世界は今、地政学的競争の激化と国際秩序の揺らぎ、グローバル・サウスの台頭、AIを始めとする加速度的な技術革新等、歴史の大きな変革期にあります。また、日本周辺における安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなっており、日本外交を取り巻く国際環境もかつてなく厳しさを増しています。一方で、こうした状況にあっても、日本に対する国際社会からの期待は、これまでになく大きくなっていると実感しています。
国益を守り、また、このような国際社会からの期待に応えるためにも、国際情勢の変化に対応した「多角的、重層的連携をリードする包容力と力強さを兼ね備えた外交」を展開していく考えです。
具体的には、法の支配、自由、民主主義、紛争の平和的解決といった原則を堅持し、明確に主張し、国際秩序の維持・強化に貢献すること、また、日米豪印などの同志国の連携や、通商面でもCPTPP1といった多国間の枠組み作りを主導していくこと、これらを通じて、国際社会でより存在感を高める日本ならではの外交を展開していきます。
また、あらゆる地域の情勢を幅広く俯瞰(ふかん)することに加え、経済安全保障、エネルギー・食料安全保障、気候変動問題、国際保健への対応など、様々な分野で外交の裾野が広がりを見せる中、これらの課題にしっかりと向き合い、国際的な協力を主導していく決意です。
その上で、まず、日米同盟を更に深化させ、その抑止力と対処力を一層強化していきます。さらに、これまで構築してきた様々な枠組みを生かして、同志国との協力のネットワークを強化していきます。
2026年は、日本が主導してきた「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の提唱から10年目を迎えます。この間、経済安全保障の重要性が増し、経済成長に向けた複合的な課題が増大するほか、既存の国際秩序への挑戦が顕著になるなど、国際情勢は大きく変化しています。これらを踏まえ、日本は引き続きFOIPを外交の柱として、時代の変化に合わせて戦略的に進化させていきます。また、その実現に向けても、グローバル・サウスと呼ばれる開発途上国・新興国とも、きめ細かに連携していきます。
さらに、多面的な経済外交を推進していくと同時に、重要鉱物を含むサプライチェーンの強靱(じん)化など、経済安全保障の取組も強化していきます。
この外交青書では、こうした考え方に基づく日本外交の取組を幅広く紹介しています。この外交青書が、国内外の皆様にとって、日本外交についての理解を深めていただく上で有益なものとなることを願っています。


1 CPTPP:環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)
