1. 日程,参加国等
(1)日程,場所
2010年11月11日(木曜日)-12日(金曜日)(於:韓国・ソウル)
(2)参加国・国際機関
日,米,英,独,仏,伊,加,露,EU,中国,インド,ブラジル,南アフリカ,韓国,豪,メキシコ,インドネシア,サウジアラビア,トルコ,アルゼンチン,スペイン,ベトナム(ASEAN議長国),エチオピア(NEPAD運営委員会議長国),マラウイ(AU議長国),シンガポール,国際連合,国際通貨基金(IMF),世界銀行,金融安定理事会(FSB),世界貿易機関(WTO),経済協力開発機構(OECD),国際労働機関(ILO)。
2. 主要な成果
議論を踏まえ首脳声明に合意。主要な成果は以下のとおり。
(1)世界経済・成長のためのフレームワーク
- 多くの首脳から,回復は続いているが一様ではなく,多くの不確実性があるとの認識が示され,持続可能な成長のためには,G20のフレームワークに沿って協力を継続すべきとの認識を共有。対外不均衡の問題については,黒字国・赤字国ともに具体的な行動が必要との意見が示された。
- G20として包括的,協力的かつ国ごとの政策行動から成る「ソウル・アクションプラン」を立ち上げ。金融政策と為替レート政策,貿易と開発政策,財政政策,金融改革,構造改革への取組の継続にコミット。為替レート政策では,為替レートの柔軟性の向上,通貨の競争的な切り下げの回避,準備通貨を持つ国々を含む先進国による為替レートの過度の変動や無秩序な動きの監視を確認。不均衡については,フレームワークでの相互評価プロセス(MAP)を強化し,継続した大規模な不均衡を判定する上での「参考となるガイドライン」を用意させ,その進展を財務大臣・中央銀行総裁が2011年前半に議論することに合意。
- 菅総理は(1)経済のファンダメンタルズを反映し,より市場で決定される為替レート制度への移行,通貨の競争的な切り下げ回避,準備通貨を持つ先進国による通貨安定への協力強化の重要性を強調し,(2)対外不均衡を評価するG20の取組を支持しつつ,我が国の経常収支黒字の大部分は所得収支黒字であり,除外されるべきこと,また,人口動態にも配慮すべきと指摘。また,(3)我が国の経済対策を説明するとともに,APEC議長として,G20での議論を踏まえ,アジア太平洋地域の成長に向けた道筋を示すことを表明。
(2)国際金融機関改革
- IMFのクォータ倍増や新興国・途上国へのシェア移転等,野心的なIMF改革の合意を歓迎。菅総理は合意を歓迎しつつ,発言力が増大した新興国は責任ある貢献を行うべき旨指摘。また,金融システムの問題から派生した今次危機の対応に中心的役割を果たしたIMFの機能を明確化するべく,IMF協定上の目的に「金融システムの安定」を含めるべきと発言。
- 危機に対処・予防するための,グローバルな資金セーフティネットの強化につき,IMFの予防的融資制度改革などを歓迎し,さらなる検討に合意。菅総理からは,チェンマイ・イニシアティブなど地域金融協力とIMFのグローバルな取組の連携強化が重要であり,積極的に推進する旨指摘した。
(3)金融規制改革
- 銀行の自己資本・流動性の新たな枠組みにつき,バーゼル銀行監督委員会(BCBS)による合意(バーゼルIII)を承認。
- また,システム上重要な金融機関(SIFIs)がもたらすモラルハザードのリスクを軽減し,「大きすぎて潰せない」問題に対処するためのFSBによる作業プロセス等に係る提案を承認。
(4)開発
- 世界経済の持続的成長の実現には,低所得国の成長と貧困削減が不可欠であるとの観点から,G20が開発に取り組むことに広汎な支持あり。その上で,強固で責任ある開発パートナーシップの推進など,G20の取組の原則を示す「開発に関するソウル合意」,及びインフラ,貿易,人的資源開発,民間投資と雇用創出,食料安全保障等を柱とした「複数年行動計画」に合意。
- 菅総理は,我が国の戦後の発展の例を紹介しつつ,良いガバナンス,持続的な成長の礎であるインフラ整備といった点が重要であること,G20各国がこれまで蓄積してきた援助国・被援助国としての知見と経験を反映することが重要であることを指摘し,我が国として,過去の経験や先端技術をもって官民一体として開発のために貢献していく旨述べた。
(5)貿易・気候変動
- 各国首脳は,貿易は経済回復を下支えするとの認識を共有。スタンドスティルのコミットメントを再確認し,輸出規制及びWTO非整合的な輸出刺激策を含めいかなる新たな保護主義的措置も是正することにコミット。また,WTOドーハ・ラウンド交渉につき,来年が極めて重要な「機会の窓」との認識の下,早期妥結に向けた横断的な交渉を担当者に指示。
- 菅総理は,過去のドーハ交渉をベースに特に新興国の一層の努力を期待する旨,また,我が国は,G20とAPECの前に包括的経済連携に関する基本方針を発表しており,引き続きWTOや各種交渉に積極的に関与する旨発言。
- 気候変動につき,各国首脳はメキシコのCOP16において,成功裏のかつバランスのとれた結果を達成していくことにコミット。菅総理からは,現在の京都議定書の第二約束期間の設定では地球規模の排出削減はできず,メキシコではすべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組の構築に向けた決定を採択すべきと発言。
- その他,生物多様性条約につき,名古屋でのCOP10の成功を歓迎。また,グリーン成長促進に取り組むことに合意。
(6)その他
- エネルギーに関する取組,具体的には,化石燃料補助金の段階的廃止,石油価格乱高下への対策,メキシコ湾石油流出事故を踏まえた海洋環境保護の経験共有の作業の継続を支持。
- 腐敗は経済成長にとって深刻な障害になるとの認識の下,腐敗対策に積極的に取り組み,模範を示すべく「腐敗対策行動計画」を策定。
3. 今後のG20サミット
次回は,来年フランスで開催。翌2012年はメキシコで開催。