ミャンマー連邦共和国 -Republic of the Union of Myanmar- |
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児童中心型基礎教育強化プロジェクト | |||||
案件開始日 | 平成16年12月 | ||||
案件終了予定日 | 平成19年12月 | ||||
案 件 概 要 |
1.要請背景 | ミャンマーの初等教育は、正規の就学率が67%、修了率が40%程度と低い水準にとどまっている。その理由として、農村部における学校へのアクセスの悪さに加え、暗記・暗唱を中心とした教授方法及び硬直した進級・進学制度が指摘されている。すなわち、児童の十分な理解よりも、教科書の内容をどれだけ暗記したかが重視され、暗記量を測る試験により進級・進学が決定されるため、暗記できない児童は進学ができないのである。このため、暗記・暗唱中心型の学習から児童中心型の学習への転換が必要とされている。 我が国は、1997年から1999年にかけて個別専門家「基礎教育カリキュラム改善」を教育省に派遣し、(1)「理科」の復活、(2)「地理」及び「歴史」の「社会科」への統合、(3)「総合学習」の新規導入のための支援を行った。また、2001年3月から2004年7月まで、開発調査「基礎教育改善計画調査」を実施し、暗記型学習から児童中心型学習への転換を支援するため、(1)理科・社会科・総合学習の3教科における教師用指導書の作成、(2)教育大学における教育・研修機能強化方策の提案、(3)小学校建設・補修にかかる整備計画の策定を行った。 我が国のこれらの協力は、ミャンマーの教育改革にインパクトを与え、教育省内外から高い評価を得ている。教育省は、個別専門家の上述の提言を採用するとともに、開発調査の提言を踏まえ、児童中心型学習を基礎教育における基本的な教授・学習方法とすることを全国に通達し、その普及のための中核的機関として基礎教育リソース開発センター(Basic Education Resource Development Center:以下BERDC)を新たに設置した。今後は、BERDCと全国の20の教育大学を拠点として、児童中心型学習を全国に普及させていく方針である。このため、ミャンマー政府は日本政府に対し、BERDCの専任スタッフの育成、教育大学における児童中心型学習に係るカリキュラムの改訂、現職教員への児童中心型学習の研修実施体制の確立のための協力を要請した。(注1)児童中心型教育とは、子どもの興味や関心に基づき、能動的な学習活動を展開していこうとする教育である。児童中心型の学習においては、子どもに自由に考える機会を与え、創造的な思考の発達を目指す。また、社会で直面する様々な問題や困難をいかにして解決するか、という問題解決型の学習活動を取り入れる。 |
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2.協力活動内容 | 成果1に対する活動 活動1-1: BERDCスタッフの能力向上のための組織内研修を行う。 活動1-2: 対象地区においてベースライン調査を実施する。 活動1-3: 児童中心型学習普及のための研修、モニタリング及び支援制度を開発する。 活動1-4: 児童中心型学習の研修を受けた教員が所属する小学校において、児童中心型学習の実践のモニタリング及び支援を行う。 活動1-5: 児童中心型学習の将来的全国普及のための中長期計画を策定する。 成果2に対する活動 活動2-1: 教育大学の教員を対象とした児童中心型学習のための研修を開発する。 活動2-2: 教育大学の教員を対象に研修を実施する。(BERDCスタッフから教育大学教員へ) 活動2-3: 教育大学教員を対象とした研修のモニタリングを行う。(BERDCスタッフから教育大学教員へ) 活動2-4: 教育大学の教育科目のなかで、児童中心型学習の概念を取り入れる必要のある科目(教育原理、教育心理学、及び教育方法)のカリキュラム改訂を行う。 活動2-5: 改訂された教育大学のカリキュラム発表のためのセミナーを開催する。 成果3に対する活動 活動3-1: 児童中心型学習の考え方に基づいた新しい評価制度を開発する。 活動3-2: 現在進行中の3つのパイロットタウンシップにおける児童中心型学習の実践(注4)をレビューし、教育管理者を対象とした研修を開発する。 活動3-3: 教育管理者(州/管区の教育管理者、中央官庁の職員、タウンシップ教育行政官、校長)を対象に研修を実施する。(BERDCスタッフ/教育大学から教育管 理者へ) 活動3-4: 児童中心型学習の研修及び実践に対するモニタリング及び支援を行う。(教育大学/タウンシップ教育行政官から教育管理者へ) 成果4に対する活動 活動4-1: 現在進行中の3つのタウンシップにおける児童中心型学習の実践をレビューし、小学校教員を対象とした研修プログラムを開発する。 活動4-2: 小学校教員を対象に研修を実施する。(教育大学の教官から小学校教員へ) 活動4-3: 児童中心型学習の研修及び実践に対するモニタリング及び支援を行う。(タウンシップ教育行政官から小学校教員へ) (注4)教育省教育計画局は、2004年6月から、ダラ(ヤンゴン管区)、チャンミャタジ(マンダレー管区)、ジョウビンガウ(バゴー管区)のパイロットタウンシップにおいて、教育管理者、学校群選抜トレーナー及び一般教員を対象とした児童中心型学習の研修を開始した。我が国は、開発調査「基礎教育改善計画調査」の補完調査(2004年4月から7月まで)において、この研修の計画・内容の策定、教材の開発、実施及び評価のための支援を行った。
