保健・医療

鳥及び新型インフルエンザに関する我が国の支援策(平成17年度以降)

平成19年3月

  • 平成18年1月、主にアジア諸国を対象として総額1.55億ドルの支援を表明し、早期に全額拠出済み。
    • 50万人の抗インフルエンザ・ウイルス薬等の備蓄支援
    • 国際機関を通じた住民啓発、監視強化、防疫等に関する支援
    • 早期対応に関する国際会議をWHOと共催
    • 3年間、毎年100人以上の研修生の受け入れ
  • 平成18年12月、上記支援に追加で6,700万ドルの支援を表明。

I.資金協力

1.抗インフルエンザ・ウイルス薬及びその他の必要物資の備蓄支援(4,680万ドル)

 アジア地域における新型インフルエンザの封じ込めのため、抗インフルエンザ・ウイルス薬50万人分、防疫用品70万人分の備蓄の支援をASEAN事務局を通じて、2006年8月にシンガポールに備蓄を完了した。

2.国際機関を通じた住民啓発、監視強化、防疫等に関する支援

(1)国連児童基金(UNICEF)を通じた住民啓発等予防活動への支援(約4,910万ドル)

 アジアとアフリカの14カ国(バングラデシュ、カンボジア、中国、インドネシア、ラオス、モンゴル、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、ナイジェリア、ニジェール、トルコ、アゼルバイジャン)の住民を対象にインフルエンザに関する知識、予防行為等についての知識を高め、住民の生活習慣を改善し、感染回避を目指すための啓発活動を実施中。

(2)国際獣疫事務局(OIE)及び国連食糧農業機関(FAO)を通じた支援(約2,000万ドル)

 平成18年4月、我が国で「第1回東南アジアにおける高病原性鳥インフルエンザに係る特別基金プログラム会合」を開催。同会合で策定された実施計画に基づき、東南アジア8カ国(タイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、ラオス、カンボジア、インドネシア)において、獣医行政、通報体制、防疫対策の強化・向上のための事業を地域、国家、コミュニティーレベルで実施中。

(3)WHOを通じた支援(約200万ドル)

 WHOの監視能力向上、WHOの備蓄する抗インフルエンザ・ウイルス薬の供給システムの構築のために、ガイドラインの作成、専門家の育成、監視体制強化に係る事業を実施中。

3.共同研究の促進(38億円)

 国内外の研究拠点(国内:東京大学、大阪大学、長崎大学、北海道大学/国外:中国、タイ、ベトナム)の整備、及び拠点を中心とした共同研究の推進等を通じて、新興・再興感染症対策への迅速な対応のための基礎的知見の集積・人材育成等を実施中。

4.国家対策計画の立案・実施支援

(1)世銀を通じた支援(1,950万ドル)

 世銀のキルギスタン向け支援案件の一部(家畜衛生、ヒトの保健衛生、公衆の認知度向上のための能力構築)について、日本の拠出による開発政策人材育成基金を通じて支援。この他、インドネシア、カンボジア、ラオス、グルジア、アルメニア、アルバニア、モルドバ、ベトナムを支援。

(2)ADBを通じた支援(1,000万ドル)

 ADBの案件の一部を日本の拠出による日本特別基金を通じて支援し、インドネシア、フィリピン等において国家計画、動物検疫、予防接種制度等に関する能力強化を支援。

II.早期対応に関する国際会議の開催

 平成18年1月、WHOとの共催で「新型インフルエンザ早期対応に関する東京会議」を開催。アジア諸国、主要ドナー、国際機関の専門家が一同に会し新型インフルエンザの早期封じ込めの重要性を確認し、措置に関する具体的提言が取り纏められた。

III.キャパシティ・ビルディング

  1. 研修員受け入れ・専門家派遣等

     今後3年間で年間100人以上に対し本邦で研修を行うため、平成18年度分として13コースの集団研修を実施済み。

  2. 南々協力を通じた協力

     タイ、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー及びベトナムの家畜衛生に関与する試験・研究機関の実務責任者・技術者を対象に、鳥インフルエンザを含む家畜疾病の診断技術、家畜検疫技術、ワクチン製造技術等の向上及び地域協力体制構築のための家畜疾病防除計画を実施。

  3. ワークショップの開催

     平成18年9月、アジア諸国等の行政官及び検査技師を対象として「鳥インフルエンザ防除対策ワークショップ」を実施。

  4. その他の協力

     平成18年3月よりベトナムにおいて、技術協力にて、鳥インフルエンザ・ウイルスの取扱規則の策定、診断・検査技術、検査施設の維持管理技術指導を実施中。

IV.機材供与

  1. 2006年9月よりベトナムにおいて、無償資金協力(E/N限度額8.91億円)にて、ウィルス検査室及び実験機材の整備を実施しており、2007年中に完工予定。
  2. ナイジェリアに対し調査用車両、防護服等を供与(8千万円)。
  3. 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)に対し緊急対応用車両を供与等(5万ドル)。

V.その他

 平成18年9月、ベトナム(ホイアン)において、我が国は、APECの枠組みの下で、米国の国務省及び農務省と「APEC Capacity Building Seminar on Avian Influenza : Preventing AI at its Source and a Dialogue on Indemnity」を共催。

(参考)主要ドナーによる鳥及び新型インフルエンザ対策支援実績(平成18年1月以降)

 EU:3.8億ドル
 アメリカ:3.35億ドル
 日本:2.22億ドル
 カナダ:0.93億ドル
 イギリス:0.56億ドル

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