重点政策・分野別政策 分野別開発政策

持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ(略称EcoISD)
Environmental Conservation Initiative for Sustainable Development

2002年8月

1.我が国の環境ODAとEcoISD

 1992年の国連環境開発会議(UNCED)において、環境問題の深刻さが世界的に認識され、その後、各国や各機関による環境対策プロジェクトが進められてきているが、世界的な環境悪化傾向は好転していない(注1)。地球規模の環境問題は、持続可能な開発に対して重大な影響を与え、一国のみの努力だけで解決できる水準を既に超えている。我が国は、環境保全、なかんずく地球環境の保全は、先進国と開発途上国が協力し、共同作業によって強力に推進されるべきものであることを改めて確認する。さらに、環境問題は、単に個別の環境対策を実施することにより解決されるものではなく、社会・経済全体を「持続可能な開発」という観点から見直し、これに沿った社会システムを作っていくための包括的な取組を長期的な視点に立って行うことによって、着実に解決すべきものであるということを再認識する。
 我が国は、途上国における環境問題が、当該途上国のみならず、我が国を含む国際社会全体に深刻な影響を及ぼす重要な課題であるとの認識の下、従来よりODAを通じた環境対策を重視している。UNCEDの際、我が国は、「持続可能な開発」実現への貢献として環境分野における政府開発援助(ODA)を92年度から5年間で9000億円から1兆円を目処として大幅に拡充・強化することを表明した。その後、我が国は途上国との間で環境政策対話の充実等を通じ環境分野での協力に努めた結果、96年度までの5年間の合計は、約1兆4400億円となり、当初の目標を4割以上上回る実績を達成した。また1997年の国連環境開発特別総会(UNGASS)の際には、引き続きODAを中心とした環境協力の更なる充実を図っていくために、「21世紀に向けた環境開発支援構想」(ISD構想)を発表した。これは、我が国の環境協力の理念と、今後の協力の柱となる行動計画をとりまとめたものであり、この方針に基づき、様々な取組を実施してきた。
 我が国の環境ODAは、経済発展に伴う環境汚染への対策を整備するため、また環境問題の根源にある貧困問題を解決するため、更には地球規模の環境問題に対応するために、大気汚染・水質汚濁・廃棄物対策、省エネルギー、上下水道整備、自然環境保全、洪水対策、組織・制度の整備等といった多岐に亘る分野で途上国の自助努力を支援している。我が国は、これらの環境ODAの取り組みが、環境問題解決のためにますます重要な役割を担っていくであろうことを確信する。
 ISD構想の発表から5年が経過し、国際社会が地球温暖化問題に対処するために京都議定書の発効を目指し、新しく「水」の問題がクローズアップされるなど環境分野において国際的な大きな動きが生じてきている。また厳しい経済・財政状況など我が国のODAをとりまく状況も変化している。このような中で、我が国としては世界の持続可能な開発を支援するため、今後もODAを中心とした環境協力を引き続き積極的に実施していく考えであり、これまで以上に効率的かつ効果的に環境分野の協力を進めていくために、「21世紀に向けた環境開発支援構想」(ISD構想)を改め、ここに「持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ」(EcoISD)を発表する。

2.ECoISDの理念

(1)人間の安全保障Human Security:環境問題は人間の生存への脅威であり、人間の安全保障(注2)の視点から取り組むことが重要である。

(2)自助努力と連帯Ownership&Partnership:環境問題を解決するためには、途上国が第一義的な責任と役割を担って主体的に取り組むとともに、国際社会の多様な主体が共同して対処することが重要である。

(3)環境と開発の両立Pursuit of Environmental Conservation & Development:環境と開発の両立を図り、持続可能な開発を進めていくことは世界全体の課題である。開発途上国が環境と開発の両立を達成するためには、先進国が途上国の経済的・社会的状態を勘案しつつ開発に際して必要な環境配慮(注3)に対する支援や環境保全を目的とした協力を実施していくことが重要である。

3.環境協力の基本方針

 我が国は、上記の理念及び開発途上国との政策対話の促進、各国の発展段階を踏まえた施設建設及び機材供与等のハード、人づくり等のソフト両面からの協力、南南協力への支援といったODA全体に係る基本方針とともに、以下の基本方針に沿って環境分野での協力を進める。

(1)環境対処能力向上(キャパシティ・ディベロップメント)(注4)

