経済

日本国とスイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定の署名に当たっての共同声明

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  1. 日本国とスイス連邦が本日署名した自由な貿易及び経済上の連携に関する協定は、両国の二国間関係における画期的な成果である。
  2. 本協定は、特に、物品やサービスに関する相互の市場アクセスの改善、投資活動のための環境改善、知的財産権の効果的な保護、電子商取引の促進、競争政策の分野における協力、並びに二国間の経済関係のための包括的枠組みの改善及び法的安全性の強化を規定する。
  3. 我々は、本協定の対象となっているすべての分野において本協定を更なる両国の協力の基礎とし、また、将来必要となれば、可能な限り又は必要である限り協定の条文を改善したり、新しい分野へ拡大させたりすることによって、本協定そのものを更に発展させていく意思を確認する。
  4. 我々は、本協定が、両国の民間部門にとって、貿易や投資の機会を含む既存のビジネス機会及び新たなビジネス機会を育み、その競争力を高め、より緊密なパートナーシップを促進するものであることを確信する。
  5. 我々は、また、経済関係の緊密化に関する章で規定されている仕組みに加え、第三国における協力を含むビジネス活動上の協力に関して、小委員会において両国の民間部門が議論することを奨励する両政府の意思を表明する。このような議論に関する小委員会の所見は二国間経済協議の場で報告される。
  6. (a)我々は、世界でダンピング防止措置の使用が増加していることを認識し、こうした措置が濫用されれば、貿易を阻害し国内産業の不公正な保護となり得ると考える。

    (b)ダンピング防止措置の濫用の可能性を認識した上で、我々は、本協定との関連で両政府が保護主義的な目的で当該措置を用いるべきではないと決意する。さらに、我々は、一方の政府が、「千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定」に基づき、適切に作成された申請書を受領した後、調査を開始する前に、他方の政府が当該案件に関する見解を表明することができるよう、当該他方の政府に対し、できる限りすみやかに関連情報を提供しつつ通知すべきであることを確認する。一方の政府は、他方の政府によって表明された見解に妥当な考慮を払わなければならず、要請がある場合には、協議の可能性を検討すべきである。我々は、本協定との関連で、各政府はダンピングが自国の経済に及ぼす影響に対処するために真に必要な限りにおいてのみダンピング防止措置を用いるべきであると決意する。

    (c)我々は、ダンピング防止措置は、手続における透明性のみならず、措置の適用における公正性と一貫性をも確保する、強固で明確な規律に基づいて講じられるべきであるとの確信を強調する。このため、我々は、両政府が、ダンピング防止措置に関する規律を明確にし、改善し、強化していくために、特に世界貿易機関の枠組みにおいて両政府間の協力を継続し、強化していくことの必要性を確認する。

  7. 我々は、物品の貿易における不必要な障壁を取り除くために、強制規格、任意規格及び適合性評価手続の分野における協力を強化していくとの希望を確認する。この協力は、適当な場合には、分野別の取決めによって達成され得る。
  8. 我々は、両国が経済的関心を有する幅広い事項について議論するため、既存の二国間経済協議を再活性化していく意思を表明する。このような協議は、原則として本協定に基づく合同委員会と連続して開催される。
  9. 我々は、世界規模の金融危機や景気後退に対する保護貿易主義的な反応や、食料や原材料の欠乏の危険性、気候変動の貿易関連の側面等の課題に対応していくにあたり、日本・スイス間の協力を国際的な場や第三国との経済関係において強化するとの希望を確認する。この関連で、現下の厳しい経済情勢を克服するに当たって、両国は、保護貿易主義的な圧力に抗し、世界の保護貿易主義的政策に対して固く協調して対抗するための多国間の努力に参加していくことを決意する。
  10. 我々は、WTOにおいて、特にADフレンズやG10による連携の枠組みにおける両国間の継続した協力の重要性、及びドーハ・ラウンド交渉の成功裡の妥結の重要性を強調する。ドーハ・ラウンドの成功は、世界の貿易体制が適切に機能し更に改善されるため、特に国際的な経済交流や協力のための、開かれた、予見可能な、そしてルールに基づいた枠組みを強化するために、必要不可欠なものである。

2009年2月19日

              中曽根弘文
              日本国外務大臣

ドリス・ロイタード
スイス連邦副大統領兼経済大臣

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