平成21年11月8日
日本代表団
(1)HFC
HFCの生産・消費を規制するためにモントリオール議定書を改正するとの北米三か国(米・カナダ・メキシコ)等の提案が出されたことも踏まえ、HFCの扱いが議論された。
ODSでないHFCについて、同議定書で新たな義務を負うことに対してインド、中国、ブラジル等の途上国の強い反発もあり、議定書改正提案は実質的に議論されなかった。また、コンタクトグループにおいて、2010年における追加会合の開催等も提案されたが、同様に途上国の反対が強く合意に至らなかった。
ただし、コンタクトグループにおいて、HFCの使用を実質的に抑制するため、ODS代替時に低温室効果物質の採用を促すという観点からの議論が長時間行われた。これを受けて決定が採択され、ODSを代替する低温室効果物質等に関する必要な情報を更に収集、提供すること、また締約国は低温室効果物質の研究開発・実用化やODSからの代替を積極的に促す措置を講じていくこととされた。
なお、HFCの使用の増加による気候変動への影響に留意すること、低温室効果物質への代替を促進するために適切な措置を講じること等が、米国、カナダ、我が国を含む36カ国によって宣言された。
(2)ODSバンク対策
昨年11月のMOP20で、既に回収されたCFCの破壊を優先してパイロット事業を実施することが決定されたことを受けて、今後のODSバンク対策(回収、破壊等)の進め方が議論された。
この結果、決定が採択され、引き続きパイロットプロジェクトを実施して、その状況を締約国間で情報共有していくとともに、本格的なODSバンク対策を実施する場合には多額の資金が必要であるとの認識を踏まえ、GEF(地球環境ファシリティ)と共同してセミナーを開催するほか、多様な資金源の活用の可能性を探ることが確認された。また、破壊技術については、最近開発されたものも含めて利用可能な技術を再度リスト化することとされた。
(3)臭化メチル
土壌くん蒸用臭化メチルの使用を2013年で全廃する予定のわが国の2011年分の申請量が、MBTOC(臭化メチル技術選択肢委員会)による勧告どおり決定された。
また、臭化メチルの検疫及び輸出前使用(QPS)について、3日にワークショップが開催され、わが国がグラナダと共に共同議長を務めた。締約国会合では、EUからQPS使用量の凍結・上限設定や将来的な全廃について次回のMOP22で議論する等の内容の決定案が提案されたが、米国、豪州その他の締約国からの反対が強かったため、最終的な決定案では、今後の削減方策、可能性に関する検討を専門家に依頼していくこと、IPPC(国際植物防疫条約)勧告の実施を推奨すること等のみが確認された。