経済

G20ロスカボス・サミット首脳宣言【骨子】

平成24年6月

冒頭

  • 成長と雇用の促進のための決意の下で団結。
  • 世界経済の回復は引き続き数々の課題に直面。金融市場の緊張は高まっている。
  • 成長強化・金融安定化により信認を回復させることにコミット。ロスカボス・アクションプランに合意。
  • ユーロ圏のメンバー国は,地域の一体性と安定性の擁護等のためのすべての必要な政策措置をとる。ギリシャがユーロ圏内において引き続き改革と持続可能性の道筋にあることを確保するために,ユーロ圏がギリシャの次期政権と連携して取り組むことを期待。
  • 各国が国内的諸課題に直面する現下の状況にあっても,多国間主義は一層重要。
  • 危機の途上国への影響を認識。インフラ投資支援を含め,開発により有利な環境創りを強化。

経済安定と世界の景気回復の支援

  • 強固で持続可能かつ均衡ある成長はG20の最優先事項。成長を支え信認を回復し雇用創出を促進し失業を減少させるためのすべての必要な政策措置を採用することにコミット。
  • スペインによる銀行システムの資本強化の計画等に係るユーロ・グループの発表を歓迎。経済通貨統合の完成に向かって前進するユーロ圏の行動を完全に支持。銀行の監督,破綻処理及び資本強化,並びに預金保険を含むより統合された金融アーキテクチャーに向けた具体的なステップを検討するとの欧州の意向を支持。欧州連合のメンバーは,財政再建の実施という堅固なコミットメントを維持しつつ,欧州投資銀行(EIB),構造基金・結束基金などを活用して,成長を支えるための措置を迅速に前進させることを決意。ギリシャがユーロ圏内において引き続き改革と持続可能性の道筋にあることを確保するために,ユーロ圏がギリシャの次期政権と連携して取り組むことを期待。
  • 先進国は,各国の個別の状況を考慮しつつ,財政再建のペースが回復を支えるために適切であることを確保し,また,トロントでのコミットメントと整合的に,中期的な財政の持続可能性への懸念に対処する。財政的余力のある国は,各国の状況や需要条件を考慮し,自動安定化機能を作動。経済条件悪化の際には裁量的財政措置を準備。米国は,財政を持続可能な長期的軌道に乗せ,2013年の急激な財政収縮を避ける。
  • 石油価格の変動を引き続き警戒し,必要な場合に追加的行動を実施する用意がある。
  • 人民元を含め,為替政策の透明性向上及び市場で決定される為替レートシステムへの移行へのコミットメントを再確認。
  • 世界的リバランスに貢献し,潜在成長力を最大化する構造改革のコミットメントを提唱。
  • 強固で安定した国際金融システムへの利益を再確認。資金フローの過度の変動及び為替レートの無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認。

雇用と社会的保護

  • 質の高い雇用創出の促進等を通じて失業と闘うとの雇用労働大臣の提言を承認し,同提言の通り,雇用作業部会のマンデートを1年延長する。
  • 雇用創出,経済成長及び開発の手段として,旅行及び観光の役割を認識。

貿易

  • 世界経済の成長及び雇用創出にとって必要条件である,開かれた貿易及び投資,市場拡大並びに保護主義抑止に強くコミット。世界中で増加している保護主義の事例を深く憂慮。貿易及び投資に影響する措置に関するスタンドスティルのコミットメントを2014年末まで再確認し,保護主義的措置の是正をプレッジ。WTO,OECD及びUNCTADの監視活動を支持,作業の強化・深化を奨励。
  • グローバル・バリューチェーンの国際貿易への関連性についての議論を評価。WTO,OECD等に対し,本件機能分析に係る作業を加速させ,議長国ロシアの下で進捗につき報告するよう要請。
  • 貿易交渉の進展に向け,斬新で信頼性あるアプローチの追求を再確認。貿易円滑化及びその他の後発開発途上国(LDC)関心事項を含め,WTOドーハ・ラウンド交渉妥結に向けた作業を継続。

