経済

ソウル行動計画実施におけるG20諸国の個別及び全体の進捗状況に関する
G20腐敗対策作業部会 第1回監視報告書
(要約)

平成23年11月

英語版(PDF)

 2010年11月,G20首脳は,腐敗対策の模範を示すべく「腐敗対策行動計画」(以下,行動計画)を採択した。G20腐敗対策作業部会(以下,作業部会)は,「行動計画」の実施を任され,G20首脳の求めに応じ,G20メンバー国による個別及び全体の進捗状況を,この行動計画の対象期間中,毎年,G20首脳に提出することとし,最初の監視報告書を仏でのサミットに提出することに合意した。

I.G20ソウル・サミット以降の進捗に関する全体評価

進捗の重要な分野
 作業部会とG20諸国は,行動計画の主要分野の実施における全体の進捗に関する評価を行ったが,以下の4分野がさらなる取組が必要な分野である。

II.G20ソウル・サミット以降の各国の進捗に関する具体例

III.G20首脳への鍵となる勧告

 作業部会は,G20首脳がカンヌ・サミットで以下のコミットメントの採択を検討するよう提言する。

1. 腐敗対策に関する条約の批准及び実施並びに外国公務員の贈賄を犯罪化する法律の採択を通じて,腐敗との闘いの模範を示すために,G20メンバー国は;

  • 行動計画のコミットメントに従い, UNCACを可能な限り早期に批准し履行する取組を加速することにコミットする。
  • UNCACレビューの透明性と包括性を確保する模範を示すことにコミットする。
  • 外国公務員の贈賄を犯罪化する法律を2012年末までに制定,施行する。

2.マネーロンダリング対策,入国拒否,財産回復,公益通報者保護,強化された腐敗対策機関の分野において,不処罰と闘い,不正な資金の流れ及び腐敗に関与した人の移動を阻止するための関連する措置の項目表を保有すべくG20メンバー国は;

  • マネーロンダリング・テロ資金対策(AML/CFT)と腐敗対策の間の相乗効果に関する金融活動作業部会(FATF)の継続中の作業を完全に支持し, FATF提言の改正に期待するとともに,FATFに対し,G20メンバー国が完全で効果的で一貫した実施にコミットできるような新たな提言を,次回サミットにおいて首脳に提示することを要請する。
  • 腐敗した公務員の入国及び安全な逃避先の拒否に関する一連の原則を採択することを念頭に策定し,2012年中にG20メンバー国による実施促進につき検討する。
  • 財産回復のための効果的な枠組み及び一連の原則の鍵となる要素を採択する。
  • OECDによる公益通報者保護法のベスト・プラクティス及び指針となる原則の一覧表を,法制化と必要に応じたレビューの参考として支持する。
  • 腐敗対策機関と執行機関の重要な作業を完全に支持する。これら機関は,政府や非政府主体からの不当な影響や脅迫を受けることなく,またその任務を遂行できるよう適切な独立性と十分なリソースが与えられるべき。

3.公的部門の作業の公正性,透明性及び説明責任を促進し,腐敗を防止し,グッド・ガバナンスを促進し,公的資源が意図された目的に寄与することを確保するため,G20メンバー国は;

  • すべての公務員の公正性,誠実性,説明責任を促進する。
    • 公的部門における教育と訓練の促進。
    • 適切な行動規範の確立と執行。
    • 関連する公務員の資産公開システムの採用と実施。
  • 公正で透明性のある政府調達システムを採用する。
    • UNCAC第9条に則り,必要に応じて公共調達における公正性強化に関するOECD勧告を考慮しつつ,政府調達システムが公正で透明性が高いことを確保。
  • 財政・予算の透明性をコミットする。
    • 適時に,包括的かつ信頼に足る方法で予算を公表。
    • 当該国が認可する場合に,国際金融機関によるG20諸国の公的部門の財政に関する報告書公表を許可。
    • 財政の透明性に関するグッド・プラクティスの採用。
  • これらコミットメントの効果的な実施を確保するため,G20諸国は,
    • 能力構築・技術支援を通じG20政府による上記措置の実施を支援する。
    • 適切な国際機関等による分析や報告の活用に努める。

4.腐敗と闘うイニシアティブを共同で開発し実施する官民連携を強化するために,G20メンバー国は;

  • 民間部門の関与と,民間部門の腐敗対策の取組を強化するとのコミットメントを歓迎する。
  • EITI(採取産業透明性イニシアティブ)およびCoST(建設産業透明性イニシアティブ)といったイニシアティブを支援又は実施するためのコミットメントを強化する。
  • OECD,世銀, UNODC及びその他の機関による継続中の作業を認識し期待する。
  • G20と民間部門との間の毎年の関与を求める。

5.国際協力を更に強化するために,G20メンバー国は;

  • 司法共助のためのG20ステップ・バイ・ステップ・ガイドを作成し,次回首脳会合で支持することを求める。
  • 犯罪人引渡し,司法共助及び財産回復の基礎としてUNCACの利用促進に合意し,必要な場合に技術援助を提供し,また二国間及び多数国間の関連条約への理解を促進する。
  • 世銀とUNODCの奪われた財産の回復(StAR)イニシアティブを支持し,G20諸国政府に対し,財産回復のために追加的な具体的措置をとるよう求める。
  • 財産回復のためのコンタクト・ポイントの確立を支持し,StARとインターポール(ICPO)によって支援された財産回復フォーカル・ポイントのネットワークを歓迎し,コミュニケーション・チャンネルの更なる改善に向けた取組を要請する。
  • 国際機関に国連組織公平性イニシアティブの完全な実施を要請する。

6.全ての分野での継続的な進捗と,行動計画のコミットメントを完全かつ一貫して実施するための取組を求める。行動計画の期間中継続して,G20諸国の行動計画実施状況についての報告書が毎年G20首脳に対して提出される。腐敗対策作業部会は,G20議長国がメキシコとなる2012年に,次の監視報告書を作成する。


Adobe Acrobat Readerダウンロード Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る