国別地域別政策・情報 国別プロジェクト概要

日本のODAプロジェクト

パキスタン・イスラム共和国 -Islamic Republic of Pakistan-

技術協力
地方行政能力向上プロジェクト
案件開始日 平成16年8月
案件終了予定日 平成18年8月



1.要請背景  パキスタン国では、1999年10月陸軍参謀長ムシャラフ大将(現大統領・国家安全保障会議長)を中心とする軍事クーデターが発生した。ムシャラフ政権は、3年以内に国家を民政復帰させることを命じた最高裁判決(2000年5月)に従い、2002年10月に国政・州議会選挙を実施した。2001年8月に発表された民政復帰のスケジュールに沿って、2001年8月までに全ての市町村で地方選挙を行い、首長と地方議会議員を選出した。
  更に、2001年8月には新しい地方行政法(Local Government Ordinance 2001)が施行された。新たにディストリクト(県)政府を最上層(以下、テフシール(郡)、ユニオン(町村))とする3層性の地方行政制度が始まり、District政府等の地方政府首長の公選制、新しい地方政府への州政府からの権限委譲等の地方分権化政策が実施された。一方、地方政府では新制度による混乱が生じている。その理由として、1)地方行政が依然として中央政府から派遣された国家公務員を中心に行われていること、2)新制度に関する情報が末端の地方政府まで十分に行き渡っていないこと、3)新制度下における地方政府の役割が明確になっていないこと、4)地方政府職員の能力・人員が不足していること等があげられる。
  新制度の中で取り入れられたCitizen Community Board(CCB:注1)事業も、地方の開発において住民組織の参加を促す新たな行政サービスとして期待されたが、現時点では適切に機能していない。その理由として、1)制度があるが実施の方法が不明であること、2)住民が制度を活用出来るほどエンパワーされていないこと、3)CCB予算の執行が遅れていること等があげられる。これらの問題を改善するためには、地方政府の事業実施能力の向上は不可欠であると言える。
  このような状況を踏まえ、「地方行政能力向上プロジェクト」がパンジャブ州政府から要請された。そのプロジェクトは、CCB事業にかかる業務改善及び行政官の能力開発を通じて、CCB事業における透明性・効率性の高い行政サービスの運営が行われることを目標としている。
注1:Citizen Community Board(CCB)事業CCBは、2001年8月に発布された新地方行政法の「ボトムアップによる開発及び政策づくり」という理念を実現させるため、右法律により新たに設置された制度のことである。地域住民組織による地域開発活動(CCB活動)に対して政府が資金援助を行う。
2.協力活動内容 1. CCB事業に関する地域コミュニティ及び地域住民のニーズや問題点を地方政府が把握する。
1-1. 地方政府行政官に対して地域ニーズに関するインタビューを実施する。
1-2. CCB事業及び活動(2003年度) 状況のモニタリングを行政官とともに実施する。
1-3. CCB事業及び活動に関する地域社会経済調査を行政官とともに実施する。
1-4. CCB事業及び活動のモニタリング・地域社会経済調査の結果に関して行政官とともに分析を行う。
2.(地方政府の組織分析調査により)CCB事業に関する地方政府の行政(運営)上の改善点を地方政府が把握する。
2-1. 行政官とともに地方政府の組織構造及び階層の分析を行う。
2-2. 行政官とともに地方政府のCCB事業運営に関する情報の伝達・共有及び意思決定のメカニズムを分析する。
2-3. 行政官とともに地方政府のCCB事業運営に関する規則及び責任者の権限を調査・分析する。
3.モデルディストリクト政府によってプロジェクトサイクルのコンセプトを活用したCCB事業改善計画が策定され、適用される。
3-1. CCB事業改善に関わるチームメンバーを選出し、その役割を定める。
3-2. CCB事業改善の目的を明確化し、チーム内で共有する。
3-3. 地域社会経済調査及び地方政府の組織分析調査の結果に基づいて、CCB事業改善計画の達成目標及びその指標を設定する。
3-4. 各段階の達成点を明確にするためにCCB事業改善の作業工程を作成する。
3-5. CCB事業改善を試行し、進捗状況を記録する。
3-6. 3-5の記録に基づき、CCB事業改善活動をモニタリングする。
3-7. 3-6.のモニタリング結果に基づき、必要に応じ、改善計画の修正を行う。
3-8. CCB事業改善計画の達成目標及びその指標に関して評価を行う。
3-9. モニタリング・評価の分析を取りまとめ、事例研究及び評価報告書を作成する。
4.モデルディストリクトにおいて、地方政府幹部、職員、及び議員がプロジェクト活動を行ううえで必要な技術及び知識を修得する。
4-1. 地方政府幹部及び職員、議員に対して、地方行政運営、プロジェクトサイクルマネジメント、情報管理・活用、コミュニティ活性化・地域開発・事例研究に関するトレ ーニング、ワークショップ等を実施する。
4-2. 上記トレーニング、ワークショップ等に対するモニタリングを実施し、トレーニング・ワークショップ等の内容に関する修正を行う。
4-3. 上記トレーニング、ワークショップ等の参加者に対して試験、インタビュー等を実施し、達成度を図る。
4-4. プロジェクトに関連する日本の事例を紹介し、プロジェクトの主要な関係者への啓蒙を実施する。
写真提供/JICA


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