外 交 青 書

わが外交の近況

 

1983年版(第27号)

 

外務省

昭和58年版「わが外交の近況」の刊行に当たって

 我が外交の足跡も着実な歩みを重ね,戦後の日本外交は,壮年期を迎えようとしています。「外交青書」も,1957年の創刊以来,今年で第27号を数えます。

 この間,我が国の著しい国力の増進により,我が国の国際的地位は飛躍的に高まり,これに伴ってその国際的責任も増加の一途をたどっています。私は,諸外国歴訪や外国要人の来日等種々の機会を通じ,我が国に対する世界の期待の大きさには想像以上のものがあり,我が外交の使命は誠に重大であると痛感している次第であります。我が国は,本年5月,米国ウィリアムズバーグで開かれた主要国首脳会議において,その成功に積極的な貢献を果たしたわけですが,今後各国の期待にこたえて国際政治・経済にわたって一層の責任を果たしていかねばなりません。

この「第二の開国」の実現には種々の困難もあり得ましょうが,我々は一丸となり,世界の平和と繁栄に貢献する国際国家を目指し努力していかなければなりません。

 外務大臣就任以来,私は,外交に覇道なしとの考え方に立ち,原則に忠実で国民から信頼される自主積極外交を展開するよう心掛けてきました。国際化の波が国民生活の隅々にまで打ち寄せる今日の状況の下で,言わば外交は内政の延長であり,国民の総意に基づく外交を展開することの重要性はますます高まっています。

 我が国がより積極的な国際的責任を果たしていくに際しては,従来にも増して厳しい努力が必要であり,時には苦痛を伴うこともありましょう。その意味で,これからの外交は,国民の英知を結集し,御理解と御協力を得つつその舵取りを進めていく必要性が一層大きくなっていきます。本書が我が外交に対する国民各位の御理解を得る一助となれば幸いです。

昭和58年10月

外務大臣 安倍 晋太郎

 

 

本書の構成と内容

 本書は,世界の情勢と我が国が行った外交活動の概要を1982年1月から83年3月に至る期間を中心に取りまとめたものである。本書は,第1部総説,第2部各説及び第3部資料編から成り,資料編には資料,統計類及び年表を収録している。

第1部総説では,第1章において我が外交の基本的課題について述べ,第章では1982年を中心とした世界の主要な動きを概観し,さらに,第3章では同時期において我が国が行った主要な外交努力を説明している。

第2部各説では,まず世界の諸地域ないし諸国の情勢及び我が国とこれら諸地域・諸国との関係について述べ,次に我が国の関係する重要な国際的問題について事項別に説明している。

目 次

 

第1部 総説

第1章 我が外交の基本的課題

第2章 1982年の世界の主要な動き

第3章 1982年の我が国の主要な外交活動

第1節 各国との関係の増進

第2節 世界経済の安定的発展への貢献及び南北問題解決への努力

第3節 経済協力の積極的拡充

第4節 国際連合の諸活動に対する協力

第5節 諸外国との相互理解の増進

第2部 各説

第1章 各国の情勢及び我が国とこれら諸国との関係

第1節 アジア地域

第2節 大洋州地域

第3節 北米地域

第4節 中南米地域

第5節 西欧地域

第6節 ソ連・東欧地域

第7節 中近東地域

第8節 アフリカ地域

第2章 国際経済関係

第1節 総論

第2節 通商問題

第3節 国際通貨・金融問題

第4節 資源・エネルギー問題

第5節 科学技術及び原子力問題

第6節 食糧・漁業問題

第7節 その他

第3章 経済協力の現況

第1節 総論

第2節 技術協力

第3節 無償資金協力

第4節 政府直接借款

第5節 国際機関を通ずる協力

第4章 国連における活動とその他の国際協力

第1節 政治問題

第2節 軍縮問題

第3節 経済問題

第4節 社会・人権・文化問題

第5節 行財政問題

第6節 法律問題

第7節 第3次国連海洋法会議

第8節 国連専門機関

第5章 文化交流及び報道・広報活動

第1節 我が国の文化交流の現状

第2節 報道協力・広報活動の現状

第6章 邦人の渡航と保護・援助

第1節 概要

第2節 邦人の渡航

第3節 緊急事想・事件に際する邦人保護

第4節 邦人に対する援助

第5節 海外移住

第6節 外国人に対する査証

第7章 その他の活動

第1節 外交体制の整備充実

第2節 外交問題に関する記録の整理・刊行及び閲覧

第3部 資料編

I  資料

II  付表

III 年表