経済

共同プレス発表
日インドネシア経済連携協定
(仮訳)

平成18年11月28日
(英文はこちら)

 安倍晋三日本国総理大臣とスシロ・バンバン・ユドヨノ・インドネシア共和国大統領は、2006年11月28日に東京で会談を行い、日本・インドネシア両国間で、日インドネシア経済連携協定の主要点について大筋合意に達したことを共同で発表した。

 この協定は、キャパシティ・ビルディングのための協力並びに、両国間の貿易・投資の自由化、促進及び円滑化を通じて、より緊密な経済関係を築くことにより、日本とインドネシアのパートナーシップの新しい時代を刻むものとなろう。また、この協定は、エネルギー・鉱物資源、自然人の移動、政府調達、知的財産、競争政策、ビジネス環境の整備及び企業の信頼の醸成を含む広範囲にわたる経済活動を扱うものになるであろう。

 この協定は、さらに、インドネシアの鉱工業品、農林水産物品の競争力を向上させる活動に焦点を当てた、包括的なキャパシティ・ビルディングのための協力(「製造業開発センター・イニシアティブ」を通じてインドネシア製造業の競争力を更に向上させるための共同イニシアティブを含む)も対象とすることになろう。

 両首脳は交渉の主要点についての大筋合意を歓迎する。両首脳は、この大筋合意に基づき、日インドネシア経済連携協定を迅速に完成させるよう、各々の交渉団に対して指示する。

 この協定の大筋合意の主要点は次のとおり。

1. 物品貿易

 両国間の貿易の自由を拡大することが望ましいとの認識に立って、両国は、包括的に関税を撤廃或いは削減する。両国の主要な約束は農林水産分野及び鉱工業分野を対象としており、これは二国間の貿易及び貿易関連活動の拡大に資するであろう。
 また、両国は、上記分野におけるインドネシアの競争力向上に焦点を当て、包括的なキャパシティ・ビルディングのために協力する。

2. サービス貿易

 両国は、自由職業/実務、通信、建設、流通、教育、金融、健康関連・社会事業、観光・旅行関連、運輸の各サービスを含む様々な分野においてコミットメントを行う。

3. 税関手続

 両国は、税関手続の簡素化及び調和化を通じた貿易の促進、並びに効率的な執行の確保を目的として、情報交換及び協力を促進する。

4. 投資

 この協定は、内国民待遇、最恵国待遇、パフォーマンス要求の禁止、国対投資家の紛争解決、投資家及び投資財産の保護の強化の約束を通じて、両国間の投資の更なる拡大及び促進のための枠組みを提供することとなる。

5. 自然人の移動 及び関連する協力

 両国は、短期の商用訪問者、企業内転勤者、投資家及び自由職業サービスに従事する者を含む各種の区分における自然人の移動を円滑にするための枠組みを提供する。同様に、両国は、看護師・介護士の受入れの枠組みも構築する。両国は、関連する協力を促進し、「研修・技能実習制度」の範囲を拡大し、ホテル関連サービスを対象とするよう、前向きに検討する。

6. エネルギー・鉱物資源

 この地域における持続的な経済成長のためにエネルギー・鉱物資源が戦略的に重要であることを踏まえ、両国は、同分野における投資を促進し、エネルギー・鉱物資源の安定的供給の強化に貢献するために、緊密な調整を行う。このため、両国は政策対話及び協力を強化する。

7. 知的財産

 両国は、知的財産の適切かつ効果的な保護を確保し、知的財産保護制度の効率的かつ透明性のある運用を促進し、侵害、不正使用及び違法な複製に対する知的財産権の行使のための措置をとる。この協定は、両国に対して本分野における両国間の協力の基盤を提供する。

8. 政府調達

 この協定は、コンタクト・ポイントを通じた情報交換の枠組み、及び両国政府に加え民間部門や関係機関の参加を得た形での協議の仕組みを提供する。両国は、透明性向上のために、本分野において技術協力を促進する。

9. 競争

 両国は、自国の法令に従って、自国において反競争的行為に取り組むことにより競争を促進し、また、競争政策の強化及び競争法の実施において協力する。

10. ビジネス環境の整備及び企業の信頼の醸成

 この協定は、両国政府、民間部門及びその他の関係機関の参加を得て、ビジネス環境の整備及び企業の信頼の醸成のための仕組みを提供する。

11. 協力

 両国は、両国間の経済連携の強化を目的として、製造業、農林水産業、貿易投資の促進、人材養成、観光、情報通信技術、金融サービス、政府調達、環境という諸分野において、キャパシティ・ビルディングのための二国間の協力を促進する。両国は、将来の合意により、その他の協力の分野を考慮することもできる。

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