 環境にかかる組織、関係者の総合能力を高めるため、環境に関する技術の修得等を含めた人づくりを推進するとともに、制度構築及び機材整備などに対する協力を行う。途上国による自らの能力向上を目指して、長期的な視点から協力を行う対象を選定するとともに、関係者の優先分野や対象方針などの決定及び事業実施への参加、行動能力を高めるための共同作業、広く国民等の環境意識の向上を図る環境教育など、過程を重視した協力を推進する。
(2)環境要素の積極的な取り込み

 あらゆる開発計画及び案件プログラムにおいて環境保全の要素を取り込み、貧困削減と環境保全が統合されるとともに、適切な環境配慮がされた取組を支援することによって、環境問題が改善に向かうよう努力する。

(3)我が国の先導的な働きかけ

 開発途上国にとっては、環境分野の援助の必要性が高くても、開発案件を優先しがちであるため具体的な援助案件に結びつかない場合が多い。このため、政策対話、各種フォーラムや適切な協力方法を通じて環境保全へのインセンティブの付与を促すとともに環境意識の向上を図る。

(4)総合的・包括的枠組みによる協力

 広域的あるいは地球規模の環境問題の解決のために、例えばセンターアプローチ(注5)やモデル・アプローチ(注6)など拠点集中的に行う協力と、広域面的に行う協力を組み合わせるなど、多様な形態の協力を効果的に組み合わせて総合的・包括的枠組による協力を実施する。

(5)我が国の経験と科学技術の活用

 我が国のかつての環境問題克服の経験や現在の複雑化する環境問題への対応、ノウハウは地方自治体、民間企業等を含め幅広い協力主体に蓄積されている。また、我が国の有する観測、データ解析、対策技術等に関する科学技術は、途上国の環境問題の解決に大きな役割を果たし得る。このような観点から、ODAとそれ以外の各種協力(国際機関、自治体、民間団体、NGO等)との積極的な連携を図る。

4.行動計画(ODAを中心とした我が国の国際環境協力)

 上記の理念及び基本方針を踏まえつつ、4つの重点分野、(1)地球温暖化対策、(2)環境汚染対策、(3)「水」問題への取組及び(4)自然環境保全について、それぞれ以下に示す協力を進める。

(1)地球温暖化対策

 地球温暖化問題は、先進国、途上国を含めた世界の全ての国が影響を受け、先進国の取り組みだけでは解決することができないグローバルな環境問題である。国際的な取り組みの強化を図るため、我が国はいち早く2002年6月に京都議定書を締結した。また、同年3月には地球温暖化対策推進大綱を閣議決定し、我が国が発表した「京都イニシアティブ」(注7)の実施といったODA等の活用などを図ることにより、引き続き地球温暖化対策に取り組む開発途上国等の努力を積極的に支援していくこととした。
 この問題に対する途上国の取り組みを促進するためには、持続可能な開発の一環として温暖化対策を位置づけ、温暖化が開発途上国の持続可能な開発を損なうものであるとの認識を高め、途上国に温暖化対策に係る技術の移転・普及を図るとともに、科学的、社会的、制度的側面を含めた温暖化問題への対処能力の向上を図る。また、特に今後活発な経済成長が期待されるアジア地域における対策の推進に優先的に取り組んでいく。

「京都イニシアティブ」に基づく支援の継続
地球温暖化問題に対する認識を高めるため、主に温室効果ガス排出量の急増が予想される途上国を対象に派遣される環境分野の専門家等が、地球温暖化問題への啓発を行うことを奨励する。
政策対話や調査などを通じて地球温暖化対策に係る途上国のニーズを把握するとともに、政策・プログラムに重点を置きつつ地球温暖化対策に係る案件形成を強化する。
京都議定書に基づくCDM(注8)への参加を促進するためキャパシティ・ビルディング等を行う。
被援助国の同意を前提としてODA事業をCDM事業としても実施する。

(2)環境汚染対策

 我が国の経験を活かし、急速な経済成長を遂げつつあるアジア諸国を中心に、都市部での公害対策及び生活環境改善(大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理等)への支援の重点化を図る。
 対策の効果を上げるためには、実効的な規制(enforcement)と技術的資金的支援(incentive)の組み合わせが必要であるため、政策対話を行い、途上国の規制の実効性を確認しながら実施する。

