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チェイニー米国副大統領の来日(概要)

平成19年2月22日

 チェイニー米国副大統領は2月20~22日まで訪日し、21日(水曜日)に安倍総理大臣と会談を行ったところ、概要以下のとおり。チェイニー副大統領は、同日、塩崎官房長官、麻生外務大臣とも会談した。日米同盟、東アジア情勢を中心に同趣旨のやりとりを行った。また、滞在中、チェイニー副大統領は、天皇陛下による御引見、横須賀基地訪問(蒲谷横須賀市長との面会を含む)、拉致被害者家族(横田夫妻)との会談等を行った。

1.日米関係

(1)日米同盟

 安倍総理から、日米同盟は、相互信頼及び共通の価値観・利益に基づき、お互いにとって「かけがえのない同盟」となり、今や「世界とアジアのための日米同盟」にまで成長した、今回の貴副大統領との会談を通じて、日米同盟の重要性を確認し、更に強化していきたい旨述べた。
 これに対し、チェイニー副大統領からは、今回訪日することができて嬉しい、本日は天皇陛下による御引見もあり、横須賀基地への訪問もできてよかった、共通の利益に立脚する我々の同盟関係は非常に重要であり、この同盟をゆるぎない関係にしていくとのコミットメントを確認したい、イラク、アフガニスタン、広くテロとの闘いをめぐる日本の貢献に感謝している、この地域において、特に北朝鮮について六者会合も含めて日本と協調できることを誇りに思う、また拉致問題による悲劇の解決をはかることが日米共通の課題である、日米関係は今ベストの状態になっており、将来にわたっても引き続きそのような状態が維持されていくことを望む旨述べた。

(2)日米安保

 安倍総理より、日米同盟の強化の一環として、在日米軍再編の着実な実施、弾道ミサイル防衛協力の加速化が重要であるとの言及があった。

(3)日米経済

 安倍総理より、日米経済関係を一層発展させようとの文脈の中で、WTOドーハ・ラウンドの早期妥結が極めて重要であり、緊密に調整していきたいとの発言があった。

2.東アジア、豪州

(1)東アジア

 安倍総理は、東アジアの諸課題に取り組むに当たっては、共通の価値観に基づく日米同盟に立脚した対応が重要であると述べ、チェイニー副大統領が今回米国の同盟国である日本と豪州を訪問することを歓迎すると述べた。これに対し、チェイニー副大統領は、今回はまさに、重要な同盟国である日本及び豪州を訪問することとしたとの発言があった。

(2)北朝鮮(六者会合を含む)

 双方は、先般の六者会合における合意は正しい方向に向けた第一歩であったが、今後とも日米の緊密な連携が重要である、また中国の役割及び五か国の連携が重要であるという認識で一致した。また、チェイニー副大統領から拉致問題に関する日本の立場に対する深い理解が示された。
 (なお、麻生大臣は、チェイニー副大統領と対北朝鮮政策について踏み込んだ議論を行い、その中で、先般の六者会合における合意は国連安保理決議1718の実施を含む国際社会の圧力なしでは達成されなかった、北朝鮮の非核化に向けて北朝鮮の具体的な措置を引き出すためには、この圧力を継続しなければならないと述べた。同大臣はさらに、チェイニー副大統領が本邦滞在中に拉致被害者の家族(横田夫妻)と面会されることに深く感謝する、これは拉致問題について米国が我が国とともにあること、国際社会が北朝鮮問題を取り扱う際にこの問題が忘れ去られるようなことがないことを、日本国民に印象づけるものであると述べた。)

(3)中国

 中国が先般の弾道ミサイル発射による人工衛星破壊を含め軍事面等での透明性を高め、国際社会においてより責任ある建設的な勢力となることを歓迎するとの認識が双方の間で共有された。

(4)日豪・日米豪・日米豪印関係

 チェイニー副大統領より、これから豪州を訪問するとの発言があったのに対し、安倍総理より、ハワード首相の訪日が調整されているが、この訪日は日豪関係のみならず日米豪3か国関係の強化にもつながるものとして重視している旨述べた。安倍総理より、日米豪印の4か国対話の場をもちたい旨述べた。

3.中東

(1)イラク

 安倍総理より、イラクの復興と安定化に向けた米国の努力を理解し、支持し、我が国としても引き続き航空自衛隊の活動やODA支援を通じ、イラクを支えていく旨述べたのに対し、チェイニー米副大統領より、イラクにおける日本の貢献に改めて感謝する旨の発言があった。

(2)アフガニスタン

 安倍総理より、インド洋での補給支援を今後も継続していく、ODAによる支援も今後更に3億ドルの支援を行っていく、自分がNATOで行った演説でも述べたとおり、NATOのPRTとの連携強化についても調整中である旨述べたのに対し、チェイニー米副大統領より、日本の貢献に対する評価及び謝意が改めて表明された。

(3)イラン

 安保理決議1737を国際社会が一致して採択したことがイランに対する大きな圧力であるとの認識で一致した。安倍総理より、先日の閣議了解で我が国がとった追加制裁措置に言及した。

(4)GCC、中東和平

 安倍総理から、GCC(湾岸協力理事会)諸国等との連携強化や中東和平の前進の重要性について発言がなされた。

4.国連、地球環境問題

(1)国連安保理改革

 安倍総理より、国連安保理改革について提起したのに対し、チェイニー米副大統領より、日本の常任理事国入りへの支持が改めて表明されるとともに、日本の常任理事国入りを含む安保理改革の実現に向けて、引き続き両国間で議論していくことで一致した。

(2)地球環境

 安倍総理から、米中両国が世界の最大の排出国であることを踏まえ、これらが参加する実効性のある国際的な枠組みを構築していくことが重要であるとの発言があった。

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