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地域展開型リプロダクティブ・ヘルス・プロジェクト | ||
案件開始日 | 平成17年2月 | |
案件終了予定日 | 平成22年1月 | |
案 件 概 要 |
1.要請背景 | ミャンマー国では、保健医療従事者の知識/技術および数の不足、物理的アクセスの悪さや保健システムの未整備などによる末端(特に農村地域)の保健医療施設/サービスの不足ないし欠如、基礎的薬品や避妊薬(具)の不足などが原因で、家族計画/リプロダクティブヘルス(FP/RH)のサービスおよび情報への住民のアクセスが限られている。そのため、これらのサービスや情報に対するアンメット・ニーズ*(満たされていないニーズ)が全国的に高い。また、伝統的習慣やリプロダクティブヘルス関連の情報や教育の不足が原因で、国民のリプロダクティブヘルスに対する理解や関心・知識が不足している。 2004年8月から施行の「ミャンマー国リプロダクティブヘルス5ヵ年戦略計画」および国連人口基金「世界人口白書」から関連指標を見ると、妊産婦死亡率が高い(出生10万対402)、乳児死亡率が高い(出生千対83)、避妊実行率が低い(32.7%)、避妊を望みながら実行できない個人/カップルの割合が高い(58%)、専門技能者が介助する出産の割合が低い(56%)という問題がある。特に妊産婦死亡原因の約50%を(非合法であるはずの)中絶による合併症が占めているという現状は、ミャンマー国でリプロダクティブヘルスを推進する上で、大きな課題となっている。地域的には、シャン州、中でも北シャンと東シャンが、妊産婦死亡率が500を超えるなど、国内他地域に比べてリプロダクティブヘルス関連の指標が悪く、ニーズの高い地域となっている。 このような現状を踏まえ、プロジェクトでは、特に望まない妊娠や安全でない中絶の結果起こる妊娠/中絶合併症の予防と安全な妊娠・出産(Safe Motherhood)の推進を柱に、対象地域、特に(出産可能年齢の)女性のリプロダクティブヘルスを向上させることを目標とする。 |
2.協力活動内容 | (成果1に対応する活動):保健施設およびコミュニティ(地域)で提供されるリプロダクティブヘルス・サービスの質を向上させ、また、危険な妊娠の兆候を早期に発見し、産前・出産時・産後の女性に適切なケアを提供できるように、以下の活動を行う(安全で清潔な自宅分娩の確保や第一次医療施設までの照会も含む)。 1)リプロダクティブヘルス・サービス提供者を対象にした研修および再研修 2)保健医療従事者と保健推進員の連携システムの確立 3)病院、地域保健センター(RHC)およびサブセンター(Sub-RHC)などの保健施設および基礎的資機材の改善 4)プロジェクト地区のリプロダクティブヘルス・サービス、保健施設、リプロダクティブヘルスに対する住民の意識に関する現状調査 (成果2に対応する活動):リプロダクティブヘルス推進活動を支援するための地域組織づくり(既存の地域組織と保健医療従事者、ボランティアの保健推進員との連携強化)を行うとともに、地域住民のリプロダクティブヘルスに関する知識と意識を向上させ、自らの健康を希求する行動(Health-seeking behavior)をおこすための広報教育活動(IEC/BCC; Information, Education, Communication/ Behavioral Change Communication活動)、およびこれらIEC/BCC活動に必要な人材の育成を行う。 1)IEC/BCC活動を実践する人材の育成(保健医療従事者を対象にした指導者研修、左記指導者による、保健推進員や地域の指導者などを対象にしたIEC/BCC研修、の2段階に分けた人材育成) 2)地域住民を対象にしたIEC/BCC活動(上記研修を受けた人材が実施する) 3)IEC/BCC活動に必要な教材開発/作成 4)地域住民とリプロダクティブヘルス・サービスとを結ぶ地域支援体制の確立 (成果3に対応する活動):プロジェクトの効果的な計画・モニタリング・評価のためのプロジェクト実施システムを整え、また、プロジェクト関係者のマネージメント能力強化のための研修を行う。 1)各レベルにおけるプロジェクト運営委員会の設置(中央レベルに「プロジェクト運営委員会」(PSC)、タウンシップレベルに「タウンシップ・ワーキング・グループ」(TWG)、村レベルに「四半期会合」) 2)運営委員会メンバーおよびプロジェクト関係者を対象にしたマネージメント研修 3)本邦および第三国の既存のモデル事例視察による能力開発研修 (成果4に対応する活動):ミャンマー国内の当該分野のプロジェクト実施者やプログラム策定者を対象に、当プロジェクトの実施プロセスを文書化し、その経験・成果・教訓を関係者に移転または共有するために、以下の活動を行う。 1)中央レベルにおける、半期ごとのプロジェクト報告会議の開催 2)プロジェクト実施者向けのガイド・マニュアルの作成 3)地域展開型リプロダクティブヘルスプロジェクトの経験・成果・教訓の文書化 4)同経験・成果・教訓の共有・移転を目的としたワークショップまたはセミナーの開催 5)国内他地域/プログラムとの経験交流セミナーや相互訪問研修の実施 |