環境センター(タイ、インドネシア、中国、エジプト、メキシコ及びチリ)による対処能力強化。これらセンターの相互連携を図り、必要に応じ南南協力への支援も行うことにより、近隣国の対処能力向上も目指す。
「東アジア酸性雨モニタリング・ネットワーク(EANET)」(注9)の推進を支援する。
「グリーン・エイド・プラン(GAP)」(注10)による、制度構築等を通じた技術・ノウハウの普及に取り組む。
円借款等の活用により、クリーナー・プロダクション等win-winアプローチの導入(注11)を図りつつ、工場等の汚染源対策を実施する。
北九州イニシアティブ(注12)の考え方に基づく地方自治体の取組を支援する。
途上国の実状に適した低コスト・簡易型の技術を開発・移転するとともに、技術移転に必要な途上国の人材育成、エンジニアリング技術、廃棄物処理・リサイクル技術などの技術基盤の構築を支援する。
大都市の大気汚染を改善するため、環境負荷の少ない都市交通の整備(注13)を支援する。

(3)「水」問題への取組

 途上国の中には、安全かつ衛生的な水へのアクセスを持たず、汚染された地下水の利用による健康被害が生じたり、さらには水需要の多くを占める農業用水の不適切な管理が塩類集積等の原因となって農地の生産性を低下させるなど、「水」に起因する問題が発生している。
 水の汚染の原因で多いのは生活排水や産業排水による原水の汚染である。上下水道が完備していない途上国においては、未処理の下水により水源を汚染する等の問題もあり、これらの国の水問題解決のためには、都市部・農村部の特徴を踏まえた上下水への対策をあわせて行う必要がある。衛生的な水の供給は、感染症対策等人々の健康を守るために極めて大きな効果を発揮するものであり、開発途上国からの強い要請もあるので、重点的かつ効果的に協力を行う。
 また、こうしたハードの面のみならず、有効な水質保全行政手法(水の汚濁を防止するための規制等)、水質モニタリング、地下水汚染対策(地下水汚染の調査技術や浄化対策技術等)、環境教育を通じた意識の向上、科学的知見の共有といった水資源管理及び水質保全のためのソフトの支援も重要であり、こうした分野の支援を行う。
 なお、2003年3月には第3回世界水フォーラムが我が国において開催される予定であり、我が国がこの分野での協力を推進することによって、国際社会の取り組みの強化を促していくことの意義は大きい。

安全かつ安定的な飲用水の提供及び衛生的な下水道の普及を支援する。また、地下水をはじめとした水資源開発をモデル的に推進し、周辺国への普及を促す。
NGOとの連携による維持管理、住民による運営体制の確立、女性の役割にも配慮した技術協力の推進等、適正な水資源管理のための能力構築を支援する。
農業用水については、食料の増産や天然資源の持続可能な管理等を図るため、適切な潅漑・排水技術及び維持管理に対する協力が必要であることから、我が国が有する経験を活かした住民参加型の協力を実施する。
「アフリカ開発会議(TICAD II」東京行動計画に盛り込まれた水分野への協力を推進する。
世界淡水アセスメント計画(注14)が実施している国レベルの淡水評価に関するデータベースの作成、キャパシティ・ビルディング等途上国の人材育成に対し、ユネスコを通じた協力を継続する。

(4)自然環境保全

 開発途上国は生物多様性に富んだ自然環境を有しており、世界の自然環境の保全において重要な役割を果たしているものが少なくない。しかし、社会、経済及び技術的な状況から、単独では自然環境の保全と自然資源管理を適切に行えない国が多い。また、多くの住民が生活基盤を自然資源に依存しているため、環境保全に係る活動とともに住民の貧困削減に向けた支援を検討することが重要である。さらに、我が国は、生物多様性条約に基づいて新・生物多様性国家戦略を2002年3月に地球環境保全関係閣僚会議で決定し、世界レベルの生物多様性の保全と持続可能な利用の促進を図るための取組みを開始したところでもある。開発途上国の自然保護区等の保全管理、森林、砂漠化防止及び自然資源管理に対する支援を行っていく。

