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日本のODAプロジェクト

ペルー共和国 -Republic of Peru-

技術協力
人権侵害及び暴力被害住民への包括的ヘルスケア強化プロジェクト
案件開始日 平成17年3月
案件終了予定日 平成20年3月



1.要請背景 ペルー国(以下秘国)では、1980~2000年にかけて、センデロ・ルミノソに代表されるテロリストグループと政府の対立により、特に貧困層が集中する山岳地帯を中心に、地域住民をも巻き込んだ破壊活動が行われた。その結果、多数の住民が犠牲になるとともに、暴力被害を受けた住民及びその家族は、心的外傷後の精神的あるいは身体的健康障害に陥り、貧困と暴力被害の二重の苦しみを抱えた生活を余儀なくされている。このような中、秘国政府は、一連のテロリズム活動の結果に対する真相究明和解委員会(以下CVR)を設置し、被害状況や責任の所在等を明らかにし、国としての対策を講じる努力を行ってきている。CVRの調査、保健省の精神保健に関する調査結果によると、暴力により被害を受けた住民の、生活に対する失望感(喪失感)や公的機関に対する不信感の強さは大きく、よって社会的適応が困難な状態が続いている。また、社会の中に「精神病」に対する偏見も根強くあり、精神的障害に陥っている者は、通常の保健医療機関には訪れにくい、訪れても精神的な悩みを打ち明けにくい現実がある。さらに、全国で500人いる精神科医も、400人がリマ、その80%が保健省の精神病院に勤務しており、地方まで目が行き届かない状況に加え、臨床心理に携わる人材も少ない。これら状況に鑑みると、住民が最初に接するプライマリレベルの保健医療従事者が、これら暴力による被害状況を取り巻く現状を理解し、柔軟に対処できる能力を身につけること、また家族・コミュニティ等市民社会の参加も視野に入れた包括的ヘルスケアによる、身体/心理/社会的な健康の回復(獲得)の重要性が国内でも認識されている。同国に対するわが国の協力として、2003年から保健省をカウンターパートとし、国として優先課題に挙げている母子保健に焦点を当てた保健医療従事者の技能向上に資する研修を行ってきている。主に暴力被害が激しかったとされる地域において、地域の保健医療従事者の技能向上に貢献するものと評価されている。しかし、本協力は暴力に曝された社会が受けている影響に配慮したものではなく、同国政府からは、更なる研修内容・カバーエリアの充実とともに、暴力被害住民への包括的ヘルスケアの実施が期待されている。このような背景のもと、秘国政府は、暴力被害により影響を受けた地域における住民が、より良い質の保健医療サービスを享受し、物理(身体)/心理/社会的な健康を獲得できる環境づくりを目標とし、アカデミックなVステムと保健医療サービス提供の連携も視野に入れたプロジェクトの実施を要請越した。
2.協力活動内容 1-1 (学部・院生レベルで)暴力/人権等のトピックを含めたカリキュラムに改編する
1-2 UNMSM医学部の選出された教員、及びMINSAの病院・研究機関の専門職従事者(成果2,4のトレーナー候補者)に対し、「人権と、暴力の影響を受けた住民に 対する包括的ヘルスケア」に関する研修を行う
1-3 コースモニタリング/スーパーバイズを行う
1-4 コース評価を実施する
1-5 プロジェクト経験普及のための全国大会を開催する
1-6 プロジェクト経験普及のための国際地域会議を開催する
2-1 UNMSM医学部と保健省地域保健事務所間で協力合意書を結ぶ。
2-2 暴力被害者への包括的ヘルスケアに関する保健サービス現状、保健医療従事者の能力状況、被害者の特定マップ等の基礎調査を行う。
2-3 UNMSM教員をトレーナーとし、保健医療従事者への研修プログラムを実施する(40人/1小診療圏×5箇所でW/Sを実施)
2-4 研修モニタリング/スーパーバイズを実施する
2-5 研修内部評価を定期的に実施する
2-6 5パイロットサイトネットワークでの経験共有W/Sを行う
3-1 研修計画を作成し、実施準備を行う
3-2 研修教材を作成する
3-3 研修参加者経験共有W/Sを実施する
3-4 研修参加者への評価を実施する
4-1 社会的資源調査を行う(バイリンガルヘルスボランティア(西語/ケチュア語)の特定等含む)
4-2 地域毎にワークショップを行い、包括的ヘルスケア強化のための住民参加型地域保健活動計画を作成する
4-3 住民参加型保健活動に関するモニタリングを行う
4-4 四半期毎に、住民参加型保健活動の内部評価(経験/情報共有含め)を行う

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