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乾燥地共有林研修・普及計画 | ||
案件開始日 | 平成13年12月15日 | |
案 件 概 要 |
1.要請背景 | ミャンマー国では森林の急速な減少が大きな問題となっており、1990~2000年の10年間に毎年51万7,000haの森林が失われている。森林減少の主要な要因は、国全体が必要とするエネルギーの80%を依存している薪炭材供給のための伐採にあるとされている。ミャンマー国中央部に位置する乾燥地は、降水量が少ないにも関わらず、全人口の3分の1が居住していることから、森林減少および土壌流失の程度が特に激しい地域である。 このような状況の下、ミャンマー国政府は1990年代後半となってから、乾燥地における植林の推進と、住民参加型森林管理の促進を林政課題の重点の一つとして掲げ、共有林令を策定してコミュニティーフォレストリーを推進することとした。 ミャンマー国政府は、この共有林令に基づく住民参加型森林管理を促進するため、森林局職員の普及能力の向上、および乾燥地の農村地域住民の生活水準向上を目的とした技術協力に関して、我が国に対し要請してきた。 |
2.協力活動内容 | 1. 現状の普及体制の調査、適切な普及手順および手法の特定、望ましい普及実施体制の立案、普及活動の地域的な優先度の特定、普及担当職員が備えるべき技術及び資質の特定、研修計画の策定 2. 研修講師養成、研修カリキュラム策定、研修教材及び普及マニュアルの開発、普及担当職員及び管理職を対象とした研修の実施、及び研修の評価 3. 住民向け共有林令マニュアル作成、普及実習の指導及び補助、普及担当職員に対する補完研修、住民に対するセミナー、普及実習の評価、ユーザーグループによる共有林管理状況の評価、普及計画の見直し |
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ハンセン病対策・基礎保健サービス改善プロジェクト | ||
案件開始日 | 平成12年4月1日 | |
案 件 概 要 |
1.要請背景 | ミャンマー国は、感染症が死因及び疾患の上位を占め、保健省も第三次国家計画において各感染症のプライオリティーを高め、優先的に取り組んでいる。その中で、ミャンマー国は、ハンセン病患者数が世界で五指に入る多発国となっているため、1950年初頭からWHOの指導を受けてハンセン病対策に取り組み、ハンセン病対策のための専門スタッフが養成され組織化されていたが、1977年から基礎保健サービスの中に統合された。このような背景の下、ミャンマー国政府はハンセン病を中心とした感染症対策の強化と、住民に直接保健サービスを提供するスタッフの訓練を中心とした基礎保健サービスの強化を目的としたプロジェクト方式技術協力を要請してきた。 |
2.協力活動内容 | <活動内容> 1. 各種トレーニングの実施 2. ハンセン病に対する理解を得るための啓蒙普及活動 3. 基礎保健分野全般の医療(看護)の知識及び技術の普及 <活動拠点> ヤンゴン:保健省保健局 :ヤンゴン中央特殊皮膚科外来 マンダレー:イエナダハンセン病病院・研修センター :マンダレー特殊皮膚科外来 3管区:District Hospital, Township Hospital, Station Hospital, Rural Health Center, Sun Center 等 ![]() |
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灌漑技術センター計画(フェーズ2) | ||
案件開始日 | 平成12年4月1日 | |
案 件 概 要 |
1.要請背景 | ミャンマーの農業は、国内総生産の52%(就業人口の63%が従事)、総輸出額の46%を占める基幹産業であり、「国家4大経済目標」には、農業を中心とする経済発展が最優先課題に掲げられている。 ミャンマー政府は、農業生産の増大のため1992年以降急ピッチで灌漑開発を推進しており、全農地に占める灌漑農地の割合は1992年の13%から1995年の19%に向上した。その一方で、生産現場での灌漑計画の未熟さと施設の操作・維持管理等の水管理技術が未確立であるために、圃場まで計画どおりの水が行き渡らず、米の生産量は1995年以降停滞している。政府は、農業生産の安定・向上に資するため、灌漑面積の更なる拡大を図ると共に、我が国に対して、これまで実施して来た技術協力の成果を継続的に発展させる形で、水管理関係技術の向上を目指した技術協力(フェーズ 2)の実施を要請してきた。 |
2.協力活動内容 | 1. 基幹施設水管理 モデルエリアの水管理の現状の調査と評価 ほか 2. 末端施設水管理 モデルエリアの水管理の現状の調査と評価 ほか 3. システム開発 灌漑面積のデータベースの開発 ほか 4. 灌漑情報管理 既存灌漑地区の水管理モニタリング手法の検討 ほか 5. 研修 研修マスタープランの策定 ほか ![]() |
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