国際金融アーキテクチャーの強化

  • IMFの利用可能資金を4500億ドル以上増加させるとのコミットメントを歓迎。
  • 2012年IMF・世界銀行年次総会までに,2010年IMFクォータ・ガバナンス改革を完全に実施するとのコミットメントを再確認。2013年1月までのクォータ計算式の包括的見直し完了,2014年1月までの次期クォータ一般見直しの完了にコミット。

金融セクターの改革と金融包摂の推進

  • グローバルな金融システムを支え,将来の危機を予防するために,合意された金融規制改革を速やかかつ完全に実施することにコミット。政策の策定・実施に問題の生じた分野で必要なすべての行動をとることを誓う。
  • 2012年末までに店頭デリバティブ契約を中央清算機関を通じて決済する等のコミットを再確認。
  • バーゼルII,2.5及びIIIの実施における進捗を歓迎。シャドー・バンキング・システムの監視及び規制の強化に向けた継続中の作業を支持。
  • 各国当局・基準設定主体に対し,信用格付への機械的依存を止める作業の加速を要請。
  • 金融規制改革の新興市場・途上国経済(EMDEs)への意図せざる影響を特定するためのFSBの研究を歓迎。FSBによる継続的なモニタリング分析及び報告等を奨励。
  • 法人格付与等を含むFSBガバナンス強化のための提言を承認。FSBに対し,各国代表の仕組みをレビューし続けるよう要請。
  • 金融包摂に関するグローバル・パートナーシップ(GPFI)の進捗を歓迎。

食料安全保障の強化及び一次産品の価格変動への対応

  • 迅速対応フォーラム,地域の緊急食糧備蓄,責任ある農業投資原則等の取組継続をコミット。AMISの進捗を歓迎。非商業的な人道目的の食料購入に対する食料輸出規制を撤廃するとのコミットメントを再確認。土地所有,漁業,森林のガバナンスのための任意ガイドラインの実施を奨励。
  • 「アグリザルツ(AgResults)」イニシアティブの立ち上げを歓迎。

開発課題への対処

  • 持続可能な経済成長,貧困削減及び雇用創出においてインフラ投資は重要。公的資金の重要性を認識しつつ,インフラにおける民間投資の潜在力を活用するための取組を重視。低所得国のリスク等に関する報告書や都市における大量輸送インフラ・プロジェクトに係るベスト・プラクティスに関する報告書を歓迎。
  • 災害リスク管理(DRM)の手法及び戦略の有用性を認識。

包摂的なグリーン成長を通じたより長期的な繁栄の促進

  • リオ+20及びUNFCCCでの合意を踏まえ,包摂的なグリーン成長を引き続きG20のアジェンダとして重視。包摂的なグリーン成長は保護主義的措置の導入のために利用されるべきではない。
  • 気候変動資金に関するG20研究グループの創設を歓迎。
  • 包摂的なグリーン成長のための政策ツールキットに関する取組を奨励。包摂的なグリーン投資のための協議プラットフォームを含む,官民資金動員の効果的な仕組みを更に検討。
  • 非効率な化石燃料補助金の合理化及び段階的廃止へのコミットメントを再確認。クリーンで効率的なエネルギー技術に関する報告を歓迎。経験の共有を通じた技術への投資を促進するG20諸国の取組を認識。

腐敗との闘いの強化

  • 国連腐敗防止条約の批准と実施,OECD贈賄作業部会への自発的参加に改めてコミット。腐敗した公務員の入国拒否に係る原則を承認。腐敗対策作業部会を2年間延長。

その他のパラグラフ

  • G20非公式外相会合を2月にロスカボスで開催。

結び

  • 2012年12月より露が議長国となり,サンクトペテルブルグで次回G20会合を開催。
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