豊かな生物多様性を有する地域の自然環境を保全するため、調査研究、公園及び野生生物生息域保全管理等政府機能の統合的な強化を図るプログラムを支援する。
国際サンゴ礁イニシアティブに基づき、サンゴ礁及び関連する生態系についての研究、保全及び普及啓発を図るため、太平洋地域における拠点となるパラオ国際サンゴ礁センターの研究・教育機能に対する技術移転を促進する。
森林は、生物多様性の保全、水源の涵養、木材供給など多様な機能を有し、人間の生活基盤として大きな役割を果たしている。NGO、国際機関等とも連携しつつ、持続可能な森林経営を推進する。また、森林の違法伐採対策のように、その解決に向けて国際的なパートナーシップが必要な課題については、関係国及び機関と協調して取り組んでいく。特に、「アジア森林パートナーシップ(AFP)」(注15)の進展を図るとともに、国際熱帯木材機関(ITTO)等に対する貢献を継続する。
森林の減少・劣化及び砂漠化等自然環境の劣化の進行の背景には、貧困、土地利用政策などの社会経済的、政策的な問題があることから、環境と調和した持続可能な農業政策の確立や、地域住民や地方政府の参加を得た社会林業や植林等の活動を推進する。
ユネスコが実施しているアジア・太平洋地域の生物圏保存地域等における人材育成(注16)等、天然資源の持続可能な利用を促進するための取組に対する協力を継続する。
森林減少、砂漠化、黄砂等の地球環境変動の監視結果・予測など的確な科学情報に基づいて、途上国自身が環境保全政策を形成・実施できるよう(注17)、地球観測技術、環境評価・予測技術、効果的な政策手法等の普及及び早期警戒システムの確立等の対策を支援する。

5.我が国の新たな取り組み

 環境分野全般に共通した新たな取組は以下のとおり。

(1)環境分野における人材育成5000人

 開発途上国の環境問題への対処能力向上のために、2002年度から5年間で、5000人の環境分野の人材育成に協力する。

(2)優遇条件による円借款

 地球環境保全へのインセンティブを付与するため、環境分野の案件に対する円借款は引き続き譲許的な条件(優遇条件)で行う。。

(3)地球環境無償資金協力の充実

 途上国における森林の保全・造成、新エネルギー及び再生可能エネルギーの活用、大気汚染や水質汚濁等への対応、優れた自然環境の保護、生物多様性の保全といった地球規模の環境問題の解決に資する協力を推進する。

(4)国際機関等との広範囲な連携の促進

 地球環境ファシリティ(GEF)、クリティカル・エコシステム・パートナーシップ・ファンド(CEPF)(注18)、国際農業研究協議グループ(CGIAR)、アジア生産性機構(APO)及び人的資源開発信託基金などの国際機関等と連携した事業を展開する。

(5)環境ODAの事業評価

 環境ODAの事後評価の充実に向け、評価手法の一層の改善を図る。


<注>

(注1)UNEP,Global Environment Outlook3(2002)によると、「多くの地域の環境状況は、1972年と比較するとより脆弱となり悪化しています。」と結論づけている。

(注2)人間の生存、生活、尊厳に対する脅威から各個人を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために、一人ひとりの視点を重視する取組を強化しようとする考え方である。

(注3)なお、我が国の援助の実施に際する環境配慮については、政府開発援助に関する中期政策(平成11年8月発表)において、「環境配慮ガイドライン等に基づき、必要に応じ環境アセスメント等を行いつつ、事前に厳しく審査する。その結果に応じ、適切な対策を講じるとともに、環境に与える結果次第では実施しないこととする。その際、開発案件が、持続可能な開発の実現にとって適切なものとなるよう、必要に応じ代替案を含めて検討する。」と規定している。また、円借款供与に当たっては環境社会配慮のために設けられたJBICの新環境ガイドラインを適切に運用することとしている(2003年10月施行。ただし、一部については2002年10月施行予定)。

(注4)OECD開発援助委員会(DAC)の定義によれば、環境能力とは、ある状況下の個人、集団、機関、あるいは制度が、持続可能な開発を達成するための努力の一環として、環境問題に取り組む能力を表し、環境能力開発(capacity development in the environment: CDE)は、環境能力や適切な制度が育成される過程を指す(DAC,Donor Assistance to Capacity Development in Environment,1995)。

(注5)センター・アプローチとは、環境センターなどの拠点を中心とした協力を行い、途上国側努力による全国的な普及を側面的に支援する方式。

(注6)モデル・アプローチとは、重点地域を作り、その経験を他の地域で学ぶ方式である。

(注7)京都イニシアティブは、1997年12月に京都において開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議の議長国として、ODAを中心とした温暖化対策途上国支援を一層強化するために、ISD構想の温暖化対策途上国支援として我が国が発表したもの。(1)「人づくり」への協力:平成10年度から5年間で、3000人の温暖化対策関連分野(大気汚染、廃棄物、省エネルギー、森林の保全・造成)の途上国における人材育成に協力する、(2)優遇条件による円借款:温暖化対策関連分野への協力を積極的に進めていくため、主として森林保全・造成、公害防止、省エネルギーのような分野に対して国際的に最も譲許的な条件(金利0.75%、償還期間40年(2002年8月現在))の円借款を供与する、(3)我が国の技術・経験(ノウハウ)の活用・移転:我が国の公害・省エネ対策の過程での技術・経験(ノウハウ)を活用し、温暖化対策に関する途上国の実状に適合した技術の開発・移転、調査団の派遣やワークショップの開催を行う。

