外 交 青 書
わが外交の近況
1989年版(第33号)
外 務 省 編
1989年版外交青書の刊行にあたって
幾多の激動を経て、現在の平和と繁栄に至った「昭和」の時代は去り行き、新しい「平成」の時代が始まりました。「昭和」の時代には、国民の皆様のご努力と友好国の支援を通じて繁栄を達成しましたが、わが国を取り巻く環境は、現在では、旧い時代とは大きく異なっております。わが国自身も大きな変貌を遂げ、先進民主主義諸国の主要な一員となり、国際秩序の主要な担い手の一人となるに至りました。世界情勢の巨大な変動の渦中にあって、日本のあり方というものが、世界にとっても大きな重要性を持つようになっております。
このような情勢の下、「平成」最初の外交青書をここに発刊いたしますことは、極めて意義のあることと考えます。現在、わが国は、世界に対しより大きな貢献を果たすことを求められており、それが、わが国の平和と発展に資するゆえんでもあります。1988年の春以降、わが国は、「国際協力構想」を推進し、「世界に貢献する日本」を実現すべく努力してきております。私は、今後とも、わが国、そして世界の平和と繁栄の確保と発展のため、全力を尽くしていく所存であります。
しかし、わが国がより能動的、より効果的に世界に対する責務を果たしていくためには、国民の皆様方のご理解とご協力が不可欠であります。この新しい「平成」の時代の、新しい外交青書が、皆様方の国際情勢、そしてわが国外交に対するご理解を深めるための一助となれば、誠に幸甚であります。
1989年9月
外務大臣 中山 太郎
本 書 の 構 成
本書は、国際情勢やその変化の要因の分析とともに、わが国が行ってきた外交活動の概要について、1988年8月から89年7月に至る期間を中心に取りまとめたものである。本書は4章から成り、さらに、資料、付表、年表等を収録している。
本文第1章では、変化する国際社会の動きとその背景、世界の中にある日本の分析、そしてわが国外交の課題について記述している。第2章では、わが国と世界が現在直面している重要な問題を、テーマ別に説明している。第3章では、この1年間わが国が行ってきた外交活動を概観するとともに、世界の各地域毎に、その情勢とわが国の外交活動について詳述している。第4章では、わが国の外交を支える外交体制について説明している。
目 次
第1章 国際情勢とわが国の外交
第2章 国際社会の主要動向とわが国の外交課題
第3章 各地域情勢及びわが国との関係