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イラクに対する円借款の供与について(事前通報)

平成18年3月28日

  1. わが国政府は、イラクに対し、「港湾整備計画」、「灌漑セクターローン」および「アル・ムサイブ火力発電所改修計画」を実施するために必要な、総額764億8,900万円を限度とする円借款を供与することとした。イラク側に通報した上で、イラク新政府の発足後に、円借款の供与に関する交換公文の署名を行う予定である。

  2. 対象案件および供与限度額
    (1)港湾整備計画  302億1100万円
    (2)灌漑セクターローン  95億1400万円
    (3)アル・ムサイブ火力発電所改修計画  367億6400万円

  3. 供与条件
    (1)金利:0.75%
    (2)償還(据置)期間:40(10)年
    (3)調達条件:一般アンタイド

  4. 対象案件の概要

    (1)港湾整備計画
     ウンム・カスル港はイラクで最も重要な港湾であり、その整備を進めることは、イラク経済・社会の復興においても喫緊の課題である。しかしながら、イラン・イラク戦争、湾岸戦争等の紛争や経済制裁により港湾整備への新規投資や維持管理が不十分であったことから、港湾機能が大幅に低下している。
     このため、同港および周辺航路において浚渫、沈船除去、港湾施設整備等を行うとともに、浚渫船等の資機材供与等を行うことにより、同港等の港湾機能および交通・流通網の拠点としての機能の復興を図る。

    (2)灌漑セクターローン
     イラクにおける農業は、非石油部門GDPの約1割、全就業人口の約1割を占める重要産業であり、主として乾燥気候帯に属する中部・南部等では灌漑が不可欠である。しかしながら、湾岸戦争等の紛争や経済制裁により、灌漑・排水用資機材や灌漑用排水路の維持管理が不足し、灌漑機能が低下しており、紛争や干魃等もあって、農業生産高が減少している。
     このため、イラク全土の中で農業が重要な地域(ムサンナー県を含む。)において、灌漑排水ポンプや灌漑水路の維持管理に必要な資機材の供与等を行うことにより、イラクの農業生産の向上および中長期的な雇用の拡大を図る。

    (3)アル・ムサイブ火力発電所改修計画
     イラクにおいて、十分な電力を確保することは、経済復興と社会安定回復にとって必要不可欠である。しかしながら、湾岸戦争等の紛争や経済制裁により電力部門への新規投資や維持管理が不十分であったことから、発電機能が大幅に低下している。
     このため、バグダッド郊外に位置する既存のアル・ムサイブ火力発電所の改修(1号機および3号機等)を行うことにより、主にバグダッドに対する電力供給能力の改善を図る。

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