(注8)クリーン開発メカニズム(CDM)とは、京都議定書に基づく京都メカニズムの一つであり、先進国(投資国)の資金・技術支援等により途上国(ホスト国)において温室効果ガスの排出削減につながる事業を実施し、当該プロジェクトを実施しなかった場合に比して追加的な排出削減があった場合、所要の手続きを経て発効されるクレジットを、その先進国の削減目標の達成に利用することができる制度。

(注9)東アジア酸性雨モニタリングネットワークとは、東アジアにおける酸性雨への共通理解を形成し、情報交換による各国間の協力推進を目的としており、1998年4月から試行稼働を、2001年1月から本格稼働を開始している。2002年8月現在、東アジア11ヶ国(カンボジア、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、ロシア、タイ及びベトナム)が参加している。

(注10)グリーン・エイド・プランは経済産業省によるエネルギー環境対策プログラム。

(注11)クリーナー・プロダクションは、工場の生産効率の改善により環境負荷の減少と企業収益に向上を両立させる技術。Win-Winアプローチとは、環境負荷の低減と収益性とを両立できるような方法。

(注12)北九州イニシアティブは北九州市の環境対策分野における優れた経験を参考にしつつ、アジア太平洋地域の都市環境の改善を目指して地域レベルでの取組を強化し、都市間の協力を促進することを目的に国連アジア太平洋社会委員会(ESCAP)が主催した環境大臣会合(2000年9月)にて採択された。

(注13)国土交通省では「2002年環境に優しい都市交通に関するバンコク・イニシアティブ」(2002年4月)の下、東南アジア諸国の大都市における排ガス対策や環境改善のための都市鉄道整備を支援することとしている。

(注14)世界淡水アセスメント計画(WWAP)は、ユネスコに事務局が置かれ、国連の淡水評価における様々なイニシアティブの調整役として機能している。世界的な淡水資源の質と供給を改善させるための管理と政策をよりよく理解するために必要な手段と技能の発展を促すことを目的としている。

(注15)アジア森林パートナーシップは日本がインドネシア政府とともに提唱したアジアの持続可能な森林経営の促進を目的とするパートナーシップ。アジア諸国(主にASEAN)、G8等の援助国や国際機関及びNGOが、違法伐採対策、森林火災予防、荒廃地の復旧(植林)等の活動を通じて協力していく。

(注16)ユネスコが実施しているプロジェクトの一つに、沿岸地域、小島嶼国、マングローブに重点を置き、自然保護と天然資源の利用開発との調和を通じた地域住民の生活状態の向上及び地域住民の環境意識の向上を目的とし、研究及びトレーニング等を行うアジア・太平洋地域の生物圏保存地域等における天然資源の利用に関する人材育成がある。

(注17)この目的のため、我が国は地球地図、地球観測及びアジア太平洋環境イノベーション戦略を推進している。地球地図は基盤的デジタル地理情報を途上国への地理情報技術の技術移転の促進と合わせて整備することを目的としたプロジェクト(1992年開始、現在120ヶ国が参加、国土交通省)。地球観測は人工衛星による観測、地上設備によるデータ受信などを含めた地球観測システムを構築し、地球環境問題の解明や生活の向上に役立てることを目的としている(1992年開始、宇宙開発事業団(NASDA))。アジア太平洋環境イノベーション戦略は、統合的環境モニタリング・評価体制の構築や環境戦略オプションの研究を通じて、途上国の環境保全政策の形成を支援することを目的としている(2002年7月発足、環境省)。この他にも、黄砂観測体制の整備や、砂漠化のモニタリングの実施を支援する取組を推進している(いずれも環境省)。

(注18)途上国におけるホットスポット(生物多様性が脅かされている地域)の保全プログラム支援のため、コンサベーション・インターナショナル、世界銀行、地球環境ファシリティが2000年8月に共同で設立した基金。米国マッカーサー財団に次いで、日本も出資者として参加。
このページのトップへ戻る
目次へ戻る