2002年8月
1.我が国の環境ODAとEcoISD
我が国は、経済発展に伴う環境汚染への対策を整備するため、また環境問題の根源にある貧困問題を解決するため、更には地球規模の環境問題に対応するために、多岐に亘る分野で途上国を支援している。我が国は、これらの環境ODAの取組が、環境問題解決のためにますます重要な役割を担っていくことを確信し、世界の持続可能な開発を支援するため、今後も環境ODAを引き続き積極的に実施していく。
2.EcoISDの理念
(1)人間の安全保障(Human Security)
(2)自助努力と連帯(Ownership & Partnership)
(3)環境と開発の両立(Pursuit of Environmental Conservation & Development)
3.環境協力の基本方針
以下の基本方針に沿って環境分野での協力を進める。
(1)環境対処能力向上(キャパシティ・ディベロップメント)
(2)積極的な環境要素の取り込み
(3)我が国の先導的な働きかけ
(4)総合的・包括的枠組みによる協力
(5)我が国の経験と科学技術の活用
4.行動計画(ODAを中心とした我が国の国際環境協力)
4つの重点分野について、以下に示す協力を進める。
(1)地球温暖化対策
温暖化が開発途上国の持続可能な開発を損なうものであるとの認識を高め、途上国に温暖化対策に係る技術の移転・普及を図るとともに、科学的、社会的、制度的側面を含めた温暖化問題への対処能力の向上を図る。
(2)環境汚染対策
急速な経済成長を遂げつつあるアジア諸国を中心に、都市部での公害対策及び生活環境改善(大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理等)への支援の重点化を図る。
(3)「水」問題への取組
都市部・農村部の特徴を踏まえた上下水への対策と、水資源管理及び水質保全のためのソフトの支援を行う。
(4) 自然環境保全
開発途上国の自然保護区等の保全管理、森林、砂漠化防止及び自然資源管理に対する支援を、住民の貧困削減に向けた取組を検討しつつ、行っていく。
5.我が国の新たな取り組み
(1)2002年度から5年間で5000人の環境分野の人材育成に協力する。
(2)地球環境保全へのインセンティブを付与するため、環境分野の案件に対する円借款は引き続き譲許的な条件(優遇条件)で行う。
(3)地球環境無償資金協力の充実を図り、地球規模の環境問題の解決に資する協力を推進する。
(4)国際機関等との広範囲な連携の促進を図る。
(5)環境ODAの事後評価の充実に向け、評価手法の一層の改善を図る。