地球環境

カルタヘナ議定書第5回締約国会議(COP-MOP5)
概要と評価

平成22年10月15日

概 要

1.全体の概要

 10月11日から15日まで、愛知県名古屋市において「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」(以下、「カルタヘナ議定書」という。)第5回締約国会議(COP-MOP5)が開催された。我が国からは、議長として鹿野農林水産大臣が開会式において挨拶するとともに、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省からなる政府代表団が出席した。

2.「責任と救済」第4回共同議長フレンズ会合

 COP-MOP5に先立ち、10月6日からカルタヘナ議定書「責任と救済」(遺伝子組換え生物(LMO)の国境を越える移動により、生物多様性の保全及び持続可能な利用に損害が生じた場合の責任と救済に関して、締約国が講ずるべき措置を規定するもの)に関する第4回共同議長フレンズ会合が開催された。同会合においては、補足議定書のテキストのうち、これまでの会合で合意されていなかった2つの条項(「財政的保障」及び「産品」に関する規定)につき集中的に議論が行われた。当初会合は8日までの予定であったが、各国の意見の収れんに時間を要したため、会合を延長して議論を継続し、最終的にCOP-MOP5初日の11日未明に補足議定書案が合意に至った。また、補足議定書の名称を、交渉が開始されたCOP-MOP1の開催地であるクアラルンプール及び採択が行われたCOP-MOP5の開催地である名古屋の都市名を付して「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書」とすることが決定された。

3.開会式

 11日午前に行われた開会式においては、冒頭、鹿野農林水産大臣が、COP-MOP4議長代理であるケーラー独食料・農業・消費者保護省バイオ・遺伝子技術ユニット長から、議事進行役を引き継ぎ、就任挨拶を行った。これに引き続き、神田愛知県知事、河村名古屋市長、ピスパティ国連環境計画(UNEP)局長代理、ジョグラフ生物多様性条約(CBD)事務局長が挨拶をした。

4.11日午前全体会合

 開会式に引き続く全体会合においては、アジェンダの採択が行われると共に、各議題の概要について説明がなされ、作業部会 I、作業部会 II、予算コンタクトグループの設置が決定された。また、「責任と救済」第4回共同議長フレンズ会合の経緯及び結果について共同議長から報告がなされた。

5.13日午前全体会合

 12日までの作業部会 I、作業部会 II 及び予算コンタクトグループにおける議論の状況の報告、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」のLegal Drafting Group(合意された補足議定書のテキストを法的観点からチェックする作業部会)からの報告、信任状の提出状況についての報告、議題6(他の機関、条約及びイニシアティブとの協力)についての議論等が行われた。

6.作業部会 I

 議題4(遵守委員会からの報告)、議題11(LMOの通過に関する締約国の権利と義務)、議題15(監視および報告(第33条))、議題16(評価及び再検討(第35条))、議題17(カルタヘナ議定書戦略計画と行程表)が議論された。

7.作業部会 II

 議題5(バイオセーフティ情報交換センター(BCH)の運営及び活動)、議題6(能力開発と専門家登録制度)、議題7(資金メカニズム)、議題10(取扱い、輸送、包装及び表示)、議題13(リスク評価とリスク管理)、議題14(公衆の啓発と参加)が議論された。

8.予算コンタクトグループ

 2011年~2012年のCBD事務局予算が議論された。議論の結果、2009年~2010年予算と比べて3.8%増額予算が承認された。

9.15日午後全体会合

 全てのCOP-MOP5決定の採択が行われた。「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書」が全会一致で採択された。

10.閉会式

 田名部農林水産大臣政務官が、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択されたこと等今回のCOP-MOP5における成果に言及し、今後2年間議長国としてカルタヘナ議定書の実施に貢献していく旨の決意及びCOP-MOP5の成功に対する参加者の貢献に対し謝意を表明した。


評 価

 カルタヘナ議定書「責任と救済」は、2004年に交渉が開始され、今般、6年の歳月を経てようやく補足議定書が採択された。このことは、2003年のカルタヘナ議定書発効以来最大の成果と言える。今回の補足議定書策定交渉において、我が国は、COP-MOP5のホスト国として積極的に各国の調整を図るなどリーダーシップを発揮し、補足議定書のとりまとめに多大な貢献を行い、各国から高い評価を得た。また、環境分野において、1997年の京都議定書以来の我が国の都市名を冠する議定書が採択されたことは、同分野における我が国の貢献を示す好機となった。
 またCOP-MOP5期間を通して概ね会議がスムーズに進行したことを受けて、ホスト国としての我が国の会議運営を高く評価する声が各国から聞かれた。さらには、地元のホスピタリティーに対する謝意が繰り返し表明された。
 このように、COP-MOP5は成功裏に終わり、18日から始まる生物多様性条約COP10に向けて弾みがつく結果となった。

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