第6節 外国人に対する査証

1.査証の発給

我が国に来日する外国人は,二国間取極などにより査証が免除されている場合を除き,原則として,その旅券に査証を受けなければならない。

査証発給件数は地域別に見ると下表のとおりであり,ここ2,3年アジア地域における増加が著しいが,これは,特に台湾からの観光客のほか韓国の入国者が増大しているからである。しかし,来日する外国人を国籍別に見れば,依然米国人が首位であり,82年で約336,000人に達している。

(単位:千件)

2.査証に関する二国間取極

査証制度は,いずれの国においても,国内の公安を維持するため,また外国人の入国,滞在により内国民の就業機会の確保などに悪影響が及ぶことを防止するため,重要な機能を果たしている。

他方,国際交通が発達し,国際間の人的移動も量的に拡大しつつある現在,観光,訪問,業務などの目的の一時旅行者に対し査証取得を免除することは,国際間の人的交流の円滑化のために有効な方法であり,また,年間400万人以上に上る邦人の海外渡航者の大多数が,同様に,相手国から査証を免除されるならば,大きな利益を受けることになる。

我が国は,以上の見地に立ち,55年の西独をはじめとして,これまでに相互主義の下に48か国と一部の査証につき相互免除を取り決めている。その主な内容は,自国内で就業又は報酬を得る活動に従事しない短期(3か月以内の期間を定めているものが多い)の相手国籍滞在者には入国査証を免除するもので,相手国は,西欧のほとんど,北米・中南米の約半分及びアジアその他の若干の国である。

米国及び豪州とは査証免除取極はないが,渡航目的に応じ相当の長期間にわたり数次入国に有効な査証を相互に発給する取極を結んでいる。

 

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