経済

日本・チリ経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)共同研究会報告書について

平成17年11月
外務省、財務省、農林水産省、経済産業省

1. これまでの経緯

(1) 2004年11月22日、小泉総理とラゴス大統領は、両国間で経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)を締結する可能性を検討するための両国の産学官による「日本・チリEPA/FTA共同研究会(以下、共同研究会)」を立ち上げることで意見の一致を見た。

(2) 共同研究会は、日本・チリ双方の産学官から幅広い参加者を得て、本年1月から9月にわたって4回の会合を開催した。

(3) 共同研究会は、これら4回の会合において、両国間のEPA/FTAの効果に関して、もたらされる利益及び配慮すべき点の両面について議論を行い、双方の理解を十分に深めた。その結果を受けて、両国首脳への提言を含む本報告書を作成した。

2. 報告書の主な内容

 両国間の経済関係を概観し、日本・チリEPA/FTA締結の経済効果を分析するとともに、日本・チリEPA/FTAの対象となり得る物品貿易を始めとする多くの分野について行った議論の概要が記載されているところ、主な内容は以下のとおり。

(1) 両国は、長年にわたり相互補完的な関係を構築してきた。両国間のEPA/FTAは、こうした経済連携をさらに強化する効果的な枠組みとなりうる。

(2) 日本・チリEPA/FTAには、日本から南米地域への、またチリからアジアへのゲートウェイの確保、日本による鉱物資源の安定的確保、日本企業のチリ進出増加・チリ産品の対日輸出増加等によるチリ経済の成長への貢献等のメリットがある。

(3) 日本・チリEPA/FTAが、両国の戦略的連携の基盤となるためには、センシティブ品目について適切な配慮を払いつつ、柔軟なアプローチをとるとともに、市場へのアクセスの実質的な自由化が必要である。

(4) 物品の貿易については、両国が特に関心を有する貿易分野に関し詳細な検討を行い、両国が建設的、積極的に、かつ柔軟性を持って交渉する必要性について一致した。その中で、農林水産分野や鉱工業分野におけるセンシティブ品目に対し、適切な配慮を払うこと等につき認識を共有した。

(5) 投資・サービス分野の積極的な自由化を進めることは、両国間の経済関係の一層の発展を図る上で重要であり、これらの分野は日本・チリ経済連携の主要な要素である。

(6) その他、税関手続、政府調達、知的財産権、自然人の移動、競争政策、ビジネス環境整備等、日本・チリ経済連携の要素となりうる分野について、意見交換が行われた。

(7) こうした議論を踏まえ、共同研究会は、日本・チリ二国間のEPAが、両国間の緊密な経済関係を幅広い分野においてより一層発展させることに寄与することを確信し、日本・チリ両国が二国間EPAの交渉を開始することを双方の首脳に提言することで一致した。

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