外交青書・白書
平成30年版外交青書(外交青書2018)巻頭言

緊迫する北朝鮮問題を始めとして、日本を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しい状況にあると言っても過言ではありません。また、テロや暴力的過激主義の台頭により、世界の安定と繁栄を支えてきた自由、民主主義、人権や法の支配といった基本的価値に基づく国際秩序が挑戦を受けています。このような中、既存の国際秩序を維持するとともに、国際社会の諸課題に対処していくためには、日本は、各国との連携を図りながら、従来以上に大きな責任と役割を果たさなければなりません。

こうした認識の下、私は、2017年8月の外務大臣就任以来、世界各地を駆けめぐり、日本の立場を積極的に発信するとともに、各国との連携を一層強固なものにするよう努めてきました。

その際、私は、六つの重点分野を中心に取組を強化しています。一つ目は、日米同盟の強化及び同盟国・友好国のネットワーク化を推進すること、二つ目は、中国、韓国、ロシアなど近隣諸国との協力関係を強化すること、三つ目は、日本自身が自由貿易の旗振り役として積極的な役割を果たすこと、四つ目は、軍縮、気候変動、開発、女性の活躍推進、保健分野の推進など、地球規模課題の解決に積極的に貢献すること、五つ目は、中東の平和と安定に対する貢献を強化すること、六つ目は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進することです。

国際秩序が変動期にある中で、日本は「フォロワー」であってはなりません。米国を始めとする同盟国・友好国と共に、世界に平和と繁栄をもたらすため、日本こそが「道しるべ」になっていく決意です。各国外相等との信頼関係やネットワークを更に強固にしながら、国民の幸せと日本の未来をしっかり見据え、外交課題に一つずつ確実に取り組んでいきます。

平成30年版外交青書(外交青書2018)は、このような取組を含め、2017年の国際情勢及び日本が行ってきた外交活動の概観を記録するものです。具体的には、第1章で日本を取り巻く国際情勢と日本外交の展開について概観し、第2章では地球儀を俯瞰(ふかん)する外交、第3章で国益と世界全体の利益を増進する外交について、それぞれ2017年の重要な出来事を説明しています。また、第4章の国民と共にある外交では、世界とのつながりを深める日本社会や日本人を後押しする外務省の取組や海外における日本人への支援、外交活動を支える足腰を強固にするための外交実施体制の強化について説明します。読者の皆様の御理解に役立てるよう、図表や地図による解説を活用するとともに、外交をより身近に感じていただくため、テーマごとの「特集」や外交の現場の声を伝える「コラム」を多く掲載しました。

この外交青書の刊行が、国民の皆様にとって日本外交に対する理解を深める一助となるとともに、世界の平和と繁栄に積極的に貢献する日本の姿を内外に広く発信する機会となることを期待しています。

外務大臣 河野太郎
外務大臣
サイン
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