平成17年1月14日
(1)小島嶼開発途上国(以下SIDS)国際会議は1月10日~14日の間、モーリシャスのコンベンションセンターで開催され、14日の最終本会議ではバルバドス行動計画の更なる実施を目指す「モーリシャス戦略文書」及び「政治宣言」が採択された。(今次国際会議における主要な論点は以下2.参照)
(2)ハイレベル・セグメントにおける各国代表スピーチでは、昨年末にインド洋沿岸国を襲った大津波に鑑み、早期警戒システムの構築と今月18日より神戸で開催予定の国連世界防災会議に対する期待する声が相次いだ。
(3)我が国より川口補佐官が首席代表として出席し、ハイレベル・スピーチで我が国のSIDSの持続可能な開発に係わる考え方及び実績につき紹介したほか、以下の参加国ハイレベルと会談した。このような2国間会談においては、国連会議についての我が国の立場への理解を求めるなど種々の働きかけを行った。また、「キャパシティービルディング」をテーマとするラウンドテーブルでは吉原在マダガスカル大使より、SIDSの持続可能な開発のために人材育成こそが不可欠とした上で、我が国の支援実績を紹介する説明があった。
川口補佐官の会談先:モーリシャス副大統領、同首相・副首相・外相、セイシェル大統領、ナウル大統領及び同外相、パラオ大統領、コモロ大統領、セント・クリストファーネイビス首相、マダガスカル外相、サモア首相、ドミニカ外相、国連総会議長(ガボン外相)、フィジー外相等、(この他、アナン事務総長、テプファーUNEP事務局長、松浦UNESCO事務局長、桑原バーゼル条約事務局長とも立ち話した。)
(1)インド洋津波被害
インド洋での早期警戒センターの設立を求める内容が政治宣言に含まれた。なお、開会時のモーリシャス首相、チョードリ国連上級代表のスピーチを含め、その後のパネル・ディスカッション等でも国連世界防災会議へ期待する声が多数みられた。
(2)廃棄物処理問題<沈没船からの油漏れ>
非商船を含む沈船全般より油漏れが発生する場合には、ケース・バイ・ケースで対応することとなった。
(3)放射性物質の海上輸送
国際社会は、バルバドス行動計画を根拠にSIDSの究極目標がなお輸送停止にあることを記録にとどめる一方、国際法に従った航行の自由を承認する旨を併記し、今後、IAEA等の国際枠組みの中で対話の継続を呼びかけるとの内容となった。
(4)気候変動
G77内でSIDSとその他の途上国(OPEC諸国を含むG77主要メンバー)で既存のエネルギー利用の効率化を優先すべきか、新たな再生可能エネルギー開発を優先するか等につき意見の対立が深刻化。結局、具体的なSIDS支援等には言及しない形で決着した。
(5)貿易の国際化及び自由化
SIDS側は、WTO加盟等の多国間貿易システムへの参入につき、特別待遇すべきとの文書を提案。これに対し、先進国側はSIDSを新たなサブ・カテゴリーとして特別待遇することは不可と主張。結局、SIDSはキャパシティー開発等の自助努力を行い、これを国際社会が技術協力するとの内容で合意。