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日本のODAプロジェクト

チリ共和国 -Republic of Chile-

技術協力
鉱害防止指導体制強化
案件開始日 平成14年7月
案件終了予定日 平成19年6月



1.要請背景  チリ国には世界の39%を占める銅の埋蔵量があるとともに、モリブデン、金、炭酸リチウム、硝酸塩類などでも世界的な産出国である。同国において鉱業は国内生産の10%、輸出の約40%を占める重要産業である。
同国政府は、鉱業が将来に亘っても発展していくためには、鉱業にかかる環境問題が適切に処置されることが重要であると判断し、1990年代から鉱山の環境保全に関する政令を制定してきた。現政権は、環境問題を重視し、産業界に対して環境を犠牲にした経済開発を認めない姿勢を打ち出している。また政府は、鉱業の環境負荷が極めて大きいこと、現行法では環境基準が不十分なことを認めており、法整備を進めている。
現在チリ国には推定約4000の休廃止鉱山が存在している。しかし、現行の鉱業法では、操業を停止した鉱山の採掘跡や廃滓堆積場などに関する修復義務が規定されておらず、多くの休廃止鉱山はその実態が把握されないまま放置されている。その結果、次のような鉱害のリスクが存在している。1.鉱山や廃滓堆積場からの粉塵による農産物や住民の被害、2.廃滓堆積場の崩壊による河川・湾の水質汚濁、3.鉱山からの酸性排水による水質汚濁や土壌汚染などがある。
こうした中、現在同政府は閉山法の制定を急いでいる。しかしながら、鉱害防止の実施機関となるSERNAGEOMIN(地質鉱山局)では、鉱害調査、閉山計画や環境対策計画の評価・モニタリングに係る技術や経験が不足しており、これに係る能力向上が必要となっている。
チリ共和国は2000年10月に「鉱害防止指導体制強化」に係るプロジェクト方式技術協力の要請を日本国政府に提出した。これを受け、我が国は2001年5月と8月にそれぞれ第1次・第2次短期調査を実施し、案件の実施妥当性・活動計画・供与機材などの協議を行った。
チリ共和国は同制度を基本とした新制度を構築しようとしており、技術面だけでなく制度面からも、日本の優位性を活かすことができる。この後、我が国は2002年1月に実施協議調査団を派遣し、SERNAGEOMINの鉱害防止技術の向上を目的とした本プロジェクトのR/Dを署名・交換した。
2.協力活動内容 1.計画通りにプロジェクトに必要な人材を配置する。
2.日本の鉱害防止に係る法規・規則及び鉱害に係る検査や調査方法を紹介する。
3.モデルサイトで休廃止鉱山の実態を調査し、堆積場、鉱業廃棄物、露天掘採掘場、坑内採掘・坑口、粉塵飛散、坑排水他の各項目毎に危険度判定技術を指導する。
4.現在SERNAGEOMINが所有しているデータベース・ソフトを改善し、実態調査結果を入力できるようにする。
5.稼働中モデル鉱山において、堆積場、鉱業廃棄物、露天掘採掘場、坑内採掘・坑口、粉塵飛散、坑排水他の各項目毎に閉山時に必要な対策技術を指導する。
6.稼働中モデル鉱山において、堆積場、鉱業廃棄物、露天掘採掘場、坑内採掘・坑口、粉塵飛散、坑排水他の各項目毎に、鉱害防止調査技術を指導する。
7-1.モデル稼働鉱山において、閉山対策を何時までに如何なる工事を終了する必要があるのかを設定する鉱害防止計画策定技術及び、閉鎖時の費用算定評価方法を指導する。
7-2.休廃止鉱山において、鉱害管理対策策定技術及び鉱害防止対策の費用算定評価方法を指導する。
8.現在SERNAGEOMINが実施している鉱業環境影響評価に技術的助言を与える。
9.鉱害汚染度を把握するために、化学分析機器を設置し、機器維持技術を改善する。
10.化学分析結果のデータ分析技術及び解析結果の評価技術を指導する。

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