
G20トロント・サミット:首脳ワーキング・ディナー
平成22年6月26日
26日20時15分から21時45分まで,約1時間30分にわたり,G20トロント・サミットの首脳ワーキング・ディナーが開催されたところ,議論の概要以下のとおり。
- 世界経済の現状を評価した上で,G20各国がいかなる行動をとるべきかという観点から議論が行われ,多くの首脳が,世界経済の回復は予想以上であるが,依然として脆弱であり,成長モメンタムの確保が鍵となる重要課題である旨指摘した。その上で,多くの首脳が財政健全化の重要性を強調しつつ,その性急な実施には慎重であるべき,各国の状況に応じて進めることが適当である旨述べていた。
- こうした流れの中で,菅総理は財務大臣としての経験を披瀝しつつ,1)欧州の問題が示しているのは,成長と財政健全化の両立という困難な課題であること,2)新内閣は「強い経済,強い財政,強い社会保障」を掲げ,先に「新成長戦略」と「財政運営戦略」を発表したこと,3)介護,医療,保育等の分野で市場と雇用と拡大し,成長に繋げていく考えであること,4)金融規制改革につき,危機再発防止の観点から必要であるが,性急な実施が景気の低迷を招かないようにする必要があること,等につき発言された。
- 先進国については特に財政健全化が大きな課題となっている一方,持続可能な世界経済の成長を確保していくためには,新興経済国が具体的な措置をとり,内需主導型の経済構造に転換していく必要があるとの意見もあった。
- 最後に,昨年のピッツバーグ・サミットからの大きな状況の変化として財政健全化に焦点が当たっている中で,G20が協調し,成長に配慮した施策を推進していくことが重要との認識を共有した。
- なお,ディナー終了後,菅総理はオバマ米大統領と短時間立ち話をされた。オバマ大統領からは,今回の議論は非常に有益であり,前職が財務大臣である菅総理の存在は首脳の議論にとって重要であるとの発言があった。また,オバマ大統領からどの国の首脳も困難に直面している,日本の90年代の経験から学ぶことは多いと述べたのに対し,総理は,自分は雇用と需要の拡大を政策の鍵と位置づけている旨述べられた。