保健・医療

世界保健機関(WHO)新型インフルエンザ政府間会合の結果について

平成20年12月13日

  1. 12月8日から13日まで、世界保健機関(WHO)主催により、昨年11月に引き続き、「新型インフルエンザの検体共有及びワクチン等の利益へのアクセスに関する政府間会合」がジュネーブで開催されました。会議において一定の進展はあり、未解決の論点について協議するため、2009年5月WHO総会の機会に、政府間会合を再度開催することとなりました。
  2. 今回の会合では、前回に引き続き、鳥インフルエンザ(H5N1)のヒトへの感染の発生国が、インフルエンザ・ワクチンの製造に必要なウイルス検体をWHOに提供することと、ワクチン等の利益の提供をどのように関係づけるのかを中心に討議が行われました。
  3. これまで、途上国側は、個別の検体の提供に対する利益の還元を先進国政府や企業に義務づけることを求めてきました。これに対し、先進国側は、これまでの途上国に対する支援の実績を強調しつつ、支援の義務化は受け入れられないこと、また、検体共有は新型インフルエンザ対策に不可欠であることを主張してきました。今次会合については先進国と途上国が歩み寄った結果、全ての国が検体の提供や利益の提供にコミットし、共同で行動することで認識が一致しました。
  4. また、途上国向けプレパンデミックワクチン(H5N1ワクチン)の国際備蓄のあり方についての具体的な議論は行われませんでしたが、今後、WHO事務局が、ワクチンの備蓄をどのように具体化していくのか検討することとなりました。その他、検体をWHOと共有するための手続きの透明性の向上について一定の前進が見られました。
  5. 我が国は、今次会合の総括セッションにおいて、すべての鳥インフルエンザのヒトへの感染の発生国に対し、検体のWHOへの提供を行うよう呼びかける発言を行いました。

(注1)我が国の鳥・新型インフルエンザ対策支援

 我が国は、2005年秋以来、合計3.15億ドルの国際協力を表明している(2006年1月の北京会合で1.55億ドル、同年12月のバマコ会合で6,700万ドル、2007年12月のニューデリー会合で6,900万ドル、2008年10月のエジプト会合で2,400万ドル)。これは、米国、欧州委員会に次ぎ3番目の規模。実施額は3億ドルを超えており、米国に続く第2位。アジア地域における合計150万人分の抗ウイルス薬(タミフル他)の備蓄等の事業を実施している。

(注2)WHOによるプレパンデミックワクチンの国際備蓄計画

 途上国向けにワクチン備蓄の検討を開始するとの2007年5月のWHO総会決議に基づき、WHOの専門家諮問委員会(SAGE)は、2007年10月、7,500万人のプレパンデミックワクチンを国際備蓄することを推奨。そのうち、これまでに5,500万人分は英仏の民間製薬会社からの無償提供の意図表明がなされている。

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