モロッコ王国 -Kingdom of Morocco- |
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地方村落妊産婦ケア改善プロジェクト | ||
案件開始日 | 平成16年11月 | |
案件終了予定日 | 平成19年11月 | |
案 件 概 要 |
1.要請背景 | 「モ」国の母子保健分野においては、妊産婦死亡率が出生10万人当たり230(UNICEF世界子供白書2000年)と高く、早急に解決すべき課題とされている。とりわけ都市部の妊産婦死亡率が125であるのに対し、地方村落部は307と地域格差が著しく(1997年保健省調査:Enquete National sur la Santé de la Mère et de l’enfant)、高度な医療サービスを提供できる都市部は施設分娩が7割を超える一方、地方村落部の公的医療機関は設備や技術水準が低く、施設分娩率は3割にとどまり、伝統的産婆(以下「TBA」)の介助による自宅分娩が主流となっている(2002年保健省年報)。 このように妊産婦ケアの問題は、地域間格差の問題とも相まって「モ」国における当該分野の優先課題となっている。保健省は「リスクなき分娩」プログラムを推進し、質の高い妊産婦ケアを提供する為、近年助産師・看護師の養成数を増員している。 しかし、村落部における保健サービス提供の現状は、施設分娩率の低さから妊産婦のニーズが十分反映されていないと推測され、量的なマンパワーの充足とともに「提供する保健サービスの質の改善」、特に基礎医療レベルにおける保健サービスの質の改善および充実が当面の課題となっている。これらの課題に対する保健政策は、「医療従事者の質の向上にかかわる体制の整備」があげられているものの、現状ではそれらの体制は確立されておらず、保健サービス提供者である助産師、看護師を対象とする実践的な継続教育システムを整備するニーズは高いと考えられる。 わが国の今迄の協力は、フェズ・ブルマン州、メクネス・タフィラレット州及びグルミン・エスマラ州の3州に対して2002~2003年度の無償資金協力「地方村落妊産婦ケア改善計画」により、村落部の基礎医療機関の整備、機材供与を実施した。また、同地域を対象に、2002年から国別研修「地方村落妊産婦ケア改善計画」を実施し、妊産婦ケアにかかわる指導者レベルの人材育成も行っている。また2004年度から保健省及び州、県保健支局の保健支局長クラスを対象にした国別研修「地方保健行政」が開始され、妊産婦ケアのサービス向上とともに、保健行政の強化を目指している。 「モ」国の母子保健分野の課題に対し、UNFPA、UNICEF等の国際機関やUSAIDやGTZ等の2国間協力は、医療施設・機材等の整備や医療従事者の緊急産科ケア研修に重点を置き実施されてきた。現在、本案件のプロジェクト対象州では他ドナーの活動はなく、他の地域においては、緊急産科ケア研修の他、TBAへの教育、遠隔地の妊産婦及び家族の為の「分娩を待つ家」の建設等、本案件とは異なるアプローチに重点を置いた活動が実施されている。「モ」国の政策上は、「新5ヵ年計画(2000~2004)」において、保健医療分野での地域格差是正が取り上げられ、保健サービスのカバー率の不十分さ、地域間格差を解決すべき基本的問題とし、都市部、地方村落部の公共保健医療施設の設置を目指している。特に、村落部の妊産婦死亡率の問題については、現段階で十分な成果が得られておらず、保健省の「保健政策2003-2007」の中で重点課題の一つにあげられている。このような背景のもと先方政府は地方村落の妊産婦ケア改善の為のプロジェクトを要請してきた。 |
2.協力活動内容 | 0.1 事務所設営とプロジェクト組織の確立 0.2 より詳細なプロジェクト計画の立案 0.3 モニタリング及び評価調査の実施 1.1 研修プログラムの開発と実施のための委員会の設置 1.2 パイロット県の調整責任者の配置 1.3 必要な研修内容の検討 1.4 研修プログラムの作成 1.5 研修マテリアルの作成 1.6 講師の選定 1.7 必要に応じた講師の訓練の実施(日本での研修も含む) 1.8 研修プログラムの試行 1.9 試行結果に基づくプログラムの改善 1.10 継続教育研修システムの形成 1.11 3州の職員を含めた定期的研修システムの実施 1.12 研修及び受講者の業務実施後の変化のモニタリング実施 1.13 研修システムの改良 1.14 研修システムに関するセミナーの開催 2.1 地方村落部での母子保健に関する現在の調査・計画・運営管理内容の確認 2.2 計画・運営管理に関する活動及び組織活動の改善の方向性の明確化 2.3 日本における母子保健関連の保健行政実施に関する研修の実施 2.4 地方村落部での母子保健改善のため、地域保健活動の強化の促進 2.5 組織活動の変化のモニタリング実施 2.6 地方村落部でのよりよい母子保健活動のための組織力強化に関する適切な助言の提供 3.1 地方村落部での妊産婦ケアに関するニーズアセスメント 3.2 地方村落部の妊産婦、家族、地域社会を対象とした保健センター、診療所および巡回サービスにおける適切なIEC活動の計画 3.3 IEC活動の実施 3.4 IEC活動のモニタリングと改良 3.5 IEC活動に関するセミナーの開催 4.1 巡回診療において提供される適切な妊産婦ケアに関するニーズアセスメント 4.2 巡回診療において提供される妊産婦ケアの確立と標準化 4.3 妊産婦ケアに関する適切なサービス実施にかかわる巡回診療チームの強化と監理システムの確立 4.4 標準化された妊産婦ケアに関する巡回診療サービスの実施 4.5 活動及びその効果のモニタリング実施 4.6 標準化された妊産婦ケアに関する巡回診療サービスの改善 4.7 標準化された妊産婦ケアに関する巡回診療サービスにかかわるセミナーの開催 |