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日米外相会談後の共同記者会見(概要)

平成20年2月29日

 2月27日(水曜日)19時45分より約15分間、高村大臣は、訪日中のライス国務長官との会談後、共同記者会見を行ったところ、概要以下のとおり。

1.冒頭発言

(高村大臣)

(1)今回の会談を通じて、ライス長官と日米同盟の重要性を再確認した。

(2)ライス長官から、冒頭、沖縄における一連の事件は、極めて忌まわしい事件であり、まず大変遺憾であるとの発言があり、効果的、包括的な再発防止策の実施が不可欠であり、日米間で継続的かつ緊密に協力して再発防止のために全力を尽くすということで一致した。

(3)その一方で、日米双方の努力により、BMD協力をはじめ日米安保協力は前向きに進展しており、ライス長官とはこれを一層深化させることが、日米双方の利益であることで一致した。

(4)私から、我が国が国際場裡において「平和協力国家」として責任を果たしていく決意を述べ、この関連でインド洋での給油を含めテロとの闘いに協力していくことや、「一般法」の検討も進めていくことを説明した。

(5)東アジア情勢についても、日米同盟に立脚して対処していく必要があることで一致した。

(6)日米両国に韓国を加えた3か国で、北朝鮮問題をはじめ共通の課題についての協力を強化していくことの重要性についても確認した。北朝鮮問題については、残念ながら六者会合が停滞しているが、北朝鮮が早期に「完全かつ正確な申告」を提出し、非核化プロセスを前進させることができるように、また、拉致問題など日朝関係についても進展が得られるように、日米で引き続き緊密に連携していくことで一致した。

(7)グローバルな課題に対する日米協力については夕食会で話すこととなった。

(ライス長官)

(1)日本側の歓迎に感謝する。昨秋、高村大臣がワシントンを訪問された際に訪日招待をいただき、こうして日本に来ていることを喜んでいる。また、6月のG8外相会合の際に再度来日することを楽しみにしている。

(2)今回の会談の冒頭で、私は米国としての遺憾(regret)の意を述べた。その前に、福田総理に対しても、ブッシュ大統領の名において、自分の名において、そしてアメリカ国民の名において、沖縄のひどい事件について遺憾の意を述べた。少女とそのご家族の方を心配しており、お見舞い(sympathies)の意を表したい。
 また、将来においてそのような事件の発生を予防するための方途を探すことを、離任前にライト司令官が設置し、ライス司令官が今後進展させるタスクフォースを通じて行うという我々の意図を強調した。私は総理と大臣に対して、米国の遺憾の意を表明した。

(3)我々は強固なパートナーシップを有している。日本との防衛に関する同盟及び価値に基づく同盟は、アジア太平洋地域において最も強固な安全保障上の柱の一つであるのみならず、米国自身の安全保障にとっても強力な柱である。我々は、過去2~3年の同盟関係を現代にふさわしいものとするための進捗及び再編に向けた我々の努力を継続する必要性に関して、意見交換を行う機会を得た。

(4)私は、不朽の自由作戦及びグローバルなテロとの闘いを支援するインド洋における給油活動への日本の復帰を歓迎した。

(5)我々は、アジア太平洋地域、特に六者会合についても緊密な意見交換を行った。私は大臣と六者会合での更なる進展を希望することにつき合意した。私は、韓国及び中国において行った意見交換について議論する機会を得た。我々は無能力化については進展を得たが、現在、我々は、完全であり、また、更なる非核化と北朝鮮の核計画の完全な廃棄が行われることとなる第三段階へ繋がる道があることを的確に示すほど正確である北朝鮮による申告を必要としている。

(6)私は大臣に対し、ブッシュ大統領が福田総理とワシントンでお会いしたときと同様に、拉致問題は引き続き米国の非常に高い優先事項であることを保証した。なぜならば、人々が失踪し、それに関する説明が行われていないことは、本当にひどい人道状況であるからである。私は、日本が北朝鮮と本件の進展に向けて作業を行うことに対し、米国が引き続き支持することを約束した。本件は、日本のみならず、米国にとっても非常に重要である。

(7)最後に、ビルマ(ママ)情勢に関し、真の国民和解のプロセスにおいて、軍事政権が反対派の関与を得ることの重要性について議論を行う機会があった。

(8)我々はグローバルな課題、イラン、そしてその他の課題及びG8の議題について更なる意見交換を行う予定である。そして私は、気候変動、アフリカ及びアフリカの更なる発展といった共通の課題、また、この重要な同盟に関する非常に大きいが共通の議題について議論するのを楽しみにしている。

2.質疑応答

(1)ライス長官に伺いたい。沖縄の女子中学生暴行事件後も米兵による不祥事が後を絶たない。日米同盟にも影響が懸念されているが、日米外相会談ではどのようなやりとりが行われ、長官自身はこの問題をどのように受け止めているのか。

(2)北朝鮮に関し、北朝鮮の核問題はすべての核計画申告など第二段階が期限を大幅に超え、六者会合も開かれていないが、日米はどんな連携を図っていくのか。

答(ライス長官)

