
鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング会合
(概要及びとりあえずの評価)
平成18年1月18日
1月17日(火曜日)~18日(水曜日)、北京にて、「鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング会合」が、103カ国、20以上の国際機関、約700人の参加を得て、中国政府、欧州委員会、世界銀行の共催で開催された。我が国からは、塩崎外務副大臣を団長に、外務省、財務省、厚生労働省、農林水産省から参加した。
会議の概要、採択された成果文書「北京宣言」の概要及びとりあえずの評価は、以下のとおり。
1.会議の概要
- 鳥及び新型インフルエンザ流行の脅威は国際社会全体で対処すべき課題との認識の下、迅速な対応、途上国の対応能力構築、国際社会の連携・協調と情報共有、柔軟な枠組みによる資金支援等の必要性が強調された。
- 本件対策に必要とされる資金ギャップは、世銀の試算によれば、今後3年間で12億ドルであり、この目標額をベースに支援を必要とする途上国に対する拠出が募られた。
- 我が国を含む主要ドナー国からプレッジが表明され、総額約19億ドル(うち、無償が10億ドルとのこと)に上った。(米国:3.34億ドル、日本:1.55億ドル、EU加盟国の合計:1.3億ドル、欧州委員会:1.2億ドル、世銀:5億ドル(多くは融資)、アジア開発銀行:4.68億ドル(多くは融資)、中国:0.1億ドル等)
- 今後は、これらの支援の実施に焦点が移り、その有効活用のために、資金の使途のモニタリング、ドナー間の一層の協調の必要性等が強調された。
- 会合における議論を盛り込んだ北京宣言が採択された。
2.北京宣言の概要
- 早期対応の必要性、国際的・地域的取組の支持、新型インフルエンザ流行防止のためあらゆる手を尽くすための国際的な連携の必要性の確認。
- そのため、政治的リーダーシップ、迅速な情報・ウィルス株の共有、ワクチン・抗ウィルス薬の研究開発協力、国家準備計画の定期的な評価等にコミット。
- 国際機関、民間機関、ドナー国等からの財政的支援を調整していくとの提案を歓迎。
3.とりあえずの評価
(1)今次会合では、鳥及び新型インフルエンザに関する一連の国際会議の中で初めて、国際的な財政支援に焦点を当てて議論されたが、当面の必要見積額を大きく超える約19億ドルの資金拠出の意図表明が行われ、実りの多い会議となった。
(2)今後は、具体的な対策の計画・実施の段階に移り、実施状況のモニタリングやその効果の評価を行っていくことが重要。
(3)我が国からは、昨年12月に小泉総理が発表した1.35億ドルの支援に加え、世界銀行及びアジア開発銀行を通じて2000万ドルを目途とする支援を行うことを塩崎副大臣から表明し、各国から高い評価を得た。
(4)塩崎副大臣は、閣僚会合の冒頭部分で演説を行い、「各国のオーナーシップ」、「住民一人一人の意識の向上」、「国際社会全体の連携」から成る本件対策に関する3原則を示しつつ、先週開催した「新型インフルエンザ早期対応に関する東京会議」での議論を紹介した。東京会議は、我が国の具体的な取組として大変有意義との評価を多くの国、機関より得た。