中南米地域は地球の反対側に位置し、地理的には最も遠い地域ですが、豊富なエネルギー・鉱物資源、高い食糧生産力を持つだけでなく、経済規模も大きく、非常に魅力的な市場として大きな潜在力を有しています。日本は現在、銅の約6割、鉄鉱石の約3割、大豆の約2割、銀鉱は9割以上を中南米地域に依存しており、ブラジル産のコーヒーやメキシコ産のアボカドは日本人にも馴染みの深い農産品です。
また、多くの日系人の方々の活躍、戦後驚異的に復興・発展した日本経済に対する期待、長年にわたり実施してきた経済・文化協力などを通じ、日本と中南米諸国は非常に良好な関係を築いています。
約30万人の日本人移住者が礎を築き、今では、その子孫の方々を含めると160万人以上にのぼる日系人の方々が活躍しています。これは海外に在住する日系人の約6割に相当し、ブラジルには世界全体の半数以上の約150万人が集中しています。
もう一つ注目すべきなのは、日本における日系人の存在です。現在、ブラジル、ペルーなどから約30万人の日系人が日本に滞在しており、日本国内に在日中国人、韓国・朝鮮人に次ぐ3番目に大きい外国人コミュニティーを形成し、日本と中南米の架け橋としての重要な役割を果たしています。
中南米は、5億6千万人の大きな市場、豊富な天然資源、優秀な人材、活力ある日系人社会を有しており、また、同地域では地域統合、自由貿易協定の締結が進展し、経済の更なる発展が期待されています。このようなことから、日本と中南米諸国は今後更に重要な貿易・投資のパートナーとなる可能性を十分有しており、特に、日本にとっては資源、エネルギー、食糧の供給源としても重要です。
また、中南米地域には経済規模で世界のトップテン・クラスに入るメキシコやブラジルを始めとして、国際社会で大きな発言力を有している国もあり、グローバル化の中でこうした国々と様々な問題について協力することがますます大切になってきています。また、それ以外の国々も各種国際・地域機関のメンバーとして協調して国際的な問題に対処することで、国際的な発言力、影響力を高めつつあります。そうした中で、国連改革や捕鯨の問題に見られるように、日本に好意的な立場を取っている国がカリブ海の小島嶼国をはじめ多くあります。
したがって、日本としては今後も貿易投資のパートナーとして、また、国際社会の諸課題に対処するパートナーとして、中南米諸国との関係を重視し、二国間、多国間対話を積極的に推進していく必要があります。