(1)まず、沖縄の事件、そしてその種の事件については、我々の深い遺憾の意を表明した(I have given our deepest regrets.)。説明したとおり、ライト前司令官はタスクフォースを設置した。このタスクフォースは、このような事件を防止するために我々に何が出来るのかを本当に探ろうとしている。司令官は、日本国中で幅広い協議を実施している。東京においては、ライス現司令官が新たに司令官に就任しており、本件に深く関わっているシーファー大使は、沖縄で意見交換を行った。
 我々がこのような事件が再び発生することを望んでいないことは確かである。したがって米国は、将来の事件を予防するために、日本政府と積極的な取り組みを行っていく。
 また、我々としてはもちろん、本件について正当な処罰が下されることを望んでおり、今後そのプロセスも進行していく。

(2)六者会合に関し、確かに12月の期限を越えている。私は常に期限は重要であると感じてきた。しかし、本件をうまくやり遂げることは、より重要である。兵器化のために生成された物質に関し、検証可能な廃棄を可能にする報告を必要とする、無能力化段階と比較してもより困難な段階に移行するにあたり、現在の段階において、次の段階で真の非核化が行われる見通しがあるという信頼関係を構築する必要がある。
 次の段階では、国交正常化に向けた政治的な関与について多くの意見交換が行われることも予想される。私は、我々が前進するに際して、我々の同盟国と非常に緊密な協議を行うことを再度強調したい。そして、米国がとるいかなるステップについても、そのステップを実施するか検討する際に、我々は我々の同盟国と協議を行う。

 本日、ヒル国務次官補から行き詰まりを乗り越える希望を与えてくれる進捗状況報告があったのであれば教えていただきたい。また、より一般的に、ブッシュ大統領が政権を去るまでの間に、何が現実的に達成可能と考えるか。

答(ライス長官)

 2005年9月の最初の枠組み及びそれに続く昨年2月19日(ママ)の合意の履行に向けて最大限努力したい。全ての当事者が政治的意思を示す用意があれば、朝鮮半島の非核化に向けて相当程度の進展を遂げ、同半島における戦争状態の終結及びより正常な状態に向けて前進できると信じる。そして、六者会合の参加当事者間で、協力の制度化を図る手始めとして、北朝鮮の核問題を扱う中で得られた協力の習慣を基礎とすることは価値があると信じる。共同声明に書かれている北東アジア地域の平和と安全のためのメカニズムについて、誤解のないようにしたい。この話は同盟についての話ではないし、また、条約についての話でもない。我が国が日本や韓国との間で有する非常に深い同盟のようなものを示唆したり、それに似た何らかのものを考えているわけではもちろんない。しかし、テロ対策、不拡散、そしておそらく災害救助についてすら、この地域の主要国間の協力は、明らかに北東アジアの利益になり得る。そして我々はこれら全てについて進展を遂げることができると信じている。しかし、そのためには、我々は現在の段階を完遂することが必要となるだろう。
 ヒル次官補が北京で行っていることについては、実際にはまだ彼と話せていない。しかし、先程述べたとおり、昨日、我々は建設的な話し合いを行い、彼がその話し合いを継続することは有益であると判断した。本日のここでの話し合いも建設的なものであり、第二段階の完遂に向けて一定のモメンタムをつくることにつながり得るものとなろう。

 日本国内では拉致問題に関連して、米国政府が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除するのではないかとの懸念がある。これについて高村大臣はライス長官に対して日本の立場を改めて説明したのか。

答(高村大臣)

 日本の立場は改めてお伝えした。福田総理とブッシュ大統領との間でも当然話し合われたが、ライス長官と私の間でもとりあげ、テロ支援国家指定解除の問題については、日本側と十分に協議をすることを、改めてライス長官から述べられた。

 ライス長官は六者会合における主要な3か国の指導者と会談を行ったが、彼らから聞いたことや話し合ったことの中で、全当事者が達成に向けて強い決意を持つことを単に再度述べること以外に、長官が述べたモメンタムへの希望を与えることとして、特に具体的に指摘する点はあるか。また、この外遊における成果は如何なるものか。

答(ライス長官)

 私は、多くの議論を行い、北朝鮮の非核化プロセスをどのように進展させるべきか、また、この問題に関して我々の義務とその義務をいかにして果たしていくかについて話し合った。ただ、明らかにこれは外交上の話し合いであるので、やりとりの詳細は述べられない。私は、全ての訪問先で、これまでの進展、特に無能力化の進展は、このプロセスを更に前進させるための継続的な努力のたまものであるという考えをはっきり述べている。これらの努力を続けつつ、北朝鮮に対して無能力化に向けた歩みを進めるようにする中で、我々は非常に重要なことを達成している。それは北朝鮮がプルトニウム核計画を継続することを困難にしたということである。解決しなければならない問題は多いが、我々が行おうとしていることの困難さを考えれば、多少時間がかかるのは当然である。また、六者会合の各当事者が有している協議の進展を奨励しうる手段は異なっており、現在、この点についても議論を行っている。
 非核化を前進させることに対する私の希望の根拠の大きな部分は、全ての当事者が非核化の重要性を理解し、その決意を持ち、また、全ての当事者が義務を有しているとともに北朝鮮も作業をすべきであることを、全ての当事者が理解しているということに基づいている。仮に北朝鮮がこれらの義務に基づき、無能力化及び申告を行えば、我が国も義務を果たす用意がある。他の当事者も含めて、我々は六者会合に対する義務を果たしてきた。我々はこの段階を終了させ、より難しく、そしてより重要な段階に移る必要がある。

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