
現地通貨建て債券市場の発展を支援するためのG20行動計画
(G20財務大臣・中央銀行総裁会議によって採択)
(要約)
平成23年11月
(英語版(PDF)
)
- 金融の深化は,(i)資本フローの変動を吸収し,効率的かつ安全に仲介する各国の能力を高め,(ii)海外貯蓄への依存を減少させ,(iii)対外的な不均衡を緩和し,(iv)大規模な予防的外貨準備の必要性を減少させ,(v)バランスシートのより円滑な調整を可能にすることによりマクロ経済政策がショックに対応する能力を高めることを通じ,国際通貨システムの安定性を向上させる可能性を有する。
- 現地通貨建て債券市場の発展により,通貨・満期のミスマッチは減少し,負のバランスシート効果の伝播の阻止を助けてきた。また,国際的な金融危機により,現地通貨建て債券市場は,国内及び国際的な信用市場の緊張時に現地企業に国内の資金供給源を与えうることが証明された。
- しかし,現地通貨建て債券市場の流動性・効率性がしばしば不十分である,ほとんどの新興市場・途上国で社債市場が依然未発展であるか,ほぼ存在しないといった,更なる課題も存在する。
- G20資本フローへの対処サブワーキンググループは,関係国際金融機関と議論し,既存のイニシアティブに基づき,この分野において取組を更に強化することに合意した。
1. 技術支援の拡大
- 効率的な現地通貨建て債券市場の発展を支援するため,世界銀行グループ(WBG),地域開発機関(RDBs),国際通貨基金(IMF),UNCTAD,経済協力開発機構(OECD)は,技術支援,助言サービスを改善すべきである。
- こうした観点から,関係機関に以下の作業を求める。
- 各国・地域の現地通貨建て債券市場の発展状況を評価するための指標の策定に基づく,関係国が技術支援から恩恵を最大限享受するにはどうすべきかを決定する体系的なアプローチの確立
- 各国のニーズの把握
- 現在の技術支援の組織・構造の相乗効果や効率性の更なる可能性の評価
- 各国が金融規制・監督を強化するための支援,新興・途上国の規制枠組みの強化のために最も緊急に必要なステップに関する提言
- アジア債券市場イニシアティブの民間検討グループの検討結果を考慮した,より大規模な国境を越えた取引を促進する地域的なアプローチの恩恵の可能性の評価
2. データ・ベースの改善
- 広範で透明なデータ・ベースは,市場が効率的に機能し,金融安定上のリスクを評価するための重要な前提条件。現地通貨建て債券市場への理解を深め,改革努力の進展に焦点を当て,国際通貨システムの安定性を向上させるために,現地通貨建て債券市場に関するデータの改善が必要である。
- こうした観点から,WBG,IMF,BIS,UNCTAD,OECDに対して,現地通貨建て債券市場に関する量的・質的データの収集,調和,普及の改善のための戦略をG20メンバー国と協議して作成し,2012年半ばまでに提言を含むレポートをG20に提出することを求める。
3. 共同年次進捗報告書の作成
- 現地通貨建て債券市場を発展させることは,長期にわたる複雑な課題であり,債券市場発展のイニシアティブの透明性,説明責任,協調を更に高めることが必要である。
- こうした観点から,WBG,RDBs,IMFに対して,適切にUNCTAD,OECD,BISと協働して,現地通貨建て債券市場の発展に関する正確で焦点を絞った共同年次進捗報告書を,2012年の首脳会議までに作成し,提出するよう求める。
- 必要に応じて,既存の又は将来の資金の利用や新しいパートナーシップを通じて,債券市場発展のイニシアティブのための資金が十分に確保できるよう協働する。
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