専門家1名を派遣し、情報収集とともに女性課題省の能力強化および政策支援、法的保護などに向けた技術協力を行ってきた。2003年4月~7月には、短期専門家によりカブール市内の困窮している女性及び寡婦100名を対象に経済・社会状況調査を実施し、さらに、2003年9月には、要請背景調査団(女性の経済的エンパワメント支援分野)を派遣した。
  現在、アフガニスタン女性課題省では、「女性課題省の組織および役割」(2003年4月13日)という活動計画書が採択され、その中でも女性の経済的エンパワメント局を通じて、女性の起業家育成、就業状況の改善などを推進することに高い優先順位が置かれている。また、地方連携局のもと、各県に女性開発センター(Women's Development Center)を設置し、そのセンターを通じて地方の女性に様々な生計技術を提供し、女性の権利を保障し、NGOとの連携を強化するという政策も明示しているが、9月の要請背景調査団派遣時において、JICAに対しては特に女性の自立に向けた経済的エンパワメント向けた支援の要請があったことから、本調査団によりアフガニスタン女性課題能力向上を通じ、中央及び地方における貧困女性の経済的自立を図ることを上位目標に掲げる技術協力プロジェクト案が提案された。
2.協力活動内容 1-1 女性課題省に設置される女性ビジネスセンターを通じ、女性の経済的活動を推進する(マーケティング、製品開発、デザインの向上など)
1-2 女性ビジネスセンターおよびカブール市内の「女性パーク」に設置されるエンポリウムにおいて、中央および地方の女性グループの生産物や商品の展示・販売を促進する。
1-3 女性課題省の経済開発局の経済政策立案・実施能力を強化する。
2-1 カンダハルおよびバーミヤンの女性センターを基盤にして、地域のNGOとの連携を通じて、地方の貧困女性の組織化を促進し、各種の女性組合の形成を図る。
2-2 地方の女性組織・組合の能力向上を図り、カブールの女性ビジネスセンターとの間の製品や情報の流通を図る。その活動の中に、必ずノン・フォーマル教育(識字等)、および必要に応じて生活改善を含める。
2-3 カンダハルとバーミヤンで作られた物が、カブールでも販売される流通経路が確立される。
2-4 カンダハルとバーミヤンにおいて、女性生産者が組織化され相互扶養の関係が構築され、各種の女性組合が形成される。
2-5 マーケティング情報を一つの場所(One-Stop Office)に集約し、提供する事で、欧米やアジアなどからのバイヤーや投資家と事業実施団体(援助機関、NGO、民間企業等)が結びつけられ、直接的な商取引が可能となる。
2-6 伝統工芸品の生産を通じての現金収入向上が達成され、女性の社会経済地位の向上を図られる。
2-7 「アフガニスタンの女性」が作る伝統手工芸品のマーケットが確立され、生産者である女性の現金収入が増す。
2-8 女性のビジネス拡大に必要な原材料の輸入手段、輸送手段、貿易保険、銀行間取引など商業インフラについての情報を収集し、女性課題省と協力して関連政府機関(商業省、財務省、国立銀行)や民間セクターに対し、具体的な政策提言や協力要請を行えるようになる。
2-9 アフガニスタンの手工芸品が、カブール以外の周辺地域(特にインド、パキスタン)や欧米・アジアでの市場開拓ができ、恒常的な販売機会を得ることができる。
2-10 女性課題省の地方開発局の経済政策立案・実施能力を強化する。

ジャムづくりプロジェクトに参加する女性(マザリシャリフ)

経済局職員を対象としたワークショップ
写真提